【ONE FF01】ルンピニー改めて金曜ファイトに出場、藤沢彰博「ルンピニーが聖地であることは変わりない」
【写真】この間に積み上げ来たものを、豆タンクのようなキエルバサにぶつけることはできるか(C)MMAPLANET
20日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されるONEルンピニー改めONE Friday Fight01。全12試合、前半戦の6試合にMMAが2試合組まれ、うち1試合にタイ在住の藤沢彰博が出場し、コルトン・キエルバサと戦う。
2020年7月、中国のHERO Seriesに続き、パンデミック下で開催されたONEタイ大会でキャリア・ハイといえるKO勝ちを収めた藤沢だが、その試合以降にONEのサークルケイジで彼の姿を見ることはなかった。
2年6カ月を経て、ONE Friday Fightという場で戦うことになった藤沢にタイのMMA普及度合、そして自らの試合について尋ねた。
──ご無沙汰しています。金曜日に試合が迫ってきましたが、今はまだご自宅なのですか(※取材は17日(火)に行われた)。
「今は自宅で、明日からホテルに行ってメディカル、木曜日に計量。金曜日に試合という流れです」
──ONEの通常シリーズのバンコク大会の時のホテル入りは?
「僕はコロナの時のバンコク大会でしたが、あの時は通常の大会と同じで月曜日入りなので5日前でした。このシリーズはONE Worrier Seriesの時のように別部隊のような形ですね。地元開催なので、自分自身は家にいられるほうが有難いです。撮影とかスケジュールがたくさんあるならホテルの方が良いと思いますけど、調整とかは家にいた方がしやすいという選手もいるでしょうね」
──インパクトアリーナ大会の前に泊るホテルも、前の道を東にまっすぐ行くとルンピニーでしたが、同じ場所で宿泊になるのでしょうか。
「同じ系列ですけど、ドンムアンとなっていたのでより近い場所だと思います」
──なるほどぉ。インパクトアリーナの先ということですね。そして、藤沢選手にとって2020年7月のコロナ禍のタイ大会、ポンシリ・ミートサティートを相手にキャリア最高といっても過言でないKO勝ちを収めて以来の試合となります。
「あの時は1階級下の相手でしたけど、綺麗に勝てました。ストライカーを相手に打撃で勝てたのは自信にもなりましたね」
──その後、ONEからオファーは無かったのでしょうか。
「1カ月後のタイ大会で、もう1度オファーはあったんです。ただ仕事もあるし、連続で戦うことはできなくて。そのオファーを断ってから、声は掛からなくなりました。勝った試合が6試合目で契約の切れ目で、呼ばれないということは契約更新はないという理解でいました。反面、いつ呼ばれても戦えるように練習はしていました」
──では2年以上、契約がない状態で日本や他のプロモーションで試合をしようとは思わなかったですか。
「ちょっとありました。周囲からも試合をしないのは勿体ないと言われていましたし。日本に限らずタイもちょこちょこ活動が再開されていますし、実際にLegend FCという大会からオファーもあったはありました。でも、そこに出てしまうと完全にONEで戦う道も絶たれてしまう可能性もあるので。やっぱりONEで戦いたいと思っていたので、断りました」
──こういうと失礼なのですが、40歳を過ぎてそれほど時間も残されていないと思います。それでもONEに拘ったというのは?
「そうですね。正直、日本で日本人選手と戦いたいという気持ちがなかったです。同じ試合をするなら、国際試合を戦いたい。外国人選手と戦うには、現状でONEが一番近いので。
このONEルンピニーもタイ在住の日本人を探しているという話があって、今は自分たちでやっている新しいチームに日本人で成長している選手もいますし、自分も出たいと返答したんです。『なら、ぜひ』ということで今回の試合が決まりました」
──ということはONEルンピニーとの契約ということなのですね。
「そうですね。ファイトマネーも違っていますし。いずれにして年齢も年齢ですので自分が納得できないパフォーマンスしか出せないようなら、区切りをつけようという気持ちはいつも持っています」
──さきほど新しいチームでやっていると言われていましたが、いつ頃から?
「前の試合が終わってコロナでゴタゴタしている間に、コーチがやる気がなくなったのか……あまり指導をしてくれなくなりました。元々コロナでジムを閉めないといけなかった時期にチームメイト、新しく参加する有志が集まって誰かの家のガレージにマットを敷いて練習をしたりしていた流れですね。常設ジムがあるわけではなくて、プロ選手が集まってフィットネスジムの会員になり、そこにあるリングを使って練習しています。そうなると以前のジムの名前で試合に出るのもおかしいし、ストレイーキャット・ファイトチームというチーム名を考えました」
──迷子の子猫ちゃんファイトチームですか(笑)。
「野良猫みたいな感じですね。常設ジムもないし、気儘にやっている(笑)。そこで日本人、2018年11月に試合をしたフィリピン人のロッキー・バクトルと僕の3人を中心に、あとは出稽古で来る選手とやるみたいな感じです。特にコーチはいないので、他のジムの技術練習に参加することもありますが、基本的には自分たちでやっています」
──今回ONEルンピニーがスタートを切りますが、去年の1月にフェアテックスがルンピニーで一足先にMMAの試合を組んでいます。今は再びムエタイだけになったようですが、このところのタイでのMMA人気はどのような状態なのでしょうか。
「MMAはタイ国内に、いくつかの団体もあります。プロ興行も増えて、徐々に盛り上がっているかと思いますが、如何せん選手がそれほど多くないです。プーケットにはいますけど、常駐している形でもないですし。僕のところに選手を探しているという話があるということは、毎週試合を組んでいくにはタイ国内では選手不足なんじゃないかと思います。
これは僕の個人的な感覚ですけど、タイ人でMMAや柔術に興味を持ったり、練習をする人って基本的にはアッパーミドル層です。裕福なセレブ的な人が多く、ガチで選手を目指すのはまだまだ少ないのではないかと感じます。会費もそれなりの値段になりますしね。他はタイ在住の外国人が練習するという形なので。
僕が一緒に練習しているタイ人の子で、センスのある子もいます。その子は言うと、お坊ちゃんで家がもの凄いお金持ちです。一生懸命練習していますし、アマチュアのトーナメントにも出る予定なんですけど、親御さんはよくは思っていないかと……そういう雰囲気はあります。心技道場時代の同門だったタイ人が、MMAの指導をしているジムもあるのですが、やっぱり通っているタイ人の子は育ちが良いですね。皆、英語を話しますし。やはりムエタイのジムにいるタイ人の子とは違います」
──心技道場にかなり前に寄らせていただいた時、ふっくらしたタイ人の子が多かったです。
「アハハハ。ギラギラはしてないです(笑)」
──スミマセン、試合と関係ない話をしていただいて。では藤沢選手の対戦相手コルトン・キエルバサですが、この試合が決まるまで知らない選手でした。
「彼もバンコク在住で、ザンボアンガ兄妹がいたモロック・ジムの所属米国人レスラーですね。アメリカン・レスラーっていう感じです。打撃で倒せればと思いますけど、寝技もやってきているんで。相手がいくらレスリングが強くても、普通にグラウンドで極めたいと思います」
──ところで今回はリングでの試合になります。
「腕で出たり、体が外に出ることは想定しています。ただ今、ジムにはリングしかないのでケージや壁でなくてリングで練習していますし。そういうこともあって、これまでとあまり変わらず戦えると思います」
──ズバリ、藤沢選手はルンピニーのリングにMMAファイターとして上がる最初の日本人になります。
「ルンピニーで試合がしたい。それも第1回大会。そういうことがあって、条件が下がっても名乗りを挙げたところはあります。新しく移転したとはいえ、ルンピニーが聖地であることは変わりないと思っているので。ここで良い勝ち方をして、次に繋げたいと思います」
──押忍。では改めて日本で試合を視聴するファンに一言お願いします。
「久しぶりの試合で年齢も年齢ですけど、積み重ねてきたものをちゃんと見せてフィニッシュして勝てるよう気合入れていきます。応援宜しくお願いします」
■放送予定
1月20日(金・日本時間)
午後9時30分~ ABEMA格闘チャンネル
■ONE FF MMA対戦カード
<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ヒカルド・ゴドイ(ブラジル)
アレクシー・リャプノフ(ロシア)
<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
藤沢彰博(日本)
コルトン・キエルバサ(米国)