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【ONE171】イリアス・エナッシ「ペッタノンは素晴らしい選手。でも今はマイ・タイム、俺の時代だ」

【写真】2014年と2016年に日本で試合をしているエナッシ。当時は10代後半~20歳だったが、今ではONEを代表するキックボクサーに成長した(C)TAKUMI NAKAMURA

20日(木・現地時間)にカタールはルサイルのルサイル・スポーツアリーナで開催されるONE171「Qatar」で、イリアス・エナッシがペッタノン・ペットファーガスと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

かつてONEキックボクシング世界フライ級王者として君臨し、スーパーレック・キアトモー9にONEで唯一の黒星をつけているエナッシ。フライ級王座を返上してバンタム級に階級を上げると、それまでのアウトボクシング主体の戦いから一転、自分から前に出るインファイトも取り入れたスタイルに変貌を遂げ、アリアスガー・ゴドラティサラスカンと秋元皓貴から勝利を収めている。

同じカタール大会で王者ジョナサン・ハガティーと挑戦者ウェイ・ルイによるONEキックボクシング世界バンタム級選手権試合が組まれている中、虎視眈々とベルトを狙うエナッシに話を訊いた。


――昨年9月の秋元皓貴戦は左フックでダウンを奪っての判定勝利でした。

「すごくいい試合だったと思うよ。元チャンピオンの秋元に勝つことが出来てハッピーだった」

――パンチでダウンを取ることはゲームプランだったのですか。

「俺は俺自身のことをよく理解している。秋元がすごく蹴りが強くて得意だということも分かっていたし、彼が蹴りで試合を組み立ててくることも想定していた。だから試合中は自分からプレッシャーをかけ続けて、秋元のガードが下がる瞬間を狙っていたんだ。ちょうどそのタイミングで自分の得意な左フックを当てることが出来たよ」

――以前のエナッシ選手は足を使って自分の攻撃を当てる上手いスタイルという印象がありました。最近の試合を見ていると自分から相手に圧力をかける攻撃的なスタイルに変わったように感じます。そこは意識して変えているのですか。

「確かに以前は下がり気味にフットワークを使って戦うスタイルだった。そのなかで対戦相手やスパーリング相手に対して、いつもと違うことをやる、つまり自分からプレッシャーをかけることで相手を驚かそうと思ったんだ。いざそういった動きをやってみるとすごく動きが良くなったんだよ。自分からプレッシャーをかけて足を使う、自分からプレッシャーをかけて足を使う……そういう動きを繰り返した方がより相手にダメージを与えられることに気づいたんだ。

 前回やった秋元も、その前にやった相手(アリアスガー・ゴドラティサラスカン)も自分からプレッシャーをかけてくるタイプで、周りはみんな俺が下がって足を使って戦うだろうと思っていたはずだ。だから俺はそれだけじゃないんだぞというところを見せたくて、自分から前に出る戦い方をやってやったんだ。実際にそれでいい結果を出せたわけだし、前に出る・足を使う、そこを使い分けることで自分のコンビネーションがものすごく当たるようになったよ」

――またフライ級からバンタム級に階級を上げたことで動きがよくなった実感はありますか。

「もちろん。フライ級時代はかなり減量がキツかったから、バンタム級に上げたことでより力を発揮できるし、パワーをつけるトレーニングも出来る。そしてさっき話したような自分から前に出るファイトが出来るようになったのも階級を変えたおかげだね」

――今回対戦するペッタノン・ペットファーガスにはどんな印象を持っていますか。

「自分より少し年上の経験豊富ないいファイターで、そして人間的にも素晴らしい。だからすごくリスペクトしている。でも今はマイタイム、俺の時代だ。秋元に続いて元チャンピオンと戦えることにやりがいを感じているよ」

――ペッタノンは左ミドルとヒザ蹴りが得意なファイターですが、それに対する攻略法はできていますか。

「秋元戦もそうだったけど、自分は対戦相手のことをしっかりと研究して戦っている。秋元はパンチと蹴りが強い選手だけど、スピードは自分の方が上で、そこを活かして戦った。それはペッタノン戦でも同じで、俺はペッタノンよりもスピードがある。ペッタノンがミドルを蹴ろうがヒザ蹴りを出してこようが、俺はそこにカウンターを合わせて倒す準備をしているよ」

――エナッシ選手はVSタイ人は無敗ですが、タイ人やムエタイスタイルを攻略するのが得意なのですか。

「その通り、俺はタイ人には一度も負けたことがない。俺がタイ人に負けなしの理由は俺がダッチ・キックボクシングスタイルだからだよ。パンチをしっかり当てて、蹴りにも対応できる。だから俺はタイ人には負けないし、ペッタノン戦も同じ結果になるだろうね」

――同じカタール大会ではエナッシ選手と同階級のタイトルマッチ=ジョナサン・ハガティー×ウェイ・ルイの一戦も組まれています。エナッシ選手はこの試合をどう予想していますか。

「いい試合になるだろうね。でもどちらが勝とうが俺には関係ない。俺はその試合で勝った方に挑戦してベルトを獲るだけさ」

――エナッシ選手は2014年と2016年に日本で試合をしていますが、また日本で試合をしたいという気持ちはありますか。

「もちろん。日本のファンは本当に素晴らしいし、秋元もそうだったけど、日本人ファイターは試合前でも試合後でも尊敬る出来る選手ばかりだ。日本の食事や文化もすべて好きだから、もしONEから『日本で試合をしないか?』と言われたら100%OKするよ。日本で初めて試合をした時は18歳の時だったし、試合にも負けてしまった。2度目の来日ではBLADEという大会でチャンピオンになることが出来たけど、あれからたくさんの経験を積んだし、ファイターとしても成長・成熟した。もし日本で試合することになったら、あの時とは全く違うイリアス・エナッシの姿を見せられると思う。そしてまた日本でビッグファイトが出来たら最高だね」

■ONE171 視聴方法
2月20日(木)
午後23時00分~U-NEXT

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