【UFC288】温故知新とはならず。クロン・グレイシー、倒せず、極められず。シャルル・ジョーダンに完敗
<フェザー級/5分3R>
シャルル・ジョーダン(カナダ)
Def.3-0:30-27.30-27.30-27
クロン・グレイシー(ブラジル)
サウスポーのクロンに対し、後ろ足重心で腰を落とし気味の構えのジョーダンがワンツーからスリー&フォーとパンチを纏める。右を見せて距離を詰めたクロンは左を差すが、ジョーダンが離れる。両手を覆って前進するクロンをいなして、転がしたジョーダンはパンチを入れると走って離れる。頭を振って右を伸ばすクロンが関節蹴りを見せる。ジョーダンは右アッパーを入れ、ジャブ。徹底的に距離を取るジョーダンは、クロンの前進にパンチを合わせ、さらにダーティーボクシングでアッパーを連打する。
歩き、右ローから組みにいったクロンがジャンピングガ―ドで引き込む。しっかりクローズドを取ったクロン、ジョーダンは両手で拝むようにしてワキを開けず、手首を取らせない。腰を切りつつハイガードを一瞬見せたクロンだが、ジョーダンはオープンになると一瞬にして立ち上がる。スクートからスタンド戻ったクロンが一気に組みつくが、ジョーダンは回って離れる。ダブルやシングルがないクロンは上体が立っておりパンチを被弾する姿勢が悪く、より印象を悪くするような初回だった。
2R、クロンは左インサドローも、両手を広げるような前進ではしっかりと組みつくことができない。それでも右腕を差したクロンがジャンピンガード、コーナーポストに押し込んだジョーダンだが、クロンがしっかりと引き込む。ケージを押して腰を切りに掛かるクロンに対し、ジョーダンは正対し仕掛けを切る。クロンは下からエルボーやパンチを見せ、ハイガードへ。他の選手とは明らかに別種感が伝わってくるクロンのクローズドガードだが、これがコントロールとして評価されることはないだろう。
残り2分、ジョーダンがここも立ちあがってスタンド戦へ。ジョーダンはヒザをボディに入れ、クロンの接近にショートでボディ、顔面を打っていく。さらに左エルボーを入れたジョーダンは、やや仕留めるような形でパンチを振るうとクロンも左を当てる。直後に引きこんだクロンはぶーリングを浴びる。下からの細かいパンチを見せたぐらいのクロン、相当に疲れた様子でタイムになると自陣に戻った。
最終回、ジョーダンが右を伸ばし、クロンも右ジャブを返す。ボディを殴られ、ジリジリと前に出るクロンは右アッパーを被弾する。頭を大きく振って、組みつき引き込もうとしたクロンを突き放したジョーダンが、顔を守るクロンのボディにワンツー、クリンチアッパーからヒザを突き刺す。クロンはジャンピングガ―ドから引き込むが、ここから右の細かいパンチを出すのみ。鉄槌を見せ、右足を生き寄せたクロンだが、極めへのセットはできない。
このまま時間は残り90秒となり、ジョーダンが立ち上がる。スクートのクロンにローを蹴るジョーダン、レフェリーがクロンを立ち上がらせる。ジョーダンはボディを殴り、組まれてもケージに押し込み、ヒザを入れて離れた。歩いて距離を詰めるクロンは左ローを蹴られ、ジャブから右を被弾する。最後に跳びヒザで近づいたジョーダンが、ショートのコンビで試合を締めた。
何もできなかったと指摘されても致し方ないクロンのUFC復帰戦。打撃でも、レスリングでも、柔術でも現代MMAはワンディメンショナルでは勝てない。勝者は「2カ月間、柔術対策をして来た。次はエジソン・バルボーサと戦いたい。キックボクシングファイトがしたいんだ」と話した。