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【UFN226】MMAデビューから2年でUFC。戦禍の神、ブノワ・サンドニ「特殊部隊で規律を身につけた」

【写真】何事にも動じないのだろう。そんな表情のサンドニ。取材から2日後には計量も終え、チアゴ・モイゼスと共に156ポンドでパスをしている(C)MMAPLANET

本日2日(土・現地時間)にフランスはパリのエコー・アリーナで開催されるUFN226:UFN ESPN+84「Gane vs Spivak」でブノワ・サンドニがオクタゴン4連勝を賭けて、チアゴ・モイゼスと戦う。
Text by Manabu Takashima

世に名高いフランス軍特殊部隊=スペシャルフォース出身、西アフリカ諸国でテロリストと向き合い、勲章を授与されているサンドニはプロデビューから2年でUFCと契約を果たした。日本ではほぼ無名だが、BRAVE CFからUFCと短期間で濃密なキャリアを重ねてきたサンドニ=戦禍の神に初インタビューを試みた。


――チアゴ・モイゼスと週末に戦います。今の調子を教えてください(※取材は8月30日に行われた)。

「良い調子だよ。トレーニングキャンプは前回の試合が7月1日だったから、当然のように短期間だったけど、何も問題ない。ランカーでウェルラウダ―、凄くやりがいのある相手だ。ウォリアー・ファイトを見せるよ」

──UFCで3勝1敗。通算でも10勝1敗と素晴らしいレコードを持っていますが、まだ日本のMMAファンはブノワのことをほとんど知らないといっても過言でないです。MMAとの出会いを教えてもらえないでしょうか。

「マーシャルアーツを始めたのは8歳の時、柔道を習うようになった。競い合うというよりも、楽しんでいた。ただ続けていく上で、柔道では満ち足りていない自分に気付いたんだ。そんな時、2008年の柔道五輪金メダリストであるサトシ・イシイがMMAに転向した。きっと彼も同じ想いだったように思うんだ。僕自身は19歳まで柔道を続けたけど、ケガも多く、トレーニング内容も同じことを続けていることで、フィジカル的にも十分でなかった。もう一度、心身ともに自分を鍛え直そうとスペシャルフォース(フランス軍最強と謳われる特殊部隊)に入隊したんだ。

最初のミッションでブルキナファソ・マリ国境紛争での任務に就いた。それからも西アフリカで5年間、軍の一員として過ごした。2017年にブラジリアン柔術に出会い、柔道と違い投げ技はなかったけど極めるという部分に惹きつけられた。それこそ、戦いで最も難しい部分だから。投げより、難しいともいえる。そして、如何にも戦っているんだという気持ちになれた。

柔術と出会って、何か人生に張りが出てきてね。2018年にはボクシングに始めた。柔道、柔術の経験があり、ボクシングもやっている。MMAを始めない理由が見つからなかったよ。2018年にMMAの練習を開始して、アマからMMAを戦うようになった。そして4試合を経験して、11月にスペインで開催されたトーナメントで優勝した。アマで4勝0敗、この時にプロMMAファイターになろうと決めたんだ。そんなころ、ヴェノム・チームのトライアウトを行うことを知って、参加した。当時はまだ軍に在籍してMMAの練習をしていたんだけど、ダニエル・ウォハンに認めてもらい『軍生活を終えると、全てテイクケアする』と言われた。2019年1月にチーム・ヴェノムで練習を始め、休暇期間の全てをトレーニングに費やして3月に軍を離れた。

プロMMAに戦ったのは、チームに合流した翌月のLions FCだったよ。それから2年でUFCと契約することできて、今に至る。この短期間で、ここまでできたのはとにかく素晴らしいスタッフに恵まれて、しっかりと練習を続けられた結果だと思う。自分の長所をできるだけ、MMAにいかしたいと思ってトレーニングをしてきた。まだ軍に所属していたけど、

それからの2年間でMMAファイターとして生活し、家族のことも守ることができるようになった。凄く幸運だし、マネージャーにも感謝している。MMAコーチのダニエルは今ではウォハリン・エリートチームを創り、しっかりとボクシングのトレーニングも積んできた。」

──押忍。しっかりと振り返って頂きありがとうございます。ところでスペシャルフォースにいた経験はMMAにどのように生きていますか。本来は軍での活動とスポーツを比べるべきではないかと思うのですが。

「軍での任務は僕に規律を与えてくれた。そして、知性をもってトレーニングすることを教えてくれたよ。ガムシャラにやっても駄目だ。必要な量を見極め、正しい計画を組み立てる。全ての機器を使いつつ、シンプルに自分を鍛え続ける。そういうことが、できるようになったのはスペシャルフォースにいたからだと思う。

それと試合中、アドレナリンが血中に放出され交感神経が興奮状態になる際に、如何に自分をコントロールできるか。そうだね、そういう風に冷静に戦えるのも軍の経験があったからだと思う。でも、何よりもさっき言った規律を身に着けることができた方が大きいよ。自分がやってきたトレーニングを信じることで、どのような状況でも対応できる。正しいトレーニングをやり切っているから、自分の全てを試合にぶつけることができるんだ」

──さきほど2年でUFCと契約できたという話がありましたが、デビューの年から中東ベースのBRAVE CFで戦い4勝1NCという好成績を収めてステップアップを果たしました。

「だからマネージャーに感謝しているんだ。BRAVE CFで戦ったのもマネージャーの判断だった。パンデミックが起こる前にサインをして、コロナ禍でもBRAVE CFは世界でも最も早い時期に活動を再開した。世界規模で活動して色々なファイターが戦っていて、元UFCファイターとも契約している。そして、あそこで良い試合を見せるとUFCから目もかけられる。

それまではMMAが禁じられていたフランスで、パウンドのない小さな大会で戦っていた。BRAVE CFは世界のトップ3ではないけど、トップ10に入る団体だ。1つの階級に10人から15人の選手がいて、タフな選手も多かった。僕自身はタイトルに挑戦できるランク1位になったタイミングで、UFCとサインできた。BRAVE CFで戦うことで、多くの自信を手にしたよ」

──今週末の試合です。2度目のパリでの試合になりますが、母国で戦うことはどのような気持ちですか。

「何といっても9時間の時差がないことは素晴らしい(笑)。家族、仲間に試合を見てもらえる。フランス人選手、関係者、全てにとって最高の機会だよ」

──では改めてチアゴ・モイゼスの印象を教えてください。

「良い選手だよ、ATT所属で。イスラム・マカチャフやベニール・ダリューシュらトップ15にしか負けていない。彼に勝つことで、僕がトップ15と戦えると証明できる。素晴しい柔術家で、打撃もできるウェルラウンダーだけど、僕もグラウンドでは負けない。寝技になると退屈だと思うファンはまだ多い。でも、僕らの試合はUFCでも最高の寝技の攻防が見られるだろう。だから、しっかりとファイトを見て欲しい」

──ブノワ、今日はインタビューを受けていただきありがとうございました。最後に日本のファンに一言お願いできますか。

「僕は日本の長い歴史、規律ある歴史を素晴らしいと思っている。そんな日本の皆に、僕の試合を視てもらえるのは嬉しいことだよ。皆に良い試合を見せたい」

■視聴方法(予定)
9月3日(日・日本時間)
午前1時30~UFC FIGHT PASS
午前1時~U-NEXT

■UFN226対戦カード

<ヘビー級/5分5R>
シリル・ガンヌ(フランス)
セルゲイ・スピヴァク(モルドバ)

<女子フライ級/5分3R>
マノン・フィオホ(フランス)
ローズ・ナマジュナス(米国)

<ライト級/5分3R>
ブノワ・サンドニ(フランス)
チアゴ・モイゼス(ブラジル)

<ライトヘビー級/5分3R>
ヴォルカン・オズデミア(スイス)
バグジン・ガスコフ(ウズベキスタン)

<フェザー級/5分3R>
ヤニス・ゲムリ(フランス)
ウィリアム・ゴミス(フランス)

<フェザー級/5分3R>
モーガン・シャリエール(フランス)
マノロ・ゼッキーニ(イタリア)

<バンタム級/5分3R>
テイラー・ラピルース(フランス)
キャオラン・ローラン(アイルランド)

<ウェルター級/5分3R>
アンジェ・ルーザ(スイス)
リス・マッキー(アイルランド)

<女子バンタム級/5分3R>
ノハ・コーノール(フランス)
ホセリン・エドワルツ(パナマ)

<バンタム級/5分3R>
ファリド・バシャラット(アフガニスタン)
クレイジソン・ホドリゲス(ブラジル)

<140ポンド契約/5分3R>
ザラ・フェアン(フランス)
ジャケリニ・カバウカンチ(ポルトガル)

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