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【Pancrase329】再起へ、藤野恵実─01─「レフェリーストップ負け? 試合後には傷口が消えていました」

【写真】下はパンツ一丁だった藤野(C)SHOJIRO KAMEIKE

11日(日)、東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE329で、前ストロー級QOPの藤野恵実が韓国のソン・へユンを迎え撃つ。
Text by Shojro Kameike

今年3月、藤野はKARENにベルトを明け渡してしまった。3Rまで試合を優位に進めながら、4Rにヒジ打ちを受けてレフェリーストップ負け──あれから6カ月、復帰戦を前にまずは前回の試合から振り返ってもらった。


――今日はよろしくお願いします。

「Zoomでは見えないと思って、下はパンツ一丁ですから」

――全く必要ないセクシーパンツ宣言ありがとうございます。

「セクシーではないですから(笑)」

──試合まで1週間を切りましたが(※取材は9月5日に行われた)、とてもリラックスしているようですね(笑)。

「アハハハ、いつもと変わらないと思いますよ。さすがにキャリアも長いので、試合前も緊張することなく――普通です(笑)」

――試合前に緊張しないのは、以前から同じですか。

「フジメグさんとの試合(2010年12月30日、藤井惠に判定負け)から緊張しなくなりました。大きい大会に出たのは、あの戦極が初めてだったんですよね。ゲートから出た瞬間、楽しいなって思ったんです。こんな大きなところで試合をして、自分が好きでやっていることを観てもらえるなんて楽しいなと思って。それから緊張しなくなりました。

それまでは試合のたびに緊張が激しかったんですよ。試合前はガッチガチで。でも、戦極に出てから切り替わりましたよね」

――その変化は、試合内容や結果に影響を及ぼしたりしましたか。

「その時は負けたし、以降も結果に影響を及ぼしたことはないけど、『自分は好きなことをしているんだな』って意識が、より強くなりました」

――なるほど。そういえば前回の試合では相手のヒジ打ちを受けて大流血となりましたが、もうその傷は目立たないですね。

「それどころか、試合直後に拭いたら傷がなくなっていました」

――えっ!?

「だから試合後も『縫わなくていいよ』と言われましたね(笑)。ホントに、拭いたら傷も消えたので、どこをカットしていたのかなって思うぐらいで」

――流血は激しかったのですが、それほど深いカットではなかったのですね。ほとんどX-MENのウォルヴァリンか、エターナルズのエイジャックですね(笑)。

「……、……。左の眉毛のあたりをカットしたんですけど、私がRNCを狙われた時にグッと力を入れたら血が溢れ出て……大沢ケンジさんからは、グレート・カブキ状態だって言われました」

――……すみません、その例えが全く分からないです。

「私も見たことがないので、よく分かりません(苦笑)。だから試合後は血が出ているところを拭いたら傷もなくなって、セコンドの津田(勝憲)が来て『あれ? 傷どこなの!?』みたいな感じで言われたんですよ」

――ということは、ストップされた瞬間も意識はハッキリしていたのですね。

「『なぜ止めたの?』って感じでした。タップもしていないし。すごい出血だったよって後から聞いたんですよね。確かに試合中は、目の前に血だまりがあるのは見えたんですけど、これで止められるほどではないよなと思っていて。今は不利な体勢だから体勢を変えよう、そう思ったところでストップされたんです」

――試合はストップされる4Rまで、ポイント上でも藤野選手が有利でした。ご自身としては、考えていたとおりの展開だったのでしょうか。

「いや、作戦ともセコンドの指示とも違っていました。4Rは……ポイントは取っているけど『このままじゃ試合がつまらないな』と。ただ押し込んでいるだけの展開だったから、一本を取るとか決着させたいと思っちゃったんですよね。しっかりと実力を見せたい──そういう欲が出てしまいました」

――その欲が試合展開に影響してしまったのですね。

「そう思います。焦って組みに行ったために、クラッチが外れて上を取られてしまったので」

――そこで欲を持ったことは自分にとってマイナスだったのでしょうか。それとも欲を持ち、実際に一本決着を目指したのは良かったと思いますか。

「うーん、どうだろうなぁ……。防衛戦だから、ベルトを守らなきゃいけなかったとは思います。ただ、つまらない試合を――結果、つまらない試合になってしまったんですけどね。でも、少しでも盛り上げたい。それはどの試合でも考えています。会場まで観に来てくれる人、PPVで観てくれている人がいる。そんななかで5R、ただ押し込んでいるだけの試合をしてもなぁとは思ってしまいましたよね」

――MMAに限らず格闘技というジャンルはずっと、その境目で戦い続けてきています。勝つことと、盛り上がることの境目で。個人的には、勝つための戦いが盛り上がることこそスポーツだと思いますが。

「ポイントを取るだけなら楽だったんですよ。3Rが終わった時点で、あの展開で私がポイントで勝っている。だからずっと同じように押し込んでいけば、勝てるじゃないですか」

――しかし、違う戦い方を選んだことでベルトを失ってしまいました。

「まず本来なら、セコンドの指示通り打撃から入るべきだったんですね。でも、自分は組みに逃げてしまった。組み急いでしまった。そこは自分の弱さが出てしまったと思います。組んでポイントを取って、ごまかそうとしていたわけで。

序盤でテイクダウンできちゃったから、私の中で『この展開で勝てる』と思いました。でも途中で欲を持って、結果は負け。どちらにしても自分が集中できていなかったし、セコンドの声を聞かずに暴走してしまったんです」

――……。

「打撃ではなく組みに行ったことは、自分にとっては逃げでしかなくて。組んだら勝てる――楽な道を選んでしまった。結局、私は自分に負けたんです」

<この項、続く

■視聴方法(予定)
2022年9月11日(日)
午後2時45分~ PANCRASE YouTube メンバーシップ
午後3時00分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE
午後3時00分~ U-NEXT

■ Pancrase329対戦カード

<暫定ライト級王座決定戦/5分5R>
松本光史(日本)
アキラ(日本)

<フライ級/5分3R>
上田将竜(日本)
鶴屋怜(日本)

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(日本)
宝珠山桃花(日本)

<ライト級/5分3R>
雑賀ヤン坊達也(日本)
松岡嵩志(日本)

<女子ストロー級/5分3R>
藤野恵実(日本)
ソン・ヘユン(韓国)

<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
平田丈二(日本)

<バンタム級/5分3R>
TSUNE(日本)
平岡将英(日本)

<ウェルター級/5分3R>
中村勇太(日本)
林源平(日本)

<ストロー級/5分3R>
宮澤雄大(日本)
若林耕平(韓国)

<ウェルター級/5分3R>
髙橋攻誠(日本)
押忍マン洸太(日本)

<フライ級/5分3R>
荻窪祐輔(日本)
萩原幸太郎(日本)

<女子アトム級/5分3R>
沙弥子(日本)
原田よき(日本)

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