【Pancrase330】12・25を読む デビューからの連勝を伸ばせるか。高木凌─01─「練習だと当たるのは左」
【写真】4戦4勝3KO、3試合とも右ストレートで倒してる──左が得意な高木凌に初インタビュー (C)SHOJIRO KAMAIKE
25日(日)、横浜市中区の横浜武道館で開催されるPANCRASE330で、プロデビュー以来4連勝中の高木凌が新居すぐると対戦する。
Text by Shojio Kameike
高木の代名詞といえば、右ストレート。これまで4試合中KO勝ちは3回、その全てが右ストレートによるフィニッシュだ。なぜこれだけ右で倒せるのか――新居戦を控える高木が、その右ストレートの秘密を語ってくれた。パンクラスの2022年フィナーレ、横浜武道館大会――12・25を読む。第6弾は高木凌インタビュー前編をお届けしたい。
――高木選手はプロデビュー以降4戦全勝、うち3つのKO勝ちを収めています。そしてパンクラスのビッグイベントに出場というご自身のキャリアについて、どう思われますか。
「満足はしていますが、全部KO勝ちしたかったという気持ちもあります。ただ、KOできなかった3試合目(今年4月、渡辺謙昭に判定勝ち)は課題も見つかって、いろんなことが経験できたという意味では満足しています」
――渡辺戦で見つかった課題とは何でしょうか。
「スタミナですね」
――確かに2Rから目に見えて、分かりやすくスタミナが切れていました。
「なぜスタミナを消費したかというと、ニンジャチョークを狙った時です。あまり深く入っていなかったのに、全力で極めに行ったんですよ。いつも練習だとインターバルで回復するのに、試合は緊張もあって……。それで2Rの終盤から3Rまで、いつもどおりの動きができなかったです。全て全力でやればいいというわけじゃない、それを学びました」
――ただ、そういう時こそファイターとしての真価が問われるのではないかと思います。渡辺戦はスタミナが切れたあとにも関わらず、3Rに左のテンカオを当て、さらにパンチでダウンを奪って試合を締めていました。
「ありがとうございます。まず左のテンカオは得意なんです。1Rと2Rは自分が取っていたと思うので、相手は最終回で前に出て来るしかない。それで僕はサウスポーに変えて、左のテンカオを狙いました」
――過去3つのKO勝ちはフィニッシュのパンチが全て右ストレートで、渡辺戦でKOはできなかったものの、右でダウンを奪いました。なぜあれだけご自身の右が当たると思いますか。
「自分の中で、右を打つタイミングというのがあるんです。練習でも試合でも相手がオーソドックスだった場合、自分の右が当たらなかったことがなくて。それをシャドーやミットで研ぎ澄ませて、試合で当てます」
――高木選手が右を当てる時、様々なパターンがあります。左右のパンチで相手を下がらせてからの右、相手をおびき寄せてカウンターで打つ右、あるいはハイキックからの右――それらは全て、最後に右で倒すために築き上げているパターンなのでしょうか。
「はい。でも正直、練習だとあまり右は使っていないんですよ。どちらかというと左ジャブ、左ボディのほうが当たります。でも試合になると、なぜか右のほうが当たっていて(苦笑)。もう無意識で組み立てているのかな、って思います」
――距離の取り方はいかがですか。試合では相手が前に出てきても、あるいは下がっても高木選手が常に一定の距離を保っています。
「どちらかというと僕は待ちのファイターなので、それこそ指何個分ぐらい考えて距離を作っています。そこを間違えると、自分も被弾してしまう時がありますね。相手のリズムを盗むことも重要ですけど、それ以上に距離を大事にしています」
――距離とリズムが、ムエタイに近いようにも思えます。クロスポイント吉祥寺でキックボクシングの練習に参加したことがあるとお聞きしました。
「一度だけクロスポイント吉祥寺さんに行かせていただいたことがあります。そこでムエタイのリズムを勉強させてもらいました。それまで自分がつくっていたリズムとも違いましたね」
――そうだったのですか。では、どうやって高木選手の打撃が育まれていったのか、とても興味深いです。もともと格闘技ではなく野球をやっていたのですよね。
「小学3年生から高3まで野球をやっていました。でも野球では結果も出なかったですね。たぶん野球は、やらされていたっていう気持ちが強かったんだと思います。だから野球は高校までで、子供の頃から格闘技も好きだったので一度やってみたいと思ったんです。知り合いにボクシングをやっている人がいたので、ちょっと相手をしてもらったんですよ」
――それはボクシングジムでのお話ですか。
「いえ、知り合いの家でちょっと……」
――……もしかしてヤンチャな時代があったのでしょうか。
「いえいえ、そんなことはないです! ただずっと強さへの憧れはありました。でも格闘技を舐めていたところもあって、その時はフルボッコにされました(笑)。そこから格闘技のジムを探している時に、MMAをやりたいと思ってパラエストラ八王子に入会したんです。もともと格闘技はやりたいと思っていたのですが、ジムに入る勇気がなくて」
――何かジムに入りづらい理由があったのですか。
「格闘技ジムには怖い人たちがいっぱいいると思って、最初はすごくドキドキしました」
――アハハハ。やはり格闘技ジムに対しては、そのような印象があるものなのですね。
「でも入ってみたら皆さん優しくて。そこでプロの方を見て、自分もプロになろうと決めました」
――そこから如何にして右ストレートが研ぎ澄まされていったのでしょうか。
「パラエストラ八王子には長身でリーチが長くて、右ストレートが強い選手が多いので、そういった先輩方に教わったところは大きいです。あとはKOD LABという、元ボクシング世界王者の内山高志さんのジムで、同じく元世界王者の田口良一さんにボクシングを教わっています。田口さんはMMAの距離も踏まえて教えてくださるので、そのおかげで僕の右ストレートは出来上がりました」
<この項、続く>
■視聴方法(予定)
12月25日
午後2時30分~U-NEXT
午後2時30分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE