【RTU ASIA 2022 Ep05】UFCへの道、準決勝=キム・ミンウ戦へ。風間敏臣─01─「病みつきになります」
【写真】極めへのこだわり、殺気をはらんだスパーを風間は行っていた(C)MMAPLANET
10月23日(日・現地時間)にUAEはアブダビのエティハド・アリーナで開催されるROAD TO UFC AISA2022 Episode05――バンタム級準決勝で風間敏臣がキム・ミンウと戦う。
6月の1回戦で沸き起こったUFCのとの契約を勝ち取るという想い。そして勝利直後から中村倫也戦を想定して創り上げてきながら9月になって対戦相手がキム・ミンウに変更された。レスラーからストライカーへ、大きな軌道修正が必要な状況も過去最高のデザイアを持つ風間に大きな影響を与えることはなかった。
そんなキム・ミンウ戦まで2週間強、10月7日のHEARTSプロ練習後に風間の話を訊いた。
──スパーリングの最後のセッションだけ見せていただいたのですが、相当に気合が入っていますね。
「ハイ。そうですね」
――極めに行く直前のバックグラブからのパンチ、練習としてはギリの線かと感じるほど殺気がありました。
「アハハハ。そんなことないです。ちゃんと肩を殴っていますから。顔面を狙うことはないです。ただ、最初はちょっと顔に入ったので肩に切り替えました(笑)」
――顔面のイメージで、力を入れて肩を殴ると。
「ハイ」
――Road to UFC準決勝まで2週間少し、上々の仕上がりに見えました。
「体調は万全です。疲労は溜まってきても、それはしょうがない時期ですし」
――6月の1回戦。セコンドの大沢ケンジさんが、ケージサイドに立った時に『UFCなんだ』と気持ちが上がったと言われていました。風間選手はいかがでしたか。
「僕はUFCに対して、あまり思うことがなかったです。でも会場について『ここにいたい』っていう気持ちが凄く湧き上がってきて。自分は『何が欲しい』とかあまり思わないんですけど、あれだけ『欲しい』って思ったのは初めてでした。『UFCとの契約が欲しい』――そう思いました。本当にこれまでは『××で戦いたい』とかなくて、自分が進んでいくなかで見えてくるところで戦えるよう探っていきたいという感じでした。
でも、あの舞台に触れることができて『ヤバいな』と。Road to UFCってUFCのサブもサブじゃないですか。ほぼほぼ観客もいないなかで、あれだけ自分の気持ちが動いた。ということは、本戦に出た時はヤバいだろうなって。スタッフの待遇とかも、もっと変わってくるだろうし。それを何としても手にいれたいと思いました」
――取材をしていてONEと同じ会場だけど、別世界でした。UFCの歴史の重みというか、頂の高さと言うか。何か雰囲気が違っていました。
「僕はONEを味わったことがないのですが、なんか雰囲気が凄くて。アレを味わっていないから、以前の自分のように気持ちが動くことがない選手が多いんだと思います。アレを知ってしまうと……ダメっすね(笑)。病みつきになります」
――PPV出場選手と同じファイトウィークを過ごしました。そこで感じ入ることもありましたか。
「そこは僕は本当に選手のこととか知らないので、大沢さんに『××だ』とか教えてもらうような感じで。自分は知らなかったから、何も思わなかったです。それなのに会場入りしてからは……痺れました。最高でした」
――その気持ちになったのが6月9日でした。それから準決勝まで4カ月以上あるわけですが、1回戦が終わってからどのように過ごしてきましたか。
「終わった後は次の相手は中村倫也だと思っていたので、本当にそこに向けて創っていました。試合が終わってホテルに戻ってから、もう大沢さんと次の試合に向けて話をして。帰国して、数日間休んで。次に大沢さんと話をした時も、準決勝に向けて話を詰めていくというか……。それからどんどん創ってきました。
それが9月になってキム・ミンウに相手が代わって(笑)。まぁ気持ち的には何も変わらないのですが、相手がやってくることはメチャクチャ変わりますよね(笑)」
――中村選手と戦うという想定していた時は、どのような準備を?
「それは言えないです(笑)。決勝で戦う可能性が残っているので。ちょっとそこは申し訳ないです」
――確かにその通りです。失礼しました。それだけ創っていたといことですね。
「ハイ。対戦相手がキム・ミンウになると知ったのは、MMAPLANETの記事を見るのと、ほとんど同じタイミングでした」
――そうなのですか!! 実は私がその情報を得た時にUFCアジアに『正式発表はいつ?』と問い合わせをして。『正式発表の時期は分からないけど、事実だからあなたの得た情報を記事にしてもらって構わない』という返答で。
「ほんと記事を読んで『えっ?』と思ったタイミングで、大沢さんから連絡があって。アハハハハ。ビックリしました。正直、最初は『マジかよ』と思いました。やってきたことが後回しになってしまうので。でも少し考えると、確かに日本では中村倫也で盛り上がっているかもしれないけど、世界的に見たらキム・ミンウの方が評価が高いんで。自分にとっては美味しい話です。
と同時に誰と当たっても強くて、楽な試合はないので誰でも良いっていう気持ちでもありました」
――とはいえ野瀬選手と戦う準備をしていたキム・ミンウは、風間選手に代わってもグラップリング主体のファイターということで、さほど修正は必要ないと思ったかもしれないです。
「構えが逆――なぐらいですよね。自分の場合は、一旦白紙に戻してキム・ミンウ対策をしてきました」
――ほぼ3年ブランクのある選手です。過去の試合映像で、どの試合を参考にしましたか。
「試合は一通り見ました。でも一番チェックしたのは、2017年4月のキム・スーチョル戦ですね。ちょうどキム・スーチョルと扇久保(博正)選手の試合があったので、そこと見比べる感じで」
――そこで得た印象というのは?
「倒せますね。倒せるっていうことです。でも間違いなく強い。圧倒したいけど、無傷では帰ってくることはできないです。でも圧倒します」
――キム・ミンウと戦うことで、4月の齋藤奨司選手との試合の経験が生きてくるということはありますか。
「距離とか違うし、そこは余りないです。ただし、跳びヒザに関してはアレからずっと意識するようになりました。そこは良い経験になりました(笑)」
――テイクダウンにヒザを合わせる、戦い方として正論です。ただし、ドンピシャで入ることは滅多にない。テイクダウンを奪えるパーセンテージと当てられるパーセンテージは圧倒的に前者の方が高いかと。
「自分もそう思っていました。自分が生きている間に、そんなことは起こらないぐらいで思っていました。パンチならまだしも動いているなかで、跳びヒザを当てるって。あの試合は事故だと色々な人は言いますけど、そうではないです。
動画を視ると、自分が頭を振った瞬間に齋藤選手はモーションに入っていました。きっとめちゃくちゃ練習をしてきたはずです。だからあのヒザは事故ではなくて、齋藤選手に僕がはめられた結果です。キム・ミンウだってヒザがある。そこを考えて対策を立てています」
<この項、続く>
■ROAD TO UFC AISA2022 Episode05対戦カード
<Road to UFCフェザー級T準決勝/5分3R>
イー・チャア(中国)
松嶋こよみ(日本)
<Road to UFCフライ級T準決勝/5分3R>
チウ・ルェン(中国)
チェ・スングク(韓国)
<Road to UFCライト級T準決勝/5分3R>
キ・ウォンビン(韓国)
ジェカ・サラギ(インドネシア)
<Road to UFCバンタム級T準決勝/5分3R>
風間敏臣(日本)
キム・ミンウ(韓国)
<ライト級/5分3R>
SASUKE(日本)
パラチン(中国)
■ROAD TO UFC AISA2022 Episode06対戦カード
<Road to UFCフェザー級T準決勝/5分3R>
イ・ジョンヨン(韓国)
ルー・カイ(中国)
<Road to UFCバンタム級T準決勝/5分3R>
中村倫也(日本)
野瀬翔平(日本)
<Road to UFCフライ級T準決勝/5分3R>
トップノイ・キウラム(タイ)
パク・ヒョンソン(韓国)
<Road to UFCライト級T準決勝/5分3R>
アンシュル・ジュビリ(インド)
キム・ギョンピョ(韓国)
<バンタム級/5分3R>
シャオ・ロン(中国)
フィリッピ・リマ(ブラジル)