【RIZIN48】ダウトベック戦へ、木下カラテ「怖いと言ってちゃしょうがない」&「カラテだよ。バカヤロー」
【写真】決して肝が据わっているわけではない。肝を座らせているのだ、普段の修練で(C)MMAPLANET
明日29日(日)、さいたま市さいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN48で木下カラテがカルシャガ・ダウトベックと戦う。
Text by Takashima Manabu
6月に5年9カ月振りのRIZIN参戦を果たし、強力無比なボディショットで関鉄矢を葬ったカザフの豪腕ダウトベックとの対戦は、木下にとって昨年6月以来のRIZIN出場となる。
現在3連勝中の木下自身が、今回のオファーに対して「僕が最初に声が掛っているわけじゃない」と、自身にチャンスが舞い込んできた現実にモノをいう姿勢を強くみせた。加えて、ダウトベック戦を受けたことで「漢」と評されることにも納得がいっていない。
強くなるためにMMAを戦っている。技術オタクが挑む、フィジカルを越えたところで行き着くことができる燃えカス・ファイト。いよいよ明日に迫ったダウトベック戦、フルコンタクト空手家故の策とは──。
彼を『怖ぇ』って言っていたらどうすんのよっ
──ダウトベック戦を約3週間後に控えた木下選手です(※取材は6日に行われた)。金ケ崎のしんがり、まるで命を賭したファイトに向かうような心境ではないでしょうか。
「アッハハハハハ。皆、そう言いますけど、僕は全くそんなこと思っていないです。『漢気ある』とか言われていますけど、それは……僕が摩嶋(一整)選手との試合を受けたら、そういうことになりますよ。ハッハハハハハハハハ。
摩嶋選手との対戦オファーを受けて『漢だ』って言われるのは分かります。でもダウトベック選手は強いけど──強いんだろうけど、ソレを怖いと言ってちゃしょうがないじゃないですか」
──打撃は木下選手のフィールドです。
「組みと組み合わさったタイプの方が嫌です。別にダウトベック選手だけでなく、外国人選手は皆あんなもんですよ。しっかりと殴ることができる。でもボクシングだけ……例えばK-1ルールで戦うとしたら、そんなに強くないと思います」
──おおっ!!
「僕はK-1の結構強いところとやれると思っていますから。ダウトベック選手は本当に強いですよ。でも、彼を『怖ぇ』って言っていたらどうすんのよっ」
──戦いようはあると。
「戦いようっていうか、そのままの力をぶつけても僕はそんな引けを取らないと思っています。フィジカルが強いっていっても、強い選手は皆が皆フィジカルは強いですから。
強くなりたくて、コレをやっているから。強いヤツが持っている条件が揃っている相手とのオファーが来て『やだ、怖い』なんて言ったら、自分が普段から言っていることと違います。自分に嘘をつくことになる。別に普通にやらないといけない試合だろうって」
──やはり漢ですよ。男は皆、自分にできないことができる人のことを漢って呼ぶはずです。今や『外国人選手とは戦いたくない。日本人選手と戦ってベルトを巻きたい』と平気でオファーされた際に口にしてしまう選手もいるようですし。
「ダウトベックの対戦相手として、最初に僕のところに話が来たって思えないんですよ。ね、絶対に。何人か断っていると思うんですよ。ここは僕の推測ですけど。RIZINのなかだけでなく、RIZINの外でも3団体で僕より先に声が掛った選手はいるはずで。
そいつらが全員、芋を引いてブルっているから俺に回ってきた。そう思っていて……」
──うん。
「そんな人達にフェザー級を代表しています──みたいな顔をされてもねぇ……」
──そうですね。失礼ながら、いの一番に木下カラテに声が掛るわけはないですよね。
「絶対にそうですよ」
──佐伯さんが『誰もいないなら、木下だ』って言っているかもしれないです(笑)。
「アッハハハハ。ホントにそうですよ」
──でも木下選手からすると、受けるのが当然だと。
「ハイ。そりゃあダウトベック選手が強いのは見りゃあ、分かる。分かるから、怖い気持ちもありました。でも、それは試合のたびにいつも思うことで。勿論100パーセント勝つつもりで行くし、勝つ気でいる。勝てるとも思っているし。
俺の前でふんぞり返ってオファーをスルーしたヤツとか、そういうところに目を向けないでやっている選手たちに対して、『お前ら、全員ごぼう抜きにしてやるからな』という気持ちでいます」
僕らがやっていることはBreakingdownの究極系であって。戦いですから
──それでも試合後に『なんか、違っていましたね。体が……』とうなだれている木下選手の姿も想像できてしまう……。
「アッハハハハハハハハハハ。そうッスよね。体の圧、勢い。日本人が丁寧にやるところで、彼は荒々しく勢いでくる。そこでまず勝てるように……圧と荒々しさで逆にこっちが呑むつもりで。喧嘩をしにいくつもりで戦う。そこを越えて初めて技術の勝負ができます。技術の勝負になったら、こっち方が部があると思っています。
まぁダウトベック選手はパンチのテクニックも普通に上手いですけどね。普通に上手いから、逆に読みやすい。実は端正な攻撃をする選手です。凄くきれいなボクシングをやる選手で、左のオーバーハンドから攻めてくるから荒々しく見えるように思うけど、ステップ自体は後ろ足を小まめに蹴りながらフェイントも見せる。凄く端正なサウスポーのボクシングをやっています。だから逆にやりやすいだろうと」
──実はテクニシャンが本領発揮できると。
「フィジカルのところを越えると、こっちが戦いやすくなる。僕って空手は塚本徳臣、ボクサーで一番好きなのはワシル・ロマチェンコ。どう考えてもムエタイはセンチャイが好きで。根っからの技術屋なんですよ。でも、ロマチェンコみたいな綺麗なボクシングをする人が『俺は戦争をしにいく』って言っていて。
技術は本当に大切で、そこがないと勝負にならないです。でも、戦争にいくつもりで戦います。喧嘩とMMAは違いますけど、喧嘩だって技術がある方が勝つ。僕らがやっていることはBreakingdownの究極系であって。戦いですから。ダウトベック選手を気で呑み込むつもりでやって、その先にある残りカスの技術で勝負する感じです。
向うが打撃戦を下りてMMAをやってくると、もうカウンターも入りますしね。僕が久保(優太)選手にやられたように」
──腕は二本。足を合わせると攻撃手段は四本。それでも……ダウトベックのあの左ボディショットを見ると、これは木下カラテの〇〇〇〇〇〇〇が決まると。そう思っている自分もいます。あの距離になっても、フルコンタクト空手家はソレがあるんだぞ、という浪漫を見ることができるのではないかと。
「ハッハハハハハハ。鋭いッスね。狙っています。だから、書かないでくださいよ」
──あっ、でも自分が考えられるようなことですから、ダウトベック陣営だって考えますよね(笑)。
「いや、考えていないと思いますよ。まぁカザフスタンも空手は強いですけど。僕と戦った時、アイツらは見えていなかったです。まぁ左ボディが来たら、フフフフフ」
──不敵な笑みが見えました。
「まぁ、カラテだよ。バカヤローみたいな感じで。もちろん、そこで終わらずに二手、三手と用意していますけどね」
──そこからハマるパンチが炸裂ですか。
「神田(コウヤ)戦は全くハマらなかったですけどね。アッハハハハハハ。次はハメます。ハメないと。神田選手との試合が終わって、次は青井人選手との試合を想定していたんですけど、そこでダウトベック戦の話がきて。凄く気持ちに張りも出てきて、1日、1日と打撃が成長しているのが感じられます」
──徹底して組まれて、削られ。ギリギリの状態になって、少し自分の打撃が出せた。そして計量失敗のペナルティもあって勝利を手にして、ここに来た。神田選手との試合は、まさにターニングポイントになりましたね。
「あの試合と比べると、強いけどダウトベックは戦いやすいです。でも、燃えていますよ。こういうと失礼になりますけど、もうRIZINとか戦う場所は関係ないッス。見てくれる人が多いことは嬉しい──それは間違いない。でも、この強い選手と戦うことができるとなると、どこだろうが関係ない。だからこそ、この舞台を用意してくれたRIZINに感謝しています。
木下カラテ、丁度良いなって組まれたかもしれない。ダウトベックの技量を図るテストケースとして組まれたという見方だってあります。でも、全部ひっくり返しますよ」
──ひっくり返すと、次は摩嶋戦ですね。
「えぇ、そこですか? ハハハハハハ」
──それか横山武司戦なども、柔と手の戦い。楽しみにしたいです。
「ああ、横山さんなら摩嶋選手との試合のように漢気は必要ないです。柔術が強いといっても、(風間)敏臣君とやっているし。上を取る力が強くないから、そこは平気です」
──それだけ可能性が広がる勝負になるわけですね。そうなると先ほど名前が出た青井選手への挑戦というストーリーラインは?
「ベルトは欲しいです。まぁアレも欲しい、コレも欲しいってことなんですけど(笑)」
──だからこそダウトベック戦、下馬評を覆すファイトを期待しています。
「押忍。胴回し回転蹴り、決めてやります。アハハハハハハ」
■RIZIN48視聴方法(予定)
9月29日(日)
午後2時00分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!