【Shooto2024#04】杉本恵とストロー級王座決定戦、藤野恵実「諦めたくないです、色んなことを」
【写真】1980年11月17日生まれ、キャリア30勝まであと一つ(C)TAKUMI NAKAMURA
19日(日)、東京都港区のニューピアホールで昼夜興行として開催されるShooto2024#04では、第1部(昼興行)のメインで藤野恵実が杉本恵と修斗世界女子ストロー級王座を賭けて戦う。
Text by Takumi Nakamura
昨年のインフィニティリーグで優勝を果たし、王座決定戦に駒を進めた藤野。ベルトを争う相手=準優勝者はリーグ戦で唯一引き分けた杉本となった。リーグ戦を戦う中で練習環境がJAPAN TOP TEAMとして整備され、コンスタントに試合をこなすことでMMAファイターとして成長を遂げた。自身2本目のベルトへの想い、そしてMMAファイターとしての夢=UFCへの想いも語ってくれた。
――インフィニティリーグ2023を経て、今大会では杉本恵選手と王座決定戦が決まりました。リーグ最終戦(吉成はるかにKO勝ち)から今回の試合に向けて、どんなことを意識して練習してきましたか。
「基本は変えてないんですけど、JAPAN TOP TEAM(JTT)で体制が徐々に出来上がってきたので、いい練習ができていると思いますね」
――練習環境がJTTになって一番変化したところはどこですか。
「以前はチーム自体、それぞれみんな練習をやっている感じで、私も結構外部に出ることの方が多かったんです。特に女子は選手も少ないので、引き続き外部練習は続けているのですが、チームとして一体感が出てきたと思います」
――専門のトレーナーが増えたイメージですが、その辺りが変わったところですか。
「ヘッドコーチがしっかりいることが大きいです。今までヘッドコーチ不在で外部トレーナーだけだったのですが、エリー(・ケーリッシュ)がヘッドコーチとして来てくれて、きちんと(練習を)締めてくれるという形が出来上がりました。エリーは全体に目を配って、選手ひとりひとりのこともすごく見てくれていて、そういうヘッドコーチのもとで練習できているなっていうのはありますね」
――選手それぞれがやっていることをエリー・コーチがまとめるイメージですか。
「練習そのものというよりも、例えばエリーはスパーリングを全部見ていて、これができていたから次はここが課題だとか、試合が決まったら対戦相手を見て、こうしてこうとか、そういうことを提案してくれますね」
――スパーを見てアドバイスするコーチがいると練習の意識もかなり変わるのではないですか。
「今までは自分でやりながら津田(勝憲)に見てもらう形で、トレーナーが常駐しているわけではなかったので、そういうトレーナーがいることは大きいですね」
――言える範囲で気づいたこと・指摘されたことが何か教えてもらえますか。
「結局言っていることは津田と一緒と言えば一緒なんです。でも同じことを違う人から指摘されるということは、自分の課題が明確で分かりやすい。分かりやすいからこそ、その課題をもっと意識して直していかなきゃいけないんだろうなと思いますね」
――新しいことを取り入れるよりも、引き続き継続して直すべきところに着手している形ですか。
「はい。時期的に新しいことをやるというより、課題を直す形です」
――そういった意味では、リーグ戦に出場して、何が経験・プラスになりましたか。
「リーグ戦が始まった頃はまだJTTの体制が整っていなくて、津田のもとでずっと練習していた形だったんですね。リーグ戦出場を決めた理由が、試合数が多いというところで。今まで強い選手と試合したいと言い続けてきたんですけど、コロナなどの理由で試合間隔がものすごく空いちゃって。キャリア的にも、いつまで試合できるかも分からないなか、できるだけたくさん試合をしたいと思っていました。ちょうどそのときに修斗さんがリーグ戦の話をくれて、2カ月に1試合ペースで試合ができると。なかなかそういう経験はできないので、コンディショニングを含めて自分をどう作っていくか。そう思って参戦させていただきました」
――2023年4月~2024年1月までの約9カ月間で5試合を戦い、過去最多と言ってもいいくらい試合をしていますよね。
「MMAとキックを並行してやっていたときは両方合わせて年間5試合くらいやっていたんですけど、ある程度キャリアを重ねてからは一番やっていますね。周りからも体調的に体が持つのか、最初はちょっと心配もされたんですけど、意外と調子よく上げていけたんで、結果よかったなと」
――スパンが空くよりも試合が続く方が体は作りやすいですか。
「そうですね。基本的に練習をずっと続けているので、だらけずにすぐに気持ちを切り替えやすくて。なんか良かったですね」
――練習環境が変わり、試合をコンスタントにこなすなかで自分の中の変化は何か感じましたか。
「リーグ戦は2R制だったんですけど、最近は2R制の試合をやっていなくて。私は最初のラウンドをなかなか行けなくて様子を見ちゃうことも多くて、2R制だから最初から出し切ることは意識してやるようにしていました。スロースターターだった部分は少しずつ改善できたかなと思います」
――2R制の試合をやったことで戦い方の幅は広がりましたか。
「あとはインフィニティリーグだからというわけじゃないんですけど、より早いフィニッシュをしないと勝っても点数が伸びない・優勝できないかもしれないというのがあったので、そこは意識して早いフィニッシュをしたい、しようと心がけていました」
――藤野選手はMMAで40戦以上キャリアを重ねていますがまだまだ自分が変わるきっかけやポイントはありますか。
「まだできないこととかやるべきことが多いですし、現状維持で良いレベルではないので、どんどんやっていきたいなとは思っています」
――今大会ではリーグ戦で引き分けている杉本選手と5Rのタイトルマッチで対戦します。杉本選手にはどんな印象を持っていますか。
「戦績的に負けが少ない選手なので、手堅い印象がすごくありますね」
――試合をした時も手堅い印象でしたか。
「あのときはドローになっちゃったのですが、自分が1Rを取れたなと思っちゃったのが本当にダメで。それで(2Rは)多分いけたなと思って試合を終わらせてしまって、結果ドローになってしまったんです。そういう慢心じゃないけど、確実にちゃんと仕留めるとか明確なものを作らなければいけないと思いました」
――ジャッジペーパーを見直すと、1Rはジャッジ3名とも10-9で藤野選手を支持。2Rは2名が10-9で杉本選手、1名が10-9で藤野選手と票が割れる形でドローに終わりました。試合直後はどんな心境でしたか。
「私は『えっ!?』となったのですが、津田は2R取られたかもって言っていたんですよ。1Rは明確に取っているけど、2Rはどちらにつくか分からない、と」
――セコンドの判断はそうだったのですね。
「だから津田は2Rの最後に『行け!』と言って怒っていたんです。逆に私はもう大丈夫だと思って、明確な差をつけずに終わらせてしまったことがダメでした」
――次は5Rの王座決定戦で、微妙なラウンドでどちらにポイントが入るかで勝敗が分かれると思います。そのうえで明確にポイントを取る・優勢に見せるところもテーマになってきますか。
「パンクラスでやっていた頃はオープンジャッジだったんで、正直やりやすかったんですよね。でもオープンジャッジじゃないと、どちらにポイントが付いたかは本当に判断が難しい。もちろんフィニッシュはしなければいけないんですけど、誰が見ても自分がしっかり取ったと思わせる試合をしないと、前回みたいなことが起こりうる。そう思ってやります」
――今回は修斗のベルトがかかった試合です。タイトルマッチという部分での想いはいかがでしょうか。
「まさかこんなに色々ベルトに挑戦させていただけるとは思ってなかったし、パンクラスでタイトルに絡んだあと、もうベルトに絡むことはないかなと思っていたので。ラッキーと言ったらあれですけど、ありがたい話だなと思いますね」
――今の藤野選手の年齢・キャリアで修斗のベルトを巻くことには、どのような意味があると思いますか。
「何回もタイトルマッチを経験しましたけど、ベルトが取れたのは1回だけなんです。今年でプロデビューして20年経って、私は元々何か格闘技のベースもあるわけでもないし、何かが上手いということもない。最近は若い選手もすごく勢いがあります。でも一生懸命、格闘技を続けていたら、形になるということを自分で証明したいと思います」
――20224年最初の試合ですが、2024年はどのような1年にしたいと思っていますか。
「UFCにいきたい! Road to UFCはなんで年齢制限あるんだよってずっと文句もあるんで(苦笑)。格闘技始めた時からの夢がベルトを取ること、あとはUFCに行くことなんです。それをずっと言い続けているけど、そこには行けないまま来てしまって。だからこれからも現役を続けられる限りは諦めたくないです、色んなことを」
■視聴方法(予定)
5月19日(日)
午後12時30分~ ABEMA格闘チャンネル
■対戦カード
<修斗女子ストロー級王座決定戦/5分5R>
藤野恵実(日本)
杉本恵(日本)
<ストロー級/5分3R>
旭那拳(日本)
田上こゆる(日本)
<フライ級/5分3R>
関口祐冬(日本)
石井逸人(日本)
<インフィニティリーグ2024フライ級/5分2R>
ヤックル真吾(日本)
須藤晃大(日本)
<2024年度新人王Tフライ級1回戦/5分2R>
前田壮吉(日本)
シモン・スズキ(日本)