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【UFC ABC06】ムイン・ガフロフ戦へ、UFC生活11年のカン・ギョンホ「スタミナ重視から効果的な戦い」

【写真】今年で37歳になるボディ!! (C)Zuffa/UFC

22日(土・現地時間)、サウジアラビアはリヤドのキングダム・アリーナでUFC on ABC06「Whittaker vs Aliskerov」が開催されカン・ギョンホが出場し、ムイン・ガフロフと戦う。
Text by Manabu Takashima

ミスター・パーフェクトの異名を取るカン・ギョンホがMMAでビューをしたのは2007年4月と、もう17年のキャリアを誇る。K-MMA界に定期的なイベントを維持できるプロモーションがほぼ存在しなかった時代に戦極、GLADIATOR、GRACHNなど日本でのファイトも経験している。

Road FCが旗揚げ後はバンタム級ファイターとして順調に経験を積み、バンタム級Tで優勝してベルト巻くとUFCと契約を果たした。それからもう干支が一回りしようという今も、カン・ギョンホはUFCで戦い続けている。ムイン・ガフロフ──を前に長いキャリアを続けられる要因と、変化するK-MMAについて尋ねた。


──今週末にムイン・ガフロフと対戦します。今の気持ちを教えてください(※取材は18日に行われた)。

「最高の状態で、ファイトに向かって気持ちがあがっています」

──サウジアラビアでの試合ですが、何かミドルイースト独特の空気感のようなモノはありますか。

「ホテルにいるだけなので、サウジアラビアっぽさっていうのは分からないです(笑)。ただヒジャブをつけた人が多いですね。その辺りに文化の違いは感じます。いずれにせよ、自分にとって初めての国での試合というのは楽しみでならないです」

──私がカン・ギョンホ選手を初めて取材させていただいたのは、まだRoad FCで戦っていた頃で12年も昔になるかと思います。が、容姿がほとんど変わっていないですね。

「そんなことはないです(笑)。すっかり年を重ねました。ただ変わっていないといってもらえると、嬉しいものです。普段から体に良い食事を摂り、しっかりと良い睡眠を心掛けています。もちろん、常に体を動かしていますし。でも、実は白髪が増えて……今回、初めて白毛染をしたんですよ(笑)」

──なるほどぉ!! ところで11年前にUFCとサインをしたとき、11年後もUFCで戦っていることが想像できていましたか。

「ファイトは私の仕事なので、キャリアをスタートさせた時から少しでも長く戦い続けようとは思っていました。そして、今もUFCに在籍しているということは、その目標を果たせているのかなとは思います。

MMAファイターがキャリアを積み重ねていくということは、それだけ厳しい時間を繰り返していることにもなります。練習と試合という日々に疲れを感じたこともあります。でも、試合の度に新しいモチベーションを得ることができたので、ずっと練習を続けることができました。そのモチベーションを見つける努力はしてきましたね。

何より練習をして、試合を戦うことで最高の気持ちになれます。特に勝った時は。それが今でも最高に楽しくて。MMAをエンジョイしていますし、何よりもMMAを続けることで家族と共に人生を歩んでいける。そこは誇りを感じています」

──最高です。と同時にカン・ギョンホ選手はフィジカルが強いレスラーで、アグレッシブなファイターです。とはいえ、今や周囲のファイターはどんどんフィジカルが強くなり、レスリング力の強さもデフォルトになっています。10年以上、UFCで戦ってきてスタイルにも変化が加わったのではないでしょうか。

「しっかりとレスリングに重点を置いたファイトは、今でも欠かせないと思います。ただ自分もキャリアを積み、背中のケガも経験しました。フィジカルを鍛えつつも結果として、戦い方を変えないといけなかったです。

それが打撃重視の戦いです。若い時のようにスタミナ勝負のようなファイトではなく、効果的な戦いを心掛けるようになりましたね」

──つまりムイン・ガフロフともスマートに戦うと。

「そうですね。ムイン・ガフロフはアグレッシブでタフな相手なので、賢く戦う必要があります。でも、彼よりもアグレッシブで爆発力のある試合をお見せますよ」

Black CombatかUFCか。それはファンが判断すること

──ところでK-MMA界も大きく変わったと思います。チームMADが小さなジムで、マットは汗がたまるような時代を知るカン・ギョンホ選手から若い世代に伝えたいことはありますか。

「今、韓国では凄く可能性のある若い選手が多く育ってきています。チームMADもそうです。とにかく必死に戦い、必死に練習をする。自分の限界に挑む姿を見せることで、彼らもやる気を出してくれると思っています」

──押忍。ところで今や韓国でも若い選手はSNSを駆使し、ケージ外でのエンターテイメント化が進んでいると思います。

「MMAはプロ産業です。私たちはファンの関心を引かなければならないです。それを自分自身でやっていることは、良いのではないでしょうか。トレンドを目指す。それは凄く自然なことで、プロとしても良いことだと自分は捉えています。もちろん、それ以前にしっかりと練習をすることが前提として存在しています。それ以外のことは、二の次です。そこが分かっていれば良いことです」

──Black Combatの取材をすると、試合後のマイクのやり取りが非常に長いです。それを若いファンが凄く楽しんでいる。あのシーンを目の当たりにすると、まさに隔世の感という言葉が思い浮かびます。

「つまりはファンが何を見たいのかっていうことなんですよね。試合時間よりも長いインタビューをファンが楽しんでいるなら、それはそれで正解です。MMAプロモーションはファンの見たいモノを提供するものです。Black Combatが見たいのか。UFCが見たいのか。それはファンの皆が判断することなんです」

──押忍。試合以外のことまで、しっかりと話してくれてありがとうございます。では最後に日本のファンに一言お願いします。

「自分は日本でも試合をしたことがありますし、日本人選手とはたくさん試合をしてきました。それでも日本の人たちは自分に声援をおくってくれます。また、いつの日か日本で戦いたいと思っています。いつも応援ありがとうございます」

■視聴方法(予定)
6月23日(日)
午前0時45分~ U-NEXT
■放送予定
6月23日(日・日本時間)
午前1時00分~UFC Fight Pass
午前0時45分~U-NEXT

■UFC ABC06対戦カード

<ミドル級/5分5R>
ロバート・ウィティカー(豪州)
イクラム・アリスケロフ(ロシア)

<ヘビー級/5分3R>
セルゲイ・パブロヴィッチ(ロシア)
アレキサンダー・ヴォルコフ(ロシア)

<ミドル級/5分3R>
ケルヴィン・ガステラム(米国)
ダニエル・ロドリゲス(米国)

<ミドル級/5分3R>
シャラブジン・マゴメドフ(ロシア)
アントニオ・トロッコリ(ブラジル)

<ライトヘビー級/5分3R>
ジョニー・ウォーカー(ブラジル)
ヴォルカン・オズデミア(スイス)

<ライト級/5分3R>
ナスラ・ハクパレス(ドイツ)
ジャレッド・ゴードン(米国)

<フェザー級/5分3R>
ムハンマジョン・ナミモフ(タジキスタン)
フィリッピ・リマ(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
リナット・ファクレトディノフ(ロシア)
ニコラス・ダルビー(デンマーク)

<バンタム級/5分3R>
ムイン・ガフロフ(タジキスタン)
カン・ギョンホ(韓国)

<ライトヘビー級/5分3R>
マゴメド・ガジヤスロフ(バーレーン)
ブレンジソン・ヒベイロ(ブラジル)

<Road to UFCバンタム級決勝/5分3R>
イ・チャンホ(韓国)
シャオ・ロン(中国)

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