この星の格闘技を追いかける

【ONE FN26】若松祐弥戦─UFCの登竜門LFAで無敗 ギルバート・ナカタニ「ユーヤができないことができる」

【写真】生まれ育ったコビーナはラテン系の街。メキシコの血も流れるギルバートだが、日本が大切なピースになっていた(C)MMAPLANET

7日(土)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Fight Night26「Lee vs Rasulov」でギルバート・ナカタニが、若松佑弥と対戦する。
Text by Manabu Takashima

誰もが認める実力者に対し、その誰もが北米で戦えばどうなるのかという想いを抱いてきた。ナカタニはUFCへの登竜門LFAで2勝0敗、フライ級王座を目指せて存在だ。

そしてナカタニという苗字で分かるように日本人の血が流れるファイターをインタビューした。


──12月7日にONEデビュー戦で若松佑弥選手と戦います。今の気持ちを教えてください(※取材は11月28日に行われた)。

「ワクワクしているよ。過去数カ月、来るべきビッグファイトのためにハードトレーニングを繰り返してきた。それに時差と気候が違うから、タイに試合の2週間以上前に入って調整してきた。凄く良い練習ができている。ビーチを走るのも気持ちが良いし、汗をかくのに凄く良い場所だよ(笑)。あまり晴れの日はないけど、雨が降っていて暖かい。ルンピニーという場所で、僕の力を世界中に見てもらうことが楽しみでならない」

──タイではどこで練習を?

「プーケットでムエタイはセンティアンノーイ、MMAはバンタオMMAで練習している。基本はトー・センティアノーイのムエタイのキャンプをやっていて、そこには複数の優れたムエタイの選手がいる。彼らがどういう練習をしているのかも見てきた。色々なジムで練習するのも楽しいし、今はバンタオのヒックマン兄弟の下で、MMAとグラップリングの練習をしてキャンプの最終局面に入っている。何人かUFCファイターとも練習をして、凄く良かった。僕とは違ったタイプの技術も吸収して、試合の準備をしてきたんだ」

──ナカタニというのは、紛れもなく日本の姓ですよね。

「そうだよ。お祖父さんのロン・ナカタニが日系人で、僕が幼い時に亡くなったけど、凄く勤勉な人でたくさんの良い話が残っている。僕は、その血筋とナカタニの姓を背負って生きている。母もそうだよ。彼女は早くに旅立ってしまったけど、2人の影響は凄く大きい。

僕自身はLAから車で30分ほど東にいったコビーナで育ち、アメリカナイズされた生活をしていた。それでも、やはり日本の習慣というのは残っていて……いつも祖父と母が僕の周りにいてくれるような気がしていたんだ。先祖代々、ナカタニの名前が紡がれてきたわけだし、今も空の上で2人が僕を見守ってくれている。そして常に一緒に戦ってくれているに違いない。

僕の運動能力の高さや、運動神経の良さはそんな先祖から受け継いだ才能だから、祖父や母に凄く感謝している。13歳の時にレスリングを始め、サンガブリエル・バレー地域ばかりか、カリフォルニア州でも最強のレスリング・クラブがある高校に通っていた。レスリングという基礎があるから、今も続く素晴らしい日々を送ることができた。

レスリングを愛しているし、同様にMMAが大好きなんだ。僕の持つナカタニの姓に相応しい能力を発揮して、世界中のファンを夢中にさせたい。なんといっても、僕には日本の血が流れているのだから、いつの日か日本に行って日本のファンの声援を受けて戦いたいと思っている。だから、ONEで戦うことで、僕がどこまで高見を目指すことができるのか楽しみでならないんだ」

──日本のMMAメディアとして、LFAの対戦カードにナカタニという名前を見つけた時から注目せざるを得ない存在でした。そのLFAで2勝0敗だったにも関わらずUFCでなく、なぜONEを選んだのでしょうか。

「UFCと契約したくて、その道を突き進んでいた。UFC FIGHT PASSで中継されているLFAで無敗のガブリエル・ゴミス戦、同じく無敗のジョーダン・ハリス戦でも勝った。試合内容も良かった。だからこそ、ONE Championshipも僕のことをリサーチしたんだと思う。結果的にUFCから声が掛らない時に、この機会が訪れた。コーチとも相談して、ONEで戦っていくことを決めた。そこにはMMAを戦いながら、世界を回りたいという気持ちがあったんだ」

──そして、初陣では日本人選手の若松選手と戦うことになりました。

「日本人の血が流れる人間としてだけでなく、ユーヤのことを凄く尊敬している。ランキング2位で、僕のようにウェルラウンダ―だ。彼はスピードがあって、パワフルなパンチを持っている。ただ僕のムエタイ、レスリング、ファイトIQは強力で必ず勝利に導いてくれるだろう。この試合で勝ってランクを上げて、いつの日か必ず世界チャンピオンになる。

とは言っても、この試合は特別なモノでなく一つの試合だ。自分を信じているし、練習でやってきたことに自信を持っている。あまり試合がどうなるのか、彼が何をやってくるのかということを考えないんだ。そこに重きを置いていない。僕は自分が分かっている。自分をコントロールして、何ができるかに集中している。何よりユーヤができないことを僕はできると思っている。そこをついて、しっかりとドミネイトすれば自ずと結果は見えてくるだろう。自分の手が挙げられること、とにかく勝ってカリフォルニアに戻り娘の将来をより良いモノとしたいんだ。娘から離れて練習をして戦う。クリスマスを一緒に過ごすことが楽しみでならない」

──娘さんの将来のために、ここで勝つ必要があるということですね。ところでONEでは北米で戦っている時と階級制度や計量システムが違い、ルールも違います。

「過去に計量に失敗したことはない。レスリング時代は朝に減量をして、少しだけ食事を摂って1時間後にはマットで戦っていた。135ポンドで戦ったこともあるし、この試合で僕が如何にできるかを証明したい。しっかりと計量にパスして、力強くスピードのある戦いを皆に見てもらうよ。ONEの計量システムは北米より徹底していて、水分を失わないように体重をコントロールし、しっかりと補水することが求められている。

この計量方法だと、ファイトする時の体調も極めて良好になる。だからこそ、自分がどれだけやれるのか楽しみにしている。何よりファンも楽しめるエキサイトな試合をし、ユーヤをフィニッシュしてボーナスを手にしたいね(笑)」

■ONE FN26視聴方法(予定)
12月7日(土・日本時間)
午前9時45分~U-NEXT

PR
PR

関連記事

Error, no Advert ID set! Check your syntax!

Movie