【Bellator CS2024#03】対戦相手がヌッツィからブランケに変更、太田忍「今はMMAのMぐらいまでは」
【写真】日本を離れる時には、相当に絞れているように見えた (C)TAKUMI NAKAMURA
22日(土・現地時間)、アイルランドはダブリンの3アリーナで開催されるBellator CS2024#03にて太田忍がローゲル・ブランケと対戦する。
Text by Takumi Nakamura
4月のRIZIN46で牛久絢太郎に判定勝利し、RIZINバンタム級における存在感を見せた太田。当初6月のRIZIN47へのオファーもあったが、最終的にBellator CS2024#03への出場が決定した。年内でのRIZINバンタム級王座挑戦を目指す太田がBellator参戦を決意したのは、対戦相手がフランチェスコ・ヌッツィだったことが大きい。
12戦10勝1敗1無効試合という圧倒的な戦績を誇り、強烈な打撃を武器とするヌッツィとの戦いを楽しみにしていた太田だったが、日本を出発する2日前にヌッツィの欠場が決定。急遽5勝5敗のスペイン人ファイター、ローゲル・ブランケと対戦することとなった。
このインタビューは対戦相手変更直後、日本を出発する当日(※16日(日))に行われたもの。対戦相手変更に戸惑いはありつつもBellatorでの勝利、そして改めてRIZIN王座への想いを語ってくれた。
誰が相手でもやることは変わらない
──Bellator初参戦、そしてMMAに転向して初の海外遠征が決まりました。最初にオファーを受けた時の心境から聞かせてください。
「ちょうどグアムで遊んでいるときにマネージャーから連絡があって、最初は6月9日の大会(RIZIN47)に出られないか?って話だったんですよ」
――初めはBellatorのオファーではなかったのですね。
「RIZINが盛り上がるならと思い、出るつもりで返事をしつつ、体重と対戦相手をどうするかって話になったんです。その時に候補で出てきた相手が、正直ピンと来なかったんですよ。盛り上がる試合になるのかなって相手だったり、自分的には普通に勝っちゃうでしょって思う相手だったりで。
そうしたら6月のBellatorに出ないかと話がきて、最終的にBellatorに出ることになりました。」
──紆余曲折があってのBellator参戦だったんですね。特に海外で試合をしたいという希望があったわけではないのですか。
「そうですね。自分は海外でやるとしたら、RIZINでやることやってからと思っていたんで。でも矢地(祐介)選手が5月にBellatorのフランス大会に出てたりして、今後はRIZINから海外に出ていく選手もいるのかなとは思っていたました。
まさか自分のところに話が来るとは思っていなかったですけど。今回はこういうオファーが来たから受けたって感じですね」
──早く試合をしたいというのもあったのですか。
「自分は次は9月くらいでいいかなと思っていたんですよ。そこでタイトルにつながる試合ができたらいいなって。だから久々にゆっくりできるなと思っていたところにオファーが来て、最終的に来た対戦相手(フランチェスコ・ヌッツィ)がめちゃ強そうで魅力的だったんでやりたいなと思いました。ただ相手が代わったの聞きました?」
──いえ、それは初耳です。
「ヌッツィじゃなくなったんですよ(苦笑)。一昨日の夜にヌッツィが怪我で欠場でキャンセルになって、あんまりよく知らない選手(ローゲル・ブランケ)になりました、スペイン人の。まあ試合やるからには勝たなきゃいけないんで、きっちり勝ってきますけど」
──MMAでは初の海外遠征ですが、レスリング時代には何度も海外遠征を経験していると思います。調整方法など普段と違いはありますか。
「大して変わらないかなって思います。レスリング時代もどの国でやっても調整方法は変わらなかったんで。今回は試合の5日前くらいに現地に入るんですけど、いつもと同じです」
──とはいえ、相手がこのタイミングで代わってしまうと、ゲームプランは変えなければいけないですよね。
「そうですね。でも僕のファイトスタイルは、誰が相手でもやることは変わらないんで。テイクダウンして、ボコボコにするみたいな。唯一スタンドに関しては、ヌッツィがサウスポーで左ストレート・左の蹴りとか、結構大きい技があるんで、そこを警戒していたんです。けどブランケはまるっきりタイプが違って、構えもオーソドックスなんですよ。そこがちょっと気になるくらいですかね。でももう開き直っています」
──太田選手自身は4月に牛久絢太郎選手に判定勝ちして、対戦相手に関係なく意識して取り組んでいることや強化していることはありますか。
「まあテイク(ダウン)してコントロールして…というところでは、牛久戦というか(2023年10月に)佐藤将光さんとやった試合、あれが大きいですね。あの時はテイクしてもキープしきれなくて。あの試合からテイクして、しっかり自分のいい位置でキープしてコツコツ当てて、極めにいくところを強化しています。だから牛久戦はその途中って感じでしたね」
──佐藤戦の反省点が大きかったようですね。
「将光さんはケージの使い方が上手かったし、ケージ際での小技とか、テイク以前の攻防ですよね。こっちはくっつきたいけど、くっつかせてくれないみたいな。腿へのカカト落としだったり、細かいヒジ打ちだったり、そういうところの攻防が本当に上手だったし、それで僕はやりたいことをやらせてもらえなかったんです。
それを頭に入れつつ自分がどうテイクしてコントロールして…という練習を一番やっています」
──今まで自分が経験していなかった攻防があって、そこがやりづらかった感想ですか。
「そうですね。今まではそこを突き詰めなくても、ある程度は試合で出来ちゃってたんですよ。練習ではなかなか上手くいかないけど、試合では上手くいっているから『まぁ、いいや』みたいになっていたところがあって。正直、あの試合は途中で自分の中で手詰まりではあったんですよね。だからそこを変えたいとは思っています」
──今はより戦い方に隙がなくなっていますか。
「隙がなくなっているかどうかは分からないですけど、自分のやりたいことをもっと相手に押し付けられるようになってきたと思います。今はMMAのMぐらいまではできるようになってきたんじゃないですか」
ヌッツィとはやってみたかったです(苦笑)
──太田選手の中ではまだM止まりですか。僕はMMぐらいまで来たのかなと思っていたんですけど。
「まだMですね。実際、牛久戦はスタンドの打撃を一切やってないんですよ。際での打撃とかパウンドはやりましたけど。スタンドで対峙した時にジャブすら出してないんで」
──なるほど。いわゆる打撃の交換も、まだ試合では出してないことなんですね。
「まだ出せないです。練習ではいっぱい手数を出していますけど、カウンターをもらうリスクを考えたら、どうしても自分の安全圏で戦おうとするし、まだスタンドの打撃でいくという選択肢は取れないです」
──それこそ試合を重ねていくうちに色んな選択肢を選べるようにもなるわけですし、なおさらヌッツィとはやってみたかったんじゃないですか。
「それです。ヌッツィとは本当にやりたかったし、対策にも自信があったんですよ。すごく強い選手で穴が少ない選手だとは思いますけど、やってくることは結構明確だから、自分が勝てるという明確なゴールを何個か見つけることができていたんで。だからやっぱり……ヌッツィとはやってみたかったです(苦笑)」
──今RIZINでは日本人の海外遠征であったり、新規の外国人選手が増えたり、新しい流れもできつつあります。その中で太田選手はどんな試合をやっていきたいですか。
「対海外選手や海外遠征というのもありますけど、僕の今年の目標はタイトルに絡むこと。去年からずっとそれを言い続けてきたし、RIZINのタイトルを獲ってから、対海外かなと思っています。自分の希望は秋頃に一戦やって、大晦日にタイトルに挑戦することで、そこに向かう中でBellatorの試合や国際戦を求められるならやりますよというスタンスです」
──ベルトに対して、どういったアプローチができるのか。太田選手にとってはそこが一番なのですね。
「そうですね。チャンピオンになったらギャラも上がるだろうし(笑)」
──プロである以上、そういう話にもなってきますよね。
「もちろんそれだけじゃないですよ。チャンピオンになれば発言権も出てくるし、選択肢も増える。朝倉海くんが防衛戦をせずにUFCに行って、あれは特例だと思いますけど、そういう選択もできるようになってくると思うんで、チャンピオンになったら」
──そういった意味では海選手がバンタム級のベルトを返上する形になって、ベルトを狙うにしても以前とは標的が変わってくると思います。ベルトに挑戦する・王座決定戦に臨む…形に関係なくベルトが欲しいですか。
「はい。そこ(ベルト)は最低条件かなと思います」
──分かりました。これ以上、対戦相手が代わったり、トラブルが起きないことを願っております。
「これ以上カードが変わったら、本当に訳が分からないですよ。今の時点で最初に出る予定だった選手が誰もいないから(笑)。まぁ何とかなるでしょと思ってやってきます」
──頼もしい言葉ありがとうございます。そして出発前のお忙しい時にありがとうございます!
■視聴方法(予定)
6月23日(日)
午前0時45分~ U-NEXT