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【RIZIN47】堀口と初RIZINルール、セルジオ・ペティス「理詰めのファイトと、勇敢な戦いが同居した試合を」

【写真】ミルウォーキーを離れる前日、慌ただしい時を過ごしていたはずだが、非常に丁寧な話をしてくれたセルジオに感謝 (C)MMAPLANET

9日(日)に国立代々木競技場第一体育館で開催されるRIZIN47でセルジオ・ペティスが初来日を果たし、堀口恭司と戦う。
Text by Manabu Takashima

2年半前、2021年12月にセルジオは堀口を相手にBellator世界バンタム級王座防衛戦を戦い4R3分24秒にスピニングバックフィストでKO勝ちを収めている。と同時に、逆転の瞬間までニュー堀口恭司スタイルといえるテイクダウンゲームに劣勢を強いられていた。

その事実を十分に理解しているセルジオは初めての日本、そしてサッカーボールキック、踏みつけ、グラウンドでのヒザ蹴りが許されたRIZINルールとリングでの戦いに関して、どのような想いでいるのか。米国を離れる前日に彼の話を訊いた。


ホリグチのグラップリング・スキルはアメージングだ

──セルジオ、背景を見る限り今もミルウォーキーですか(※取材は1日に行われた)。

「そうだよ。明日、ミルウォーキーを発って東京に着くのは月曜日だ」

──なるほど、特に時差を調整するために早入りなどもしなかったのですね。

「試合が土曜日でなくて、日曜日だからスケジュール的に何も問題はないよ。プロフェッショナル・ファイターとして、気にかけるべき点はそこではない。月曜日に着いてリラックスして、日曜日までにアジャストする時間は十分にあるからね。

兄のアンソニーが日本で戦った時も、試合の5日前に東京に着いたけど何も問題はなかったと言っていたよ。アンソニーよりもファイトまで時間があるし、このタスクは簡単に克服できるだろう」

──とはいえ、これほどの長旅をして試合をするのも始めてかと思います。

「そうだね。ただバケーションで、タイとインドネシアに行ったことがあって、アジアの時差は経験しているんだ。日本に行くのは初めてだけど、インドネシアに行った時は移動だけで25時間もかかった。それを考えると、東京までは13時間のフライトだから問題はない。

特に日本への移動や、時差については深く考えていないんだ。僕が何をどう考えても、時差も長時間のフライトも存在している。自分の力ではどうしようもないことを、アレコレ考えてもしょうがないよ。

時差ではなくて減量、そしてファイトにフォーカスしないとね。東京のファンの前で素晴らしい試合をするために、クリアしないといけないプロセスでしかないから。これまでも試合で遠征は経験していて、戦いづらい環境もあった。でも、全ての状況を受け入れて戦うことが僕の仕事だから。

何よりも日本で戦うことが楽しみでならない。日本のMMAは組み技が主体だという印象があるから、僕は米国で戦っているようにスタンディング・バトルを織り交ぜた試合をしたい。多彩な蹴りを駆使してね。

日本のファンは礼儀正しく、ファイターへの尊敬心を忘れないというのは有名な話だ。僕はテコンドーというマーシャルアーツと共に成長した。そこではただ技術的なことだけでなく、人々を尊重する精神を学んだ。だから、僕は日本のファンに近い感性をもってMMAを戦ってきたと思っている。

日本のファンに僕のスタイルをしっかりと見て欲しい。来週の日曜日のホリグチと相対したセルジオ・ペティスのMMAを──ね」

──ところで2年半前の堀口選手との試合に関して、今もセルジオはラッキーだったという声が聞かれることがあります。あの4Rの逆転勝ちをそのように思われることに関して、どのように感じていますか。

「ハハハハ。そういう意見があっても、耳を傾けないよ。僕自身が、誰よりも自分の戦いを理解している。だから、ラッキーと言われても、あの試合のことを言っているのかなって感じだよ。3R……いや4Rの途中まで劣勢で、スピニングバックフィストで逆転勝ちをしたのだから、そういうリアクションも起こるだろう。でも、ハイキックからのスピニングバックフィストは僕の得意な動きの一つだから。

その機会があればと、準備もしていた。だからLuckよりも、Very Fortunateだと自分では思っている(※ラッキーは、その結果がプロセスと因果関係がなく──ただ運であった時に使われる。フォーチュネイトは、幸運であってもその結果に結びつく要因が存在する場合に用いられる)」

──なるほど!! と同時に、セルジオも認めているようにフィニッシュ直前まで、堀口選手のテイクダウンゲームにポイントを失っていました。そのことが、今回の試合に生きることはありますか。

「最初の3R、今回の試合でもホリグチは繰り返したいと思っているだろう。ただ彼も前回の試合から進化した。僕も成長している。2人とも2年半前とは違うファイターになっているはずだ。あの時の僕は初防衛戦だったし、今回とは状況も違う。

あの試合の時は、今のように自信もなかった。今回は思い切り楽しみたい。そして、皆が喜ぶハイライトリール・ファイトを見せたいんだ。それが可能になるだけ練習をしてきたし、自信もある。調子も良いしね。もう準備はできているよ」

──堀口選手はトータルファイターとなった……というよりも、テイクダウン&コントロールが強くなって以前のような遠い位置から踏み込んで打撃で戦うというスタイルとは違ってきました。そのスタイルチェンジをどのように捉えていますか。

「ホリグチのグラップリング・スキルはアメージングだ。前の試合……マコトだっけ、相手は?」

──ハイ、神龍誠選手ですね。

「マコトとホリグチのグラップリングの攻防は本当に素晴らしく、秀逸なファイトだったよ。特にマコトはあの若さで凄く印象深い戦いをしていた。技術的にもそうだし、精神的にも素晴らしい試合をやってのけたと思う。

ホリグチはそんなマコトを上回る動きで、RNCで勝った。スタイルチェンジという言葉、そのものずばりの戦い方だったね。ただ……ホリグチはもう自分のアゴの強さに自信が持てなくなっているんだろう。

何度かKO負けを経験して、打撃で勝つという戦い方ではなくなっている。と同時にアスリートとして、賢くなったことも事実だ。レスリングとグラップリングで、危なげなく勝ちにいく。キョージ・ホリグチは、本当にスマートな選手だよ。このところ、サブミッションで勝つことも増えてきているしね。

僕を相手にしても、過去数試合と同じことがしたいはずだ。テイクダウンしてコントロールから極める、それが今のホリグチの戦い方だからね。そこに打撃で戦ってきた時と同じように抜群の距離感と、絶対のタイミングを把握する能力がある。あの踏込みから、今はグラップリングを仕掛けるようになったんだ」

──つまりは前回の試合とは、セルジオの堀口選手への理解度も違うということですね。

「その通りだ。あの時はスタンディング・バトルになると思っていた。ホリグチがテイクダウンを狙ってくることは、想定外だったんだ。でも、今回はそうやってくることは分かっている。ちゃんと、ホリグチの仕掛けへの対策はできているよ」

僕の戦いはよりオープンになる

──ところで前回は5分✖5Rで、ユニファイドMMAルール。そしてケージでの試合でした。今回は5分✖3RでRIZINルール、リングが戦う舞台となります。

「PRIDE時代のルールセットだよね。このルールで忘れられないような素晴らしい戦いが生まれた。僕がMMAを見るようになったのはPRIDEの頃で、ショーグンのサッカーボールキックを見入っていた。そしてPRIDEのオールスターはリングで戦っていた。

リングでの試合は別モノだよね。ケージだと、ずっと回り続けることが可能だけど、リングでは目の前に対戦相手が立つ局面が増える。サッカーボールキック、踏みつけ、グラウンド状態でのヒザ蹴りが認められることで、僕の戦いはよりオープンになる。いつも通りパンチも使ったうえで、それらの攻撃が許されているのだから、とても興味深いことになるだろう。自分を試す絶好の機会を得られたと感謝しているよ」

──ユニファイドMMAルールよりも、頭のネジを外さないといけないかもしれないです。何より、このルールでは堀口選手の方が経験豊かですが、練習で実戦の差を埋めることはできるでしょうか。

「練習では踏みつけ、サッカーボールキックから如何に体を守るかを重点的にやってきた。僕だけに許されているわけでなく、ホリグチが僕に仕掛けてくる攻撃だからね。如何にあの危ない局面に持ち込ませないで戦い抜くのか。そして、持ち込まれた時は、どう防御するのか。

リングは……僕の初めてのプロMMAファイトはカナダで、リングが使用されていたんだ。だからリングの経験がないわけじゃない。その多くはボクシングの試合だったけど、リング初心者ではないからね。RIZINで戦うことでテイクダウンでの攻防、スタンドでの戦い方とも、ルールが変わり世界が変わったように感じている。正直、1戦目はホリグチがほぼ勝利を収めていた。

それは認めるよ。今回、ホリグチは自分の国で、自分のルールで。そしてリングの戦いで、白星を取り返そうとしている。そんな戦いに向け、僕はこれまでとは違うスタイルで戦おうと思う。熱く、そして冷静に戦うよ。計算し尽くした理詰めのファイトと、勇敢な戦いが同居したような試合をするつもりだ」

──では最後に日本のファンに一言お願いできますか。

「日本のファンの皆には、次の日曜日の試合……世界最高峰のファイトを楽しみにしてほしい。その場に立てることを光栄に思っているよ」

■視聴方法(予定)
6月9日(日)
午後12時30分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

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