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【UFC303】バンタム級の新鋭ペイトン・タルボット「安全なポイントゲームなんて、やりたくない」

【写真】スクショを撮る際に、5秒以上も目を剝いて待ってくれていたタルボット。実はいいヤツ (C)MMAPLANET

29日(土・現地時間)、米国ネヴァダ州ラスベガスのT-モバイル・アリーナで開催されるUFC303「Pereira vs Prochazka 2」で、ペイトン・タルボットがヤニス・ゲムリと戦う。
Text by Manabu Takashima

2023年のコンテンダーシリーズでUFCと契約し、2試合連続でKO勝ちのタルボット。キャリアは8戦8勝、負け無しの新鋭は自らの一番の武器はペースだと言い切った。


MMAに求められるのは、アクションだから

――今週末にヤニス・ゲムリ戦を控えたペイトンです。調子はいかがですか(※取材は26日に行われた)。

「最高だよ。ヤニス・ゲムリとは良い顔合わせだと思う。殴り合って、エキサイティングなファイトをするよ」

──UFCで2度戦って2つのKO勝ち、判定勝ちだったコンテンダーシリーズのファイトも素晴らしいパフォーマンスでした。そんなペイトンのことを我々は、まだまだ分かっていないのですが、なぜMMAを始めたのですか。

「2017年、18歳の時にコナー・マクレガーの影響を受けて、試しにジムに行くようになった。すぐにマーシャルアーツに夢中になったよ。トレーニングをしていると、試合に出るようになって。そうなると、日に日にMMAへの想いが強くなっていった」

──MMAを始める前に格闘技の経験はあったのでしょうか。

「凄く小さな時にボクシングをやったことがあったけど、全然ダメで2カ月ほどで辞めてしまった。経験という経験があったのはレスリングだけで。レスリングはハイスクールを中心に4年ほどやっていた。けど、コレといって目立った戦績は残していない」

──それでもレスリングというベースがあったのですね。ファイトスタイルから、打撃系格闘技の経験の持ち主だと勝手に思っていました。

「う~ん、打撃が自分の一番の武器だとは思っていないよ」

──そうなのですか。

「僕の武器は体力だ。ハイペースで15分間、戦い続けることができる。結果、対戦相手は疲れて僕の打撃の餌食になるんだ」

──まさに現代MMAの申し子ですね。

「だって皆、それが見たいだろう? テイクダウンをされて、ガードの中に相手を入れて止まるなんて試合は誰も見たくないはずだ。MMAに求められるのは、アクションだから。それにケージのなかでは動きが多い方が、勝つ確率も高くなる。だから、常に動いてペースの速い試合を心掛けている」

──そして、フィニッシュを狙うのがコンテンダーシリーズ世代ですね。

「もちろん、フィニッシュを狙うのは当然だ。もともと、組んで倒してコントロールする試合なんか、好きじゃなかったし。そうやって勝つファイターがいることは分かっている。それはそれで構わないけど、そんなことがしたくてMMAを戦っているわけじゃないから。

結果的に僕は自分がやりたいことをするためにオクタゴンに上がっている。それこそが、コレをやって金を稼ぐのに相応しいファイトだと思っている。安全なポイントゲームなんて、やりたくない」

日本のアニメから受けた影響も絶大だよ

──それこそ、コナー・マクレガーに感化されてMMAを始めたペイトンらしいファイト・フィロソフィーですね。

「実際にMMAのトレーニングを始めてからも、コナーから受けた影響は大きい。あとはマックス・ホロウェイ、そしてネイト・ディアズ……でも、子供の頃に日本のアニメから受けた影響も絶大だよ(笑)。ドラゴンボールZに、幽遊白書からファイティング・スプリットとは何かを学んだんだ」

──なるほどぉ。では日本のMMAに興味を持ったことは?

「それは……余りないかなぁ。なんか、凄いステージがあって、ダンスをしたりしているのは受けたけど(笑)。ファイターでは、UFCとサインをしたばかりの……。そう、カイ・アサクラだ。彼のハイライトは見たよ。良い選手だよね」

──では同じバンタム級でUFCデビューを果たし、連勝中の中村倫也選手の印象を教えてください。

「う~ん、ちょっと分からないなぁ……。あのレスラーかい?」

──そうです、レスリングがベースです。

「まぁ、視界に入ってくれば気にかけるようにするよ」

──……押忍。では、土曜日に戦うゲムリの印象は?

「きっと、たくさん蹴ってくるだろうね。そしてカウンターの一発を狙って、我慢強く戦ってくるはずだ。ちょっとフラストレーションがたまる試合になるかもね。あの動きを僕のグルーブに誘い込むのは、ちょっと面倒くさいと思う。

ちょっと変な打撃だろう? なんか蹴りとパンチのコンビネーションがおかしいんだよ」

──確かに。構えも特徴的で。ただ、時折り力強いクリンチゲームも展開します。

「あんまり寝技の展開は見たことがないけど、上半身を固める組みを使うのは確かだ。でも、あんな風に固めてくるとスタミナを無駄にするだけだ。そこから先は、彼のやりたい試合にはならない。まぁ、何分間も相手をケージに押し込むようなヤツだよ。

だからこそ、動きまくって肉弾戦を皆に見てもらいたい。まだ僕のことを認識していないファンがいれば、きっと考え方が変わる試合になる。もう意識しないわけにはいかなくなるよ。しっかりと皆が喜ぶ試合をし続けるよ」

──その先に狙うは、タイトル挑戦と。

「そうだね、上手くいけば1年半後ぐらいにはトップに立っているだろう」

──ペイトン、今日はインタビューに時間を割いてくれてありがとうございました。最後に日本のファンに一言お願いします。

「ハイ。アリガトゴザイマス。オヤスミ」

■視聴方法(予定)
6月30日(日・日本時間)
午前7時分~UFC FIGHT PASS
午後11時~PPV
午前6時30分~U-NEXT

■ UFC303対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者]アレックス・ポアタン・フェレイラ(ブラジル)
[挑戦者] イリー・プロハースカ(チェコ)

<ライト級/5分3R>
ブライアン・オルテガ(米国)
ディエゴ・ロピス(ブラジル)

<ライトヘビー級/5分3R>
アンソニー・スミス(米国)
ロマン・デリツ(ジョージア)

<女子バンタム級/5分3R>
マイラ・ブエノ・シウバ(ブラジル)
メイシー・シェエソン(米国)

<ウェルター級/5分3R>
イアン・ギャリー(アイルランド)
マイケル・ペイジ(英国)

<ミドル級/5分3R>
ジョー・パイファー(米国)
マフクアンドレ・バリユー(カナダ)

<フェザー級/5分3R
カブ・スワンソン(米国)
アンドレ・フィーリ(米国)

<フェザー級/5分3R>
シャルル・ジョーダン(カナダ)
ジアン・シウバ(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
ペイトン・タルボット(米国)
ヤニス・ゲムリ(フランス)

<女子ストロー級/5分3R>
ミッシェレ・ウォーターソン・ゴメス(米国)
ジリアン・ロバートソン(カナダ)

<ヘビー級/5分3R>
アンドレイ・オルロフスキー(ベラルーシ)
マルティン・ブダイ(スロバキア)

<フライ級/5分3R>
カーロス・ヘルナンデス(米国)
鶴屋怜(日本)

<バンタム級/5分3R>
リッキー・シモン(米国)
ヴィニシウス・オリヴェイラ(ブラジル)

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