この星の格闘技を追いかける

【FIGHT&MOSH】シューター猿丸ジュンジのラストマッチ─01─「いつか試合しようと言っていました」

【写真】猿丸は最後まで「シューター」を貫く。漢の顔つきだ(C)SHOJIRO KAMEIKE

12月2日(土)、東京都江東区にある豊洲PITで開催されるプロ修斗公式戦「FIGHT&MOSH」で、猿丸ジュンジが安芸柊斗と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

2021年11月、猿丸は念願であった修斗のベルトを腰に巻いた。しかし翌年9月、初防衛戦で新井丈に敗れてベルトを失い、現役引退を決意する。シューターとして、修斗にこだわって生きてきた男のキャリアも終焉かと思われたが、もう一つのドラマが実現することに。『リアルがんばれ元気』——キャリア初期の2008年に倒した相手の息子、安芸柊斗と対戦する猿丸は、これがラストマッチになると公表している。そんな猿丸に新井戦から現在までの活動と、安芸戦について訊いた。


――リモート画面の背景に見えるのは、昨年立ち上げた「修斗パーソナルジム」ですか。

「そうです。立ち上げてから1年ぐらいになりますね。新井戦の直前にオープンしました」

――パーソナルトレーニングジムを立ち上げることは、ずっと以前から計画していたのでしょうか。

「ずっと計画していたのに、オープンがずれて試合直前になってしまったんですよ(苦笑)」

――2021年11月、黒澤選手を下して修斗世界ストロー級暫定王座を獲得しました。その試合前のインタビューでは「この試合で負けたら引退する」と仰っていたので、パーソナルジムを立ち上げるのも引退後を見据えてのことだったのですか。

「見据えて、というより――もともと格闘技しかできない人間だから(笑)。仕事として続けていくことを考えた時、まず修斗GYM東京の指導があって、さらにパーソナルトレーニングのジムもやりたいと思っていたんです」

――昨年オープンして、売り上げはいかがですか。

「メッチャ儲かっているわけじゃないけど、普通の格闘技ジムと同じくらい、ちゃんと生活できるぐらいは売り上げもありますね」

――それは良かったです。選手としてのお話に戻すと、黒澤戦は引退も決意しながら挑み、勝ってベルトを巻きました。続く新井選手との初防衛戦で敗れた時は、やはり引退しようと考えたのでしょうか。

「はい。まずベルトを巻いて満足していた部分はありました。ずっと目標だった修斗のベルト、だけどずっと巻くことができなかった修斗のベルトを獲って。初防衛戦で新井選手に負けた時、『これで自分の役目は終わった』と思ったんですよ」

――……。

「負けて落ち込むこともなく、『よし次だ!』と思いました」

――「次」というのは、現役を引退してからの次の人生ということですね。

「はい。もうパーソナルジムも立ち上げていましたしね。新井戦後に、坂本(一弘サステイン代表)さんにも『これで引退します』と伝えました。前々から言ってはいたけど、改めて伝えに行ったんですよ。そうしたら、いつもはメチャクチャ厳しい坂本さんが『今までよく続けてくれた。お疲れさん』と――父親のような顔で言ってくれて」

――その時点で引退を決意しながら、今回改めてラストマッチを行うことになった経緯を教えてください。

「新井戦のあと、モブスタイルの田原洋さんから『来年(2023年)、モブスタイル興行をやりたいと思っている。そこでもう1試合してくれないか』と声を掛けていただいて。まだ日程も対戦相手も決まっていなかったけど、ずっと田原さんにはお世話になっていますし『それならやるしかねぇ!』と思いました」

――早く言っておかないと、猿丸選手が選手としての練習も全て終えるだろうと思われたのではないですか。

「それもあるのかなぁ。アハハハ」

――引退するわけですから、少なくとも選手としての日常的な練習は行わなくなるでしょうし。

「確かに。格闘技は好きだし指導もあるから体は動かし続けるけど、田原さんから声を掛けてもらわなかったらメチャクチャ練習するってことはなかったと思います。新井戦後に一度、選手としての気持ちも終わりかけました。でもモブスタイル興行があるから『それを最後にする!』って、ずっと練習も続けています」

――そこから1年の時を経て、正式にラストマッチが発表されました。

「特に期間は問題なかったですね。自分のほうは対戦相手として安芸選手の名前が挙がって、『以前にインタビューで教えてもらった、リアルがんばれ元気だ』って思い浮かびました。ドラマがあって、自分のラストマッチにふさわしい試合じゃないかと思いましたね」

――アハハハ。これは安芸選手にもお聞きしていますが、『がんばれ元気』を読んだことはありますか。

「ないですね。これから読みます!」

――安芸選手も同じことを仰っていました(笑)。

「アハハハ。正直、もう安芸選手と対戦することはないのかなと思っていました。でも田原さんには『相手は誰でも良い』と伝えていて、一番良い相手に決まったんじゃないですか。安芸選手もモブスタイルのサポートを受けていたからこそ実現したのかもしれないけど、いずれにしても――すごいドラマですよね」

(C)SHOJIRO KAMEIKE

――そのドラマがスタートした2008年9月、安芸選手のお父さんである佳孝さんとの試合内容については覚えていますか。

「覚えていますよ。パンチがメチャクチャ堅かったです。最初の打ち合いでお互いにパンチをもらっていて、結果は俺が勝ったけど強い相手でしたね。その後も会場で挨拶したり、安芸選手が修斗で勝ち上がってきた時に『いつか試合しようね』と言っていました」

<この項、続く

PR
PR

関連記事

Movie