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【ONE FF81】約2年半ぶりの勝利へ。秋元皓貴「今回は泥臭く、エナッシにいい動きをさせない」

【写真】元キックボクシング王者対決を制して、連敗脱出を目指す秋元(C)TAKUMI NAKAMURA

9月27日(金・現地時間)タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催される「ONE Friday Fights 81」にて秋元皓貴がイリアス・エナッシと対戦する。
text by Takumi Nakamura

Evolve MMAプロ部門の事実上の解散により、日本に活動拠点を移し、POWER OF DREAMで練習を続けている秋元。その初陣となった5.4ONE Fight Night22でのウェイ・ルイ戦はウェイ・ルイのアウトボクシングにポイントが入る形で敗北を喫したが、自身のパフォーマンスには手応えを感じた。

練習環境を変えて挑む2戦目の元ONEキックボクシング世界王者エナッシで、豪華対戦カードが並ぶ今大会のなかでも注目のマッチアップとなった。この一戦に向けて秋元は「エナッシが嫌なことをやって、エナッシの良さを消す」と2022年3月以来となる勝利への執念を口にした。


――前回5月のウェイ・ルイ戦は判定負けという結果でしたが、秋元選手が勝ったという声も多かった試合です。秋元選手も試合後に色んな想いがあったと思いますが、あの試合を振り返ってもらえますか。

「やっぱり自分の中では、もっともっとできたという気持ちはあるんですけど、しっかり仕事はできたのかなというか。自分がやることはできたと思っていたので、結果として判定で向こうに上がってしまったっていうのはすごく残念でした」

――試合後に判定や再戦についてSNSでも発言されていましたが、実際にONEのスタッフと話をする機会はあったのですか。

「ONEのスタッフを通じて、ONEに対して判定に対する抗議だったり、どうにかなりませんかという話はしました。どちらかと言うとリマッチに関してですね。正直、判定結果が変わるのは難しいと思っていたので、リマッチできないかということだったり、そうした動きをした方がいいのかなと思って、普段はやらないことなのですが、少しだけやりました」

――ご自身のパフォーマンスという部分ではどんな手応えがありましたか。

「POWER OF DREAM(POD)にきて最初の試合ということもあって、本当に一から作り直した部分もありました。それが一発目にしてはできたのかなとは思うし、出来としてはそんなに悪くはなかったと思います。ただもっともっと改善点だったり、やれることがあったかなと感じています」

――PODで練習→試合をやってみて、ご自身の中でのファイトスタイルの変化やどういった部分でレベルアップしたと感じていますか。

「本当に色々あるんですけど、また今回は前回とは違うスタイルで今はトレーニングしていますし、練習する相手によって色々と変えながら。PODに行ったから、PODのスタイルのなかで僕のスタイルを確立するというよりは、色んなことをやりながら、目の前の相手に対して何が一番いいのか?をやっていければなと思っています。そのうえでPODはパンチが強いジムなので、パンチ力は純粋にかなり上がったと思います」

――色んな選択肢があった中でPODを拠点にしようと決めたのは、学ぶものが多かったり、ここで強くなれるという実感があったからですか。

「そうですね。ここでならもう1回やれるんじゃないかと思ったのが、PODを選んだ理由です」

――秋元選手から見てPODの古川誠一会長の指導にはどんな特徴的があると思いますか。

「古川会長は格闘技だけでなく、色んな競技・スポーツのコーチやトレーナーの経験があって、格闘技でも相撲を教えられていたり、すごく頭が柔軟だなと思います。キックボクサーだからこうじゃなきゃいけないとか、そういう固定観念みたいなものが全然ないというか。そういう姿勢に学ぶことも多いですし、いろんな競技・スポーツのいいところを総取りするというか、そういったところが魅力だと思います」

――練習中に古川会長と話すことも多いのですか。

「もちろん自分から聞くこともしますが、どちらかというと僕の練習だったりマスだったり、スパーリングだったりを見て、こういう動きをしていこうよとか、そういうアドバイスをいただくことが多いです」

――今大会では元ONEキックボクシング世界フライ級王者のエナッシと対戦することになりました。エナッシにはどんな印象を持っていますか。

「印象はシンプルに”強い”というのがありますね。あとはスピードが速くて、手足の使い方が上手い。そういった小さな技術ももちろんありますし、階級上げてきてパワーがかなりついているだろうなと思います」

――お互いに穴が少ないタイプだと思うので、どう攻略するかを双方練っていると思います。秋元選手はかなり戦略やプランを作っていますか。

「かなりそこは作っています。自分の中では倒せる技や、タイミングが合えば倒せるだろうなっていうところが何カ所かあるので、そういったところをしっかりと狙って。あとは逆に自分がもらわないように意識してやりたいなと思います」

――以前インタビューさせてもらったときに、秋元選手はOFGのムエタイではなく、グローブでのキックボクシングルールにこだわりやプライドを持っていると感じました。エナッシとはハイレベルなキックボクシングの試合を見せられそうですか。

「そうですね。ただ自分がいい動きをすれば、相手も絶対いい動きをしてくるので、いかにそうさせないかというところを意識しています。今回は泥臭くというか、エナッシの嫌なこと嫌なことをどんどんやっていきたいです」

――今回はそれだけ勝つこと、結果を出すことにこだわっていますか。

「はい。エナッシにとって嫌なことをしていくことで、エナッシにフラストレーションが溜まって、動きが大雑把になると思うので、そういったところを狙っていきたいと思っています。今回はエナッシのいいところを消せるように頑張りたいです」

――いい意味でかみ合わせない、と。

「そうですね」

――そして今大会はONE Friday Fightsシリーズの中でもテントポール大会と呼ばれる通常よりも豪華なマッチメイクが並ぶ大会です。この日は日本はもちろん、タイでも大きく盛り上がりそうな興行ですよね。

「チケットもすぐ完売したみたいですし、かなり会場も盛り上がると思います」

――日本人からも秋元選手以外に武尊選手、小笠原瑛作選手と合計3選手が出場します。(※取材後に陽勇の参戦が決定)そういった形でONEでも日本人選手が増えています。秋元選手の中では仲間でもあり、いい意味で切磋琢磨するライバルという気持ちもありますか。

「そうですね。最終的には個人競技なんで、言い方は難しいですが、完全な仲間ではないと思うんですよ。おそらくないとは思いますが、もし武尊選手が階級を上げることになれば試合をする可能性もあるわけで、そういうことになれば、もちろん僕は戦いますし、僕が階級を上げる・下げることになったら、その階級の選手とは誰とでも戦う可能性があると思います。もちろん同じイベントに出るという意味で応援はしていますけど、もしかしたらいつか戦わなきゃいけないかもしれないというのは常に頭に入れています」

――日本でも多くの人がこの大会を見ると思うのですが、そういった中で秋元選手は自分のどんな姿を見せたいと思ってますか。

「ずっとONEを見てきた日本のファンの方ももちろんいると思いますし、もともと武尊選手やK-1を見ていてONEはあまり見ていないという方、小笠原選手やKNOCKOUTは見ていたけどONEは見てないという方もいると思います。今回のONEはどの試合もレベルが高いですし、エナッシも相当強いんで、かなりレベルの高い試合を見せられると思っています。その中で自分がいかに目立てるかが重要だと思っています」

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