この星の格闘技を追いかける

【RIZIN LANDMARK05】「長くは続けないことはハッキリしています」浅倉カンナ戦前のV.V Mei─02─

【写真】3月3日の会見で、顔を合わせている両者。3週間後にはケージで相対する(C)MMAPLANET

29日(土・祝)に代々木第一体育館で開催される『RIZIN LANDMARK05』で、浅倉カンナと対戦するV.V Meiのインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

RIZIN参戦の理由を訊くと、V.V Meiは「キャリアの最後」という言葉を口にした。ONEでの3連敗から国内復帰だからといって、彼女の中に決してマイナスな感情はない。明るい未来のために――ハッキリとそう語るV.V Mei。そんな彼女は次の対戦相手である浅倉や、RIZIN王者の伊澤星花など新世代の女子ファイターを、どのように見ていたのか。そして、新世代ファイターと戦う先に見るものとは。ここからV.V Meiの最終章が始まる。

<V.V MeiインタビューPart.01はコチラから>


――ONEで戦っていた間、日本国内の女子MMAはどのように見ていましたか。

「RIZINで女子の試合が行われて、それを視て格闘技を始める女の子も増えたと思うんです。そうして競技人口が増え、RIZINを視て育った選手たちが芽を出し始めている。日本の女子MMAにも明るい未来がある、と思っていました」

――そこに自分自身が絡むことになるとは想定していましたか。

「その意識は、なくはなかったです。ただ、それよりも『強い選手がたくさん出てきて、面白くなってきた』と思っていましたね」

――RIZINが誕生したのは2016年の大晦日2015年年末で、ヴィー選手がONEで戦い始めた後でした。そのRIZINで注目を浴びた浅倉カンナ選手は、ヴィー選手も交わったことのない新しい世代の選手です。

「あぁ、そうですね。実は2年前ぐらいに、カンナちゃんとは一度練習したことがあって。まだまだ日本では女子選手も少ないし、お互いに知っている選手もいて、水道橋のマスタージャパンでやっている女子練習会にカンナちゃんが来たんですよ」

――マスタージャパンの女子練習会ですか。今月はヴィーさんをはじめ、藤野恵実選手や端貴代選手も試合を控えています。まだまだベテラン勢が戦い続けていますね。

「凄いですよね。私は引退する時期を見据えていて、そんなに長くは続けないことはハッキリしています。でも藤野さんは60歳ぐらいまで試合に出ているんじゃないかと思います。もう日課のような感じで練習に来ていて。

黒部三奈さんも藤野さんも『暇だから』みたいな感じで、日曜日の朝から殴り合っています。私は『引退したら日曜の朝から殴り合うことなく、ゆっくりと過ごすことができるんだな』とか考えるわけですよ。あの人たちには、そういう考えは一切ないですよね(笑)」

――アハハハ。そのような方々と一緒に練習しているなかで、ヴィー選手が引退を考えた理由とは何なのでしょうか。

「体力は落ちていないし、技術的にも向上していると思います。でも2年後に同じ状態をキープできるかどうか……。今は関節が痛いです(苦笑)。大きな怪我ではないですけど、やっぱり肉体は消耗されていきますからね。それに私は趣味が多いこともあるし、アスリートとして経験してきたことを生かして、いろんなことに貢献していきたいと考えました」

――その一つが、リングアナウンサーのD.J Meiなのですか。

「D.J Meiをやるのが結構楽しいんですよ(笑)。今はキックボクシングのRISEでやらせていただいていて、今年からグラジエーターでも――他からも声をかけていただいていて、D.J Meiも売れっ子で困っています。アハハハ」

――引退後はRIZINから、選手ではなくリングアナウンサーとしてのオファーが来るのではないですか。

「いやいや、レニー・ハートさんがいますから(笑)」

――まずは選手として、ですね。試合の話に戻りますが、浅倉選手の印象を教えてください。

「打撃も寝技も淡々とやってくるし、殴られても、ひるむような姿は見せずに前に出て来る――しぶとさのある選手だと思います」

――先ほどお話のあったとおり、世代が異なる選手です。これまでのキャリアを考えると、ヴィー選手のほうが格上となります。

「いやぁ、どうなんですかね……。戦ってきた舞台も違いますし、簡単に比較することはできないと思います。私自身がいろんな団体で戦ってきて、それを乗り越えてきた力を生かして泥臭く戦ったとしても、それをパッとテクニックで切り返されたら終わりですし(苦笑)。

自分の経験が若手の勢いを潰せるとは考えていないです。でも私は私で、RIZINで一発良いものを見せたいし、カンナちゃんももう一度勝ちたい気持ちが強いと思います。そういう意味では、良いマッチメイクじゃないですかね。どちらも勝ちたい気持ちを見せなきゃいけない状況で、それがお互いに良い刺激になりますから」

――良いマッチメイク……何より、この試合がケージで行われることが最も注目したいです。ヴィー選手はこれまでONEだけでなくヴァルキリー、パンクラス、VTJ、DEEPからPXCまで含めて、日本人女子選手としては誰よりもケージで戦ってきました。対して浅倉選手のスタイルも、ケージでこそ生かされる部分もあるかと思います。

「そうですね。私自身はレスリングが強い選手が相手なら、ケージのほうが立ちやすいです。万が一テイクダウンを取られても、ケージを使って立ち上がることができますし。リングではロープが滑るし、動きづらいところもあるので。私としては、ケージで行われることになって良かったです。カンナちゃんもケージを使えるところが多いでしょうし」

――今回の浅倉戦から始まる最終章で、ヴィー選手が見据えているものとは何でしょうか。

「RIZINのタイトルに絡むことができたら面白いし、周りの人たちも喜んでくれると思います。チャンピオンの伊澤星花さんは浜崎朱加さんとパク(・シウ)ちゃんにも勝っていて、どれだけ強いのか――手を合わせてみたいです。そのRIZINに参戦ということで、久々に日本のファンの皆さんの前で試合をします。思っていた以上に反響も大きくて、それに応えられるような試合をしたいと思います」

PR
PR

関連記事

Movie