【Black Combat13】ダウトベックの次は、キム・ミンウ。木下カラテ「流れを掴むためにガンガン攻める」
【写真】常にだが、覚悟が決まっていて──どこか温和なカラテ(C)TAKUMI NAKAMURA
28日(土・現地時間)に韓国はソウルのソンブク区にある高麗大学校(コリョ・テハッキョ)ファジョン体育館(チェユックァン)で開催されるBlack Combat13で木下カラテがキム・ミンウと対戦する。
Text by Takumi Nakamura
9月のRIZIN48でカルシャガ・ダウトベックに挑むも、その強打に沈んだ木下。あの敗戦を機に己の打撃を一から見直す中、韓国のBlack Combatからミンウ戦のオファーが届いた。木下にとってはダウトベック戦に続く試練の2連戦となったが「ダウトベック選手やミンウ選手レベルの相手とやれる選手は少ない。そういう相手と試合を組んでもらえて本当にありがたい」と語っている。大沢ケンジの和術慧舟會HEARTSでの教えに加え、五味隆典から気合い・レスリング・戦いの思考を注入された木下がミンウとの大一番に臨む。
――2024年最後の試合でBlack Combat参戦が決まりました。オファーを受けた時は率直にどんな心境でしたか。
「自分がBlack Combatに出ることは想像していなかったですが、キム・ミンウという強い選手とやれるのでチャンスだなと思いました」
――9月のRIZIN48ではカルシャガ・ダウトベックに左ストレートでKO負けしていますが、あの試合を振り返ってもらえますか。
「ダウトベックが強いことは分かっていたし、勝つつもりでやったのですが、それでも勝てませんでした。そこに悔しさも感じると同時に、ここが自分の壁だなということも感じた試合でした」
――実際にダウトベックと肌を合わせて、どこに強さを感じましたか。
「スピードやパワーが想像以上だったというのは特にないんですけど、一瞬の、本当に一瞬の許しちゃいけない隙みたいなところを一発で持っていかれたなと思います。そういうところを突いてくる厳しさが自分の想像以上で、ダウトベックレベルの相手にはそういう厳しさがあるんだなと感じました」
――空手時代から色んなタイプの選手と戦ってきたと思いますが、そのなかでも特別でしたか。
「空手とMMAは顔面パンチの有無が大きいし、そこでの集中力という部分で勝手が違うので、単純な比較はできないですが、一瞬の隙を突く強さだったり、その隙をダウトベックに作られてしまったなと思います」
――木下選手がミスしたわけではなく、そうなるようにダウトベックに試合を組み立てられていたのですか。
「そうですね。上手く(試合を)作られたなと思います」
――そこを踏まえてどんなことを意識して練習をしてきましたか。
「1カ月間はダメージを抜くために休んで、基本的なところのスピードやパワー、顔面の技術も見直してきました。改めてですが空手とMMAでは勝手が違うところがあって、僕はボクシングもMMAもすべて空手だと言っているんですけど、僕の空手の中のボクシングという部分、顔面の攻防の技術が足りていなかったんだと思います。だからそこを一から見直してきましたね」
――例えば木下選手はボクシングジムに行ったり、打撃の専門家に教わることもあるのですか。
「そういう発想はなかったですね。ある程度の上達の仕方というか、気をつけなきゃいけないところは自分の中にあるし、HEARTSは優れた打撃の知識を持っている選手たちがいるので、HEARTSで練習していて自分が出来ていないと思うものがある以上、そこ(ボクシングジム)に行く必要はないのかなと思います。
自分の何がダメで何が悪いのか分からなくなったり、そこを修正できなくなったらボクシングジムに行く必要もあるんでしょうけど、今の段階では直さなきゃいけないところが幾つもあるので、HEARTSで自分の必要なことを学んでいます」
――今回対戦するキム・ミンウは元Road FCバンタム級王者で、2022年にはRoad to UFCにエントリー(初戦はシャオ・ロンがシンガポールに入国できず、不戦勝。準決勝は計量失敗で失格)。フェザー級に階級を上げて、今年1月のBlack Comabt10ではユ・スヨンとも対戦している韓国トップ選手です。対戦相手としてミンウの名前を聞いた時はどう思いましたか。
「おお、来たなと。楽じゃない相手というのはもちろんですし、言っちゃえばダウトベック選手もUFCには行っていないけど世界と戦える選手じゃないですか。キム・ミンウ選手もそのくらいの選手だと思いますし、対戦相手として名前を聞いた時は嬉しかったです」
――試合展開としてはどのような試合をイメージしていますか。
「技術的なもので言ったらミンウ選手はすごい上手なんですけど、自分の手が届く範囲というか。ダウトベック戦と比べると、より手が届きやすいところにいるのかなと思います。ただフィジカルがすごく強いですし、技術もある。あとは結構組んでくるんじゃないかなと思っていて、すごくキツイ試合をしにいく覚悟です。アウェーどうこうを気にしていられるような相手じゃないと思っています」
――前回のダウトベック戦に続いて試練の2連戦ですね。
「そうですね。でもそれが巡ってくる自分はすごくツキがあるなとい思います。ダウトベック選手やミンウ選手レベルの相手とやれる選手は少ないと思いますし、そういう相手と試合を組んでもらえて本当にありがたいです」
――またダウトベックに負けて反省点を修正している今だからこそ、チャレンジする相手として相応しいという考えもありますか。
「それもありますね。ばっちりいい相手が来たと思っています」
――日本からも木下選手が勝つ姿を楽しみにしているファンがたくさんいると思います。日本のファンに対してどんな試合を見せたいですか。
「最近のHEARTSの信条でもある仕掛けること。みんな仕掛けてキツイことをやっているので、僕もそれに負けずにやってやるぞと思っています。あとは前回の試合で自分の周りの人たちをがっかりさせちゃったので、みんなが期待できる自分を見せたいですし、何よりも自分自身に対して期待できる試合の内容を残したいです」
――先日大沢ケンジさんと一緒に仕事させてもらったのですが、現代MMAでは仕掛け・リズムの速さが必要だと話していました。木下選手もそこを感じていますか。
「めちゃくちゃ感じますね。楽なことをしていたら絶対に勝てない。流れを掴むためにも自分からガンガン攻めることが重要だし、それは自分のなかで覚悟が決まっていないと出来ないことなんです。で、そういう試合をすると見ている人たちも楽しい気持ちになると思います。
1~2カ月前から五味(隆典)さんのところで練習させてもらっているのですが、五味さんと大沢さんのおっしゃることが全く一緒なんですよ。MMAはしんどいものだから、とにかく攻めろ。そうすればそれが防御にもなると。五味さんのように強い人がそう言っているんだから、本当にそうなんだろうなと思います」
――勝負事における先手必勝の大切さというか、いい意味で相手へのリアクションを考えない=相手ではなくて自分に軸を置いて戦うことは必要だと思います。
「本当におっしゃる通りです。自分がやることを先に出して出して出して…相手も出して出して。そのなかで何かが起こる試合が一番お客さんも『うわー!』ってなりますからね」
――そういった戦いにおける思考や考え方を五味選手から学んでいるのですね。
「そうですね。五味さんと大沢さんはおっしゃっていることが一緒なんですけど、五味さんはより細かいところというか、そういう仕掛けや勝負どころの感性がものすごく鋭敏な方なので、HEARTSの教えを通して五味さんの話を聞くと、余計に納得できる部分がありますね」
――もともと五味選手のところに行くきっかけは何だったのですか。
「気合いを入れたいな、と。あとは立ちレスと組みを強化したくて(練習を)お願いしています」
――木下選手と五味選手では細かい打撃のスタイルは違うと思いますが、 打撃で圧倒的な圧力があってレスリングで負けないと意味では、五味選手はMMAのストライキングにおける重要なものを昔から持っていた選手ですよね。
「そうだとい思います。実は最先端のことをやってらっしゃいましたよね。きっと五味さんと大沢さんが交わることない人間同士なんだろうなと思いますが(笑)、僕はお2人の考えはすごく近いところがあると思いますし、お2人とも真剣に格闘技をやってきたすごい人たちじゃないですか。その2人のエキスをいい具合に僕のところで混ぜることが出来たらなと思っています」
――それでは最後に日本のファンに向けてメッセージをいただけますか。
「今、日本のMMAが海外に少し遅れを取ることが多いので、見ている人たちや応援してくえる人たちがスカっとするような空手を見せて頑張ってきます」
■視聴方法(予定)
12月28日(土・日本時間)
午後6時30分~メインカードBlack Combat YouTubeメンバーシップ
午後2時00分~アンダーカードBlack Combat YouTubeメンバーシップ
■ 対戦カード
<フェザー級/5分3R>
キム・ミンウ(韓国)
木下カラテ(日本)
<Black Combatミドル級選手権試合/5分3R>
[王者]チェン・ウォンジュン(韓国)
[挑戦者] オ・イルハク(韓国)
<Black Combatライト級選手権試合/5分3R>
[王者]大原樹理(日本)
[挑戦者] ムン・ギボム(韓国)
<Black Combatバンタム級王座決定戦/5分3R>
キム・ジェウン(韓国)
山本聖悟(日本)
<Black Combatフライ級王座決定戦/5分3R>
ユン・ホヨン(韓国)
駒杵崇大(日本)
<ウェルター級/5分3R>
ジン・テホ(韓国)
チェ・ジュンソ(韓国)
<ライト級/5分3R>
パク・オジン(韓国)
ジョン・ハングク(韓国)