【Gladiator029】令和の元寇、吉田開威と暫定バンタム級王座決定戦。シンバートル「羊肉と乳製品」
【写真】ムービーもスチールも関係ないと思われるほど、インタビュー中に動きがない。ある意味、モンゴルの不動心シンバートル(C)MMAPLANET
12日(日)、大阪府豊中市の176boxで開催されるGLADIATOR029でシンバートル・バットエルデネが吉田開威とGladiator暫定バンタム級王座決定戦を戦う。
Text Manabu Takashima
昨年10月にBreakthrough Combat旗揚げ戦では、キャリア3戦目ながら下馬評をひっくり返し吉野光に快勝したシンバートル。プロMMAデビューは2022年10月で、去年の5月には母国で元Gladiatorバンタム級王者テムーレン・アルギルマーを下している。
モンゴル相撲、レスリングをベースにMMAを戦うシンバートルはMMAの試合経験は少ない一方で、2023年と2024年の2年間でモンゴル国内ではキックボクシング、コンバットサンボでナショナルトーナメントで優勝し、散打とシュートボクシングで準優勝という結果を残している。
テイクダウン&グラウンドコントロールの強さで定評のある吉野の抑え込みを返したブリッジ、テイクダウンもしっかりと奪ったことで──僅か1試合で、国内での評価を絶対とした。
令和の元寇、盟友オトゴンバートル・ホルドバートル、ダギースレン・チャグナードルジと共にグラジのベルトをモンゴルに持って帰るべき戦うシンバートル。その強さの源はモンゴル相撲、羊肉、乳製品、そして乗馬だった。
モンゴルで漢として生まれたからには、モンゴル相撲と乗馬をするのが基本
――10月30日にBreakthrough Combat旗揚げ戦で吉野光選手に勝利し、一度は今大会で竹本啓哉選手戦のオファーがあったと伺っています。
「すぐにまた日本でデキることが決まって、信じられないほど嬉しかったです」
──吉野戦の勝利で、シンバートル選手の評価は爆上がりました。
「ヨシノ選手は、本当に強くて勉強になりました。そんな彼と良い試合ができて、良かったです。とにかく日本の人達に自分のことを知ってもらえて嬉しいです」
──あの試合、下になった時に右に左と逆方向にブリッジをして上を取っていた動きを中村倫也選手が絶賛していました。
「そうですか(微笑)」
──……(笑)。あのように相手を動かせて、上を取るということは練習でも意識しているのですか。
「抑えられた時に返す練習は、常にやっています。あの動きも練習通りの動きでした」
──凄まじい体力、そして体幹の強さを感じました。「羊肉を食らい、馬に乗った幼少期を過ごした選手は強い」。そんな柏木信吾氏の主張があるのですが、シンバートル選手も子供の頃に乗馬をされていたのでしょうか。
「乗馬はモンゴルの文化です。モンゴルで漢として生まれたからには、モンゴル相撲と乗馬をするのが基本です。自分はオブスゴル県という田舎で生まれ育ったので、馬に乗るのは生活の一部でした。今も田舎に戻ると、馬に乗っています。ナーダムのような特別な日には人間も馬も着飾っていますが、自分たちは子供の頃から暴れ馬を抑えることが役割だったので手綱も鞍もなく、裸の馬に乗っていました」
──それは……木登りどころでない、強靭な体を創り上げることができますね。
「(照れ笑いを浮かべるのみ)」
オトコンバートル こいつは質問しないと、返事をしないから(笑)。
──ハハハハ。なるほど、です。栄養価の高い羊の肉を食べて、裸の馬に乗る。よって強い肉体と絶妙なバランス感覚を養うことができたと思っていますか。
「その影響は大きいと思います。自分は勉強も好きでなかったですし、毎日のように草原で馬に乗っていたいという子供だったので。そして暇さえあれば、友達とモンゴル相撲をしていました。モンゴル相撲をして、羊の肉を食べて。お菓子も乳製品という生活をしてきたので、今の体が出来上がりました」
──そのモンゴル相撲の経験なのか、あれだけレスリングができても絶対的にアンダーフックという思考でもなく、クリンチの攻防でオーバーフックに取るところが、師匠のジャダンバ・ナラントンガラグに非常に似ていると思いました。
「それこそナラントンガラグ先生の指導の賜物です。アンダーフックを狙って来た相手の腕をオーバーフックで固定して、殴るんです。このオーバーフックはモンゴル相撲の一つの形ですね。相手の腕の自由をきかなくして、柔道でいう外無双や内無双を仕掛けるのがモンゴル相撲の特徴的な動きなので。そこはMMAでも使いやすいです」
自分はグラップリングでも打撃でも戦えるので
──そこにレスリングが融合し、かつ柔術的な動きが非常にスムーズだというのが──これも中村倫也選手のシンバートル評でした。
「自分のベースはレスリングですが、MMAはそれだけでは戦えないです。なのでグラップリング、柔術も凄く練習しています」
──それは道着を着ての柔術ですか。
「いえ、ノーギです。MMAのための練習なので、道着は着ません」
──では、次の試合に向けての話を聞かせてください。竹本選手との試合から、暫定王座決定戦で吉田選手と戦うというオファーを貰った時はどのような気持ちでしたか。
「自分はどのような試合でも受ける腹積もりでいます。なので対戦相手が代わっても、それほど影響はないです。それでもタケモト選手と戦う予定だったので、タケモト選手の映像をチェックして練習をしていました。タケモト選手に勝つために努力をしてきたのですが、やはり暫定王座を賭けて戦える方が嬉しいです」
──竹本選手と吉田選手、まるでタイプが違うファイターと戦うことになりましたが。
「確かにグラップリングが強い選手から、ストライカーに代わりました。ただ、特に問題ないです。自分はグラップリングでも打撃でも戦えるので。
(ここでインタビュー中に傍らにいたオトゴンバートルが、何やらモンゴル語でシンバートルに話しかけ)練習もいつも通りやっていますが、ヨシダ選手になったことで打撃戦の比重を増やしています」
──打撃で勝負をするつもりですか。
「今はまだヨシダ選手のことを研究中ですが(※取材は12月20日に行われた)、しっかりと対策を練って作戦を立てて戦います。ただ狙いはサブミッションです。レスリングやグラップリングを駆使して、一本勝ちをしたいです」
──吉田選手はKO宣言しています。
「KOですか(笑)。素晴しい意気込みですね。ただ、私も練習をしているので。試合でどちらが強いのか、。素晴しい戦いをファンの皆に見てもらいたいと思っています」
──今日はありがとうございました。ところでシンバートル選手はいつも、そんな風に無口なのですか。
「いやぁ……」
オトコンバートル 緊張しているだけよ。いつもは、こんなんじゃないので(笑)。
■視聴方法(予定)
1月12日(日)
午後3時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル
※メインカードのみ
■Gladiator029対戦カード
<Gladiatorライト級王座決定戦/5分3R>
田中有(日本)
小森真誉(日本)
<Gladiatorフライ級王座決定戦/5分3R>
今井健斗(日本)
オトゴンバートル・ホルドバートル(モンゴル)
<Gladiator暫定バンタム級王座決定戦/5分3R>
吉田開威(日本)
シンバートル・バットエルデネ(モンゴル)
<Gladiatorフェザー級王座決定戦/5分3R>
パン・ジェヒョク(韓国)
ダギースレン・チャグナードルジ(モンゴル)
<ライト級/5分3R>
チハヤフル・ヅッキーニョス(日本)
岩倉優輝(日本)
<フェザー級/5分3R>
水野翔(日本)
桑本征希(日本)
<フライ級/5分3R>
久保健太(日本)
井口翔太(日本)
<ウェルター級/5分3R>
森井翼(日本)
井上啓太(日本)
<バンタム級/5分2R>
ルキヤ(日本)
藤原克也(日本)
<フェザー級/5分2R>
田口翔太(日本)
花園大輝(日本)
<バンタム級/5分2R>
しゅんすけ(日本)
こう(日本)
<ストロー級/5分2R>
塩川玲斗(日本)
高橋佑太(日本)
<フライ級/5分2R>
古賀珠楠(日本)
八木祐輔(日本)
<バンタム級/5分2R>
野口蒼太(日本)
萩原和飛(日本)
<ウェルター級/5分2R>
後藤丈季(日本)
松生知樹(日本)
<バンタム級/5分2R>
秋田良隆(日本)
熊崎夏暉(日本)
<ライト級/5分2R>
八木敬志(日本)
キンコンカンコンケンチャンマン(日本)
<ライト級/5分2R>
藤井丈虎(日本)
健椰(日本)
<フライ級/5分2R>
岩崎圭吾(日本)
福島祐貴(日本)
<バンタム級/5分2R>
原田康平(日本)
内田勇作(日本)
<OPバンタム級/5分1R>
岩田虎之助(日本)
小林龍輝(日本)
<OPライト級/5分1R>
LUCKYBOY慶輔(日本)
内山裕太郎(日本)