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【Gladiator027】「自分に対して恥ずかしかった」和田教良がオトゴンバートル戦を受けた理由と勝算

【写真】和田教良という漢の生き方(C)MMAPLANET

7日(日)、大阪府豊中市の176BOXで開催されるGladiator027で、和田教良がオトゴンバートル・ボルドバートルと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

当初はNavEとのフライ級トーナメント決勝=同級王座を争うはずだったオトゴンバートルと、ノンタイトル戦で激突することになった和田。このオファーを聞いた時、最初は断ったという。なぜ改めてオトゴンバートルと戦うことを決めたのか。その理由に和田の生き方が表れている。


『あの時、逃げなければよかった』と後悔しながら生きるのは嫌で

――先日、和田選手のガイオジムで練習している吉田開威選手が中国で見事なKO勝ちを収めました。

「あぁ! 凄かったですね」

――今ちょっと緊張気味の和田選手が、一瞬にして笑顔になりました。お二人の関係性がよく分かります。

「僕は岩盤浴しながら試合を視ていたんですよ。KO勝ちの瞬間、思わず叫んでしまってお店から怒られました(笑)」

――アハハハ! では本題ですが、今回はオトゴンバートルと対戦します。和田選手にとって、このオファーは意外ではありませんでしたか。

「意外でしたし、オトゴンバートル戦のオファーが来た時、1日考えて一度は断りました」

――えっ!? 一度断った、とは……。

前回の試合は負けていて、今回は落としたくないと思いました。でも断ってから後悔の気持ちが大きくなって、櫻井(雄一郎グラジ代表)さんに『やはりオトゴンバートルと試合させてください』と連絡したんです。自分は強い相手に対して逃げた――引退して十年後に『あの時、逃げなければよかった』と後悔しながら生きるのは嫌で」

――今の和田選手にとって、MMAを戦ううえでの目標は何なのですか。

「後悔しない。やり切る。それがMMAをやるうえでの自分の目標です。そのなかでベルトが欲しいという気持ちだったり、今回のように強い相手と対戦したいという想いがあります」

――だからこそ、最初はオトゴンバートル戦のオファーを断った自分が許せなかったのでしょうか。

クボケン(久保健太)さんとの試合を視ると、正直メチャクチャ怖いです。まだ全貌が見えていないのに、もの凄く評判も高いじゃないですか。まだどこまで強いか分かっていない。それこそ将来的にUFCで戦うようなレベルの選手やと思うんですよ」

――確かに久保健太選手との試合は「これがプロ2戦目の選手か……」と思いました。

「一方で自分は前回負けていて、今度は勝っておきたいという気持ちはありました。オファーを頂いた時に『試合するなら他の選手がいい』と思ったことは事実です。でも、それでは絶対に後悔することになる。だから自分としては『戦う場に戻ってきた』という感じです」

――これだけ評判が高いオトゴンバートルと対戦することを、チャンスだと捉える選手もいるでしょう。すでにNavE選手とベルトを賭けて戦うことは決まっていて、そのオトゴンバートルに勝てば自分がタイトルに絡むことができるようになるチャンスです。

「仰るとおり、ここで僕が勝てば――NavE選手とオトゴンバートルのトーナメント決勝が行われたあと、その勝者と僕が対戦することになるとは思います。でも自分がベルトに挑戦できるとか何とかは頭になかったですね。とにかく強い相手から逃げたことが恥ずかしい。何よりも自分に対して恥ずかしいと思いました」

――……。

「一度逃げたことで、自分に対して自信がなくなったんですよ。今後もMMAを続けるかどうか、ということまで考えました。『ここで逃げるぐらいなら、もう自分は現役を続けるべきじゃない』と……。

自分がオトゴンバートルと対戦するのは、無謀と言われるかもしれません。でも勝負事だから勝敗は、あくまで結果じゃないですか。それよりも戦う舞台に立たない自分自身が恥ずかしかったです」

弱い自分を克服するためには、強い相手に勝つしかない

――ファイターであれば全員が、その気持ちを持っていてほしいと思うところはあります。

「でも、よく噛ませ犬のようなマッチメイクがあるじゃないですか。『噛ませ犬のほうは、どんな気持ちなんやろうな』って思うんです。言っていることが違うかもしれないけど、勝算ゼロの試合はやるべきではない、と考えていて」

――……ということは、オファーを断ったあとにオトゴンバートルに対して勝算を見つけたのですか。

「実は……う~ん、何て言うのかな……、……」

――見つけたのですね。

「ちゃんと対策をして、それがハマれば勝てると思います。一度オファーを断ったあと、チームメイトに訊いてみたんですよ。さらに自分で一晩――それこそ寝ずに考えて。

たぶん今回倒さないと、もう誰も勝てなくなるぐらい強い選手やと思うんです。まだプロ3戦目で、成長具合も凄いでしょうし。だから今回潰しておきたいです」

――今後オトゴンバートルがUFCに行って、「今まで一番強かった相手は?」と訊かれた場合に和田選手の名前が出たら、それだけでお酒を美味しく飲めるでしょう。

「アハハハ! そうですね。僕、ずっと『練習では強いけど、試合に出ると緊張しすぎてしまう』と言われてきました。前回の負けもそうやったんです。ケージに入った瞬間、何か舞い上がってしまい……。だから今、寒天(春日井”寒天”たけし)さんとも話をして、メンタル面を上げてもらっています」

――そうだったのですね。確かにフィニッシュシーンは、和田選手がなぜか一瞬止まってしまったように見えました。

「そこを見逃さなかったチェ・ドンフンが強かった、ということですよね。自分の中でコンディションは、メチャクチャ良かったです。でも人から、そういうふうに言われて『あぁ自分はそうやったんや』と。弱い自分を克服するためには、強い相手に勝つしかない。今回は勝つなら、フィニッシュするしかないと思っています」

――というと?

「爆発力は凄まじいと思うので、そんな相手をフルラウンド抑え続けるのは難しいです。だから判定で勝つために漬けようとしていては勝てない。逆に漬けようとしたら立たれて、また漬けようとしたら――僕のほうが削られる可能性が高いですよね。細かいことは言えないけど、オファーを断ったあとに考えて、受けた後に対策をつくり直してきました」

――これは無謀な挑戦ではなく、「当たって砕けろ」という試合でもない。和田選手にとっては、しっかりと対策を立てて臨む一戦です。

「はい、今は『逃げなくて良かった』と思っています。もっと賢い生き方もあるかもしれないですけど」

――人間であれば、目の前の困難から逃げたくなる時があって当然です。しかし後悔すると分かっているのに困難から逃げることが、賢い生き方なのでしょうか。

「いやぁ、ここで勝ったら絶対に再戦はあると思うんですよ。その再戦が怖いです(苦笑)」

――どういうことですか(笑)。

「今回考えている対策が次の試合でハマッても、再戦では決まらないと思います。一回こっきりの作戦です。その一回をバッチリ次の試合に持ってきますよ!」

■視聴方法(予定)
7月7日(日)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■GLADIATOR027 計量結果

<Gladiatorバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] 竹本啓哉:61.1キロ
[挑戦者] 竹中大地:61.1キロ

<Gladiatorフェザー級王座決定T準々決勝/5分3R>
ダギースレン・チャグナードルジ:65.9キロ
アドニス・セビジェーノ:65.8キロ

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定T準々決勝/5分3R>
チハヤフル・ズッキーニョス:66.0キロ
中川晧貴:66.1キロ

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定Tリザーブ戦/5分3R>
ハンセン玲雄:66.1キロ
パク・サンヒョン:67.4キロ

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定Tリザーブ戦/5分3R>
水野翔:66.0キロ
田口翔太:65.7キロ

<フライ級/5分3R>
オトゴンバートル・ボルドバートル:56.9キロ
和田教良:56.9キロ

<バンタム級/5分2R>
藤原克也:60.8キロ
土本暉弘:61.2キロ

<81キロ契約/5分2R>
森井翼:80.6キロ
織田ジュラシック:80.8キロ

<フライ級/5分2R>
古賀珠楠:57.0キロ
澤田政輝:56.8キロ

<バンタム級/5分2R>
上田祐起:61.3キロ
福井竜郎:61.0キロ

<フライ級/5分2R>
しゅんすけ:57.1キロ
カーヴィ:56.6キロ

<フェザー級/5分2R>
野口蒼太:65.6キロ
鶴屋健人:65.6キロ

<バンタム級/5分2R>
ルキヤ:60.5キロ
上野滉太:60.7キロ

<ライト級/5分2R>
磯嶋祥蔵:70.3キロ
友實竜也:70.5キロ

<フライ級/5分1R>
藤原浩太:55.9キロ
小早川大地:56.1キロ

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