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【ONE FN23】シェ・ウェイ戦前、和田竜光&岡田遼対談─02─「踏ん張るとヒザも危ないし、首も…」(和田)

【写真】今回の対談のために千葉から愛車をドライブして、和田の地元=都内有数のハイソな住宅街までやってきてくれた岡田。多謝(C)MMAPLANET

明後日6日(土・現地時間)にONE FN23「Ok vs Rasulov」にシェ・ウェイと対戦する和田竜光と岡田遼の対談後編。1年4カ月振りの実戦復帰となる和田が、平良達郎の勝利で世界中に広まったオタツロックについて、岡田と深掘りトークを引き続き繰り広げてくれる。
Text by Manabu Takashima

ポジションとしてのオタツロックと派生したオタツイスター。ケガを防ぐために自らの得意技の対処方法まで和田は言及。この懐の深さは、和田のMMAの味わいそのもの。オタツロック=和田竜光でないからこそ、岡田とのオタツロックをテーマとしたMMA談義を楽しんで欲しい。

<和田竜光&岡田遼対談はPart.01はコチラから>


「キネマティクス(運動学)とキネティクス(運動力学)」(岡田遼)

──平良選手の勝利で、オタツロックが一般層に届くような気配です。これまで後藤丈治選手もRIZINで勝って、オタツロックをアピールしていましたし。

和田 あれは1回目に勝った時に、「だめだよ。オタツロックってアピールしないと」って冗談で言ったんですよ(笑)。そうしたら、次の試合にオタツイスターで取って、言ってくれましたね。

岡田 上久保選手も、グラップリング(FNISH10)で石橋(佳大)選手の肋骨を折ったんですよね。1回目に入った時に耐えて、2回目でケガをしたと聞いています。

──かつてのヒール、今のオタツロックですね。

和田 知らない人が受けると危ないですね。ただヒザを狙う技ではなくて、ポジショニングの一つと考えて欲しいです。そこからツイスターが出てきたのは、最近のことで。

岡田 僕が和田さんと練習をしている時には、なかったですしね。

和田 相手が振り向いてきた時に、ツイスターみたいな形になって嫌がった相手からバックを取る。そういう技だったのが、極に発展してきたんです。

岡田 竹中(大地)選手が和田さんと戦った時に、必死に胸を合わそうとして。でも、振り向けなかったですよね。

和田 もともと振り向き辛い技なんですけど、オタツイスターがあるからなおさら胸を合わせることができなくなってきました。フィニッシュに繋がるようになっているので。ポジションコントロールの技術から、一本が取られるように自分のなかでも進化をさせてきて。

そこで上久保が使いだして。僕よりも効果的に使っています(笑)。RIZINのなかでも、その形がでると解説の人も言及してくれるようになって。「もっと言ってくれぇ」って思いながら視ています(笑)。

岡田 達郎はもともとバックキープが好きで、上手くて。両足フックからオタツロックを使うようになって。ところで……実はTHE BLACKBELT JAPANって、練習でカニバサミは禁止なんです。

和田 危ないからね。

岡田 スポーツ生理学にいうと、キネマティクス(運動学)とキネティクス(運動力学)というものがあって。キネマティクスは動作の見た目で、キネティクスは動作の内側で起こっている力の作用をいいます。

──ハイ。

岡田 キネマティクスでいえばオタツロックとカニバサミは違います。でもキネティクスでは同じなんです。前額面上にヒザに圧力をかけると、ACLが断絶しやすいです。関節の危ない角度をシアーロードと言いますが、足関節もこのシアーロードが創られて極められています。

ヒールを取った時、相手が足を真っ直ぐに延ばすと極まらないじゃないですか。

和田 うんうん。

岡田 必ず少し曲げて、角度をつける。あの角度で横から圧力をかけると、パチンとヒザの内側でACLが壊れてしまいます。キネティクスでいうとスタンドのオタツロックで外側から煽って、横ベクトルで圧力をかけると──それはカニバサミやヒールと同じで、切れてしまうんですよ。

ペレス戦の達郎は一、スタンドのオタツロックで相手が抵抗しないで倒れる。二、スタンドでチョークを取る。三というか、ヒザが壊れることもある。それぐらいの考えでやっていました。

「背中に乗られたら、寝た方が絶対に良い」(和田竜光)

和田 スタンドでバックを取っていると、首も取りやすいです。だから背中に乗られたら、寝た方が絶対に良い。自分のケガも防止もそうだし、絞められないための対処としても。オタツロックは踏ん張っちゃうとヒザも危ないし、首も取られやすくなります。

──構わないのですか、それをここで公表してしまっても。

和田 分かっていなくて練習をすると、ケガしちゃいますから。それだけは避けて欲しくて。本当にこの技のメカニズムを分かって、特に練習では掛ける方も掛けられる方も対処してほしいです。

岡田 いうとペレスも知らなかったのだと思います。踏ん張らないことです。

和田 さっきも言いましたが、DJは倒れて本当にうまく対処をしてきました。体の捩じりが強くて、ブリッジをする選手にはスパッと取れることがあります。竹中選手がそういうたタイプで。練習でも祐弥やノリピー(田中路教)とかは、捻ってブリッジだから取れちゃうことがあるんです。

でも、DJにはちゃんと胸を合わされました。今、映像を見ても理由は分からないです。なぜ、あんな風に抜かれたのか。オタツイスターを掛けるタイミングもあったけど、察知されました。DJだって仕掛けられたのは初めてのはずなのに……。実際、餌を蒔いてそうなるように仕向けていたんですけど。

DJが動けるだけの力の入れ方をしていたんです。敢えて緩めて、動かせてツイスターに入れるように。それで僕は何百回とスパーリングで極めてきたので。でも、DJは全くそっちに動かなかったです。

──それはキネマティク的、キネマティクス的に分かるのですか(笑)。

岡田 いや、一切分からないです(笑)。本当にその理由が知りたいです。

和田 だからDJと戦って、良い場面も創れたけど全然やられちゃって。逆に嬉しかったです。やっぱりDJは凄いなって思えて。掌の上で回されて、もう清々しかったほどで。

──痺れますね。 

和田 DJとやって、もう特別に戦いたい相手っていないっていのは、そういうことなんです。強い選手はいるし、好きな選手もいるけど──そういう気持ちなんです。もう、やりたいヤツっていないんです。DJ以外なら、フライ級で戦っていた時の(ヘンリー)セフード、それと今はフライ級の堀口(恭司)君ぐらい……触ってみたい相手は。

──もう納得です。

「僕はカーフだって、和田さんに教えてもらいました」(岡田遼)

和田 なんで、今はONEから用意された相手を倒す。そしてチャンピオンを目指す。誰と戦いたいといことではなくて、目指しているのはONEのベルトです。

──その用意された相手がシェ・ウェイ戦だと。いやぁ、この話を聞くと余計に楽しみですね。では改めて岡田選手、和田選手の次の試合で何を期待しますか。

岡田 カーフキックで、KOですね(笑)。

──そっちですか。

岡田 いや今回、和田さんはオタツロックで注目されたかもしれないけど、こんなにMMAができるウェルラウンダーの選手はいないんです。MMAだからこそという動きができる。僕はカーフだって、和田さんに教えてもらいましたから。

和田 ありがとう(笑)。あと、俺も岡田君に訊きたかったことがあって。

岡田 えっ。ハイ、何でしょうか。

和田 あのう……手塚(裕之)選手と仲が良いでしょ?

岡田 ハイ……。

和田 最近、どうしちゃったのかなぁって。

岡田 あっ、Xですか(笑)。

和田 そうなんだよ。どういうことなのかって。

岡田 それはですね──。

──スミマセン。そこからはプライベートな話ということで(笑)。今日は本当に貴重な話をありがとうございました。

■放送予定
7月6日(土・日本時間)
午前8時45分~U-NEXT

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