【ADCC2022】66キロ級1回戦。ベイビーシャークはウェールズの実力者アシュリー・ウィリアムスに快勝
【写真】1回戦、優勝するまでのスタミナ配分をしているかのようにも見えたベイビーシャークだった(C)SATOSHI NARITA
17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi
ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第7 回──今回から66キロ級の戦い、まずはジオゴ・ヘイスの1回戦の模様をお伝えしたい。
<66キロ級1回戦/10分1R>
ジオゴ・ヘイス(ブラジル)
Def. 2-0
アシュリー・ウィリアムス(英国)
第1回南米予選を制して優勝候補の一人に挙げられるベイビーシャークことジオゴ・ヘイスの初戦の相手は、ウェールズ出身のアシュリー・ウィリアムス。英国のプログラップリングイベントPolarisでは、今成正和やイサン・クレリンステン、リチャード・アラルコン、パウロ・ミヤオらに勝利した実績を持つ技巧派だ。
試合開始後、スタンドでお互い積極的に仕掛け合う両者。ウィリアムスがアームドラッグを試みると、ジオゴも素早く距離を詰めてウィリアムスの右足を抱えてドライブするが、ここは場外ブレイクとなった。
2分過ぎ、ウィリアムスは左足にシングルを仕掛けるが、ジオゴが反応。次の瞬間ウィリアムスは倒れ込みながら右足を絡めてヒール狙い。が、ジオゴは落ち着いてその足を押し下げ、引き抜いてみせた。上になったジオゴは素早い動きでトレアナパスやニースライス、またルオトロ兄弟のように足を踏みつけてのパスを狙うが、ウィリアムスは迅速に対処する。
ならばとジオゴは座ってウィリアムスの右足をヒザで固定し低くプレッシャーをかけ、その後再び立ってレッグドラッグ狙いを見せるが、ウィリアムスはここも対応。ジオゴと違って戦前優勝候補に挙げられていなかったウィリアムスだが、ジオゴの多彩かつスピーディーなパス攻撃に的確に対処するそのガードワークは一級品だ。
そのまま時間が過ぎ、加点開始5秒前のところでジオゴが座ってダブルガードに。そこからウィリアムスの左足を掴んだジオゴは、すばやく対角線に引き出すと、方向を変えて自らの右ワキに抱えてアウトサイドヒールを仕掛ける。
極まらないと見るやジオゴが強烈なストレートフットロックへ。エスティマロックの形で強烈に足首を曲げられているウィリアムスだが、冷静な表情は変わらない。さらにジオゴはトーホールドも狙うが、ここもウィリアムスが素早く回転して凌いだ。
残り2分、ここまでディフェンスの場面の多いウィリアムスがシットアップして上を選択。左でニースライスパスを狙う。が、それをニーシールドで防いだジオゴはハーフから後転するような形を作って下から煽ると、ウィリアムスの股をくぐってから、左足を抱えて勢い良く起き上がった。
テイクダウンデフェンスの姿勢を余儀なくされたウィリアムスは、自ら引き込みを選択する。3秒間押さえ込まれる前に体勢を変えることができればノーポイントなので、上半身を起こして離れようとするウィリアムス。しかしジオゴはガードの中から低くタイトに上半身を密着させ、ボディロックのグリップを完成。ウィリアムスの上半身こそ起きているものの、その状態を固定したジオゴが2点を獲得した。
痛恨の失点となったウイリアムスは、残り40秒のところでスイッチを仕掛けてスクランブルで離れることに成功させてテイクダウンを仕掛けるが、ジオゴは冷静に腰を引いて対処した。
最後まで挽回を試みて前に出るウィリアムスだが、巧みにいなし続けたジオゴがすくい投げで切り返したところで試合終了。優勝候補ジオゴ・ヘイスが初戦を突破した。
2-0と僅差ではあったが、スタンドレスリングでもダブルガードからの足関節の攻防でも主導権を握っていたのはジオゴの方。ウィリアムスが上を選択するとすかさず体勢を入れ替え、ポイント獲得までポジションを固めてみせた技量&ゲームメイクの上手さも光った。そして最初から最後までハイペースで戦い続け、まったく息を乱していないそのスタミナも出色だ。
派手さはないが、ルールを熟知し技術的にも全ての局面で穴がなく、なおかつ抜群のコンディショニング誇るジエゴ・ヘイスが、順当かつ危なげなく2回戦進出を決めた。