【ADCC2022】オセアニア&アジア予選へ、今成柔術・秋山実─01─「技の説明で下ネタを入れてくる」
【写真】一般的に眉を顰められる行為も尊敬の対象。良い感じです(C)SHOJIRO KAMEIKE
19日(日・現地時間)、豪州ニューサウスウェールズ州スタンホープガーデンズのブラックタウン・レジャーセンター・スタンホープで『ADCC OCEANIA AND ASIAN TRIALS 2022』が開催される。その66キロ級に、日本の今成柔術から秋山実がエントリーした。
Text by Shojiro Kameike
秋山はこれまで国内のグラップリング大会で師匠譲りの足関節を極めてきた。さらに今成の試合やセミナーには常に同行しているという、今成の一番弟子といっても過言ではない存在のようだ。そんな秋山が、ここでADCCに挑戦することになった理由――そして弟子の口から語られる、今成柔術の真実とは?
――今回はMMAPLANET初登場ということで、キャリアの点からお聞きしていきたいのですが……まず本日が誕生日なのですか?(※取材は6月12日に行われた)。
「はい、そうなんです」
――お誕生日おめでとうございます!
「ありがとうございます(笑)。今日はよろしくお願いいたします」
――お幾つになられたのでしょうか。
「今日で42歳です」
――では、格闘技を始めたのは……。
「今成(正和)先生と知り合ったのは5~6年前です。その前にクラヴ・マガのスクールに通っていたのですが、そのスクールに週1でグラップリングの指導に来てくださっていて。当時、先生がご自分の道場を開くということで、そこに入会させていただきました」
――クラヴ・マガといえば、イスラエルの戦闘術ですよね。もちろん一般会員さん向けクラスもあったかと思いますが、クラヴ・マガを始めたキッカケを教えてください。
「始めたのは今成先生と知り合う1年前ぐらいですね。ダイエット目的でした。もともとは棒術――杖(じょう)を習っていたんです。戦うには素手よりも棒のほうが強いだろうと思って。杖って足のスタンスが、両足とも前に向いているのですが、それがクラヴ・マガも同じで。両足のつま先を相手に向ける形ですね。立ち方が同じなら入りやすいかなと考えて、クラヴ・マガを始めました」
――杖ということは、それまでも武術には興味があったのですね。
「やるのは大好きでした。『モンスターハンター』というゲームのように、武器を持ってモンスターと戦う発想に近くて。でも見るほうは、それほどでもなかったんです。周りのみんなと同じようにテレビぐらいで。そこから今はクラヴ・マガの指導員になっています」
――クラヴ・マガの指導員に! そこからグラップリングも始めるわけですね。
「クラヴ・マガのスクールで今成先生にグラップリングを習っていて、グラップリングにも興味を持ちました。それまで本物の格闘家に出会ったことがなかったんです。それが今成先生とスパーリングさせていただいたら、本当に強くて。格闘家ってこんなに強いのか! そう感じました。それで今成先生に『強くなるためには、どうしたらいいですか?』って聞くと、『毎日続ければいいんじゃないですか』と言われまして。で、ちょうど今成先生がジムを開くということで入会しました。今成柔術がオープンして、最初から在籍しています」
――なるほど。
「今成先生の、格闘家としての佇まいも大好きなんです。私はもともと細かいルールがあるものは苦手で。クラヴ・マガに入る前は、他の格闘技も探していましたが、ルールが細かくて……。でも今成先生は『相手が痛ければいいんです。折るか絞めるか、相手を痛めつけたら勝ちですから』と。すごくシンプルだ! そう思いました。もちろんグラップリングにもルールはあるんですけど、そのシンプルな考え方がカッコいいと思いました」
――現在やっているのはグラップリングのみですか。
「グラップリングだけですね。最初は道衣も着ていました。でも今成柔術が始まってから半年ぐらい経って、先生が道衣を脱いで練習し始めたんです。そこから誰も道衣を着なくなりましたね(笑)。試合もルールはありながら、取ったら勝ちで、取れなかったら負けという意識でやっています」
――This is 今成スタイルですね!
「先生と知り合ってから、過去の先生の試合映像も見尽くして。先生に習っていて、今もずっとグラップリングが楽しいです。先生のおかげで他のジムでも練習させていただくことができたり」
――一般会員としてアマチュア大会に出続けるのと、ADCC予選にエントリーするのは意識も変わってくると思います。今回ADCC予選にエントリーした理由は何だったのでしょうか。
「ちょうどタイミングで……先生がONEでマイキーと試合をした時(4月22日、シンガポールでマイキー・ムスメシと対戦して一本負け)に、セコンドとして一緒に行っていたんです。その時、JBJJFの全日本ノーギ選手権が開催されていて。先生が『秋山さん、この大会に出なかったんですね。次はオーストラリアでADCCの予選がありますよ』と」
――……。
「じゃあそれに出てみます、と。格闘技をやっていて、何か大会や結果を目指しているわけではないんです。何を目指しているかと聞かれたら、私は今成正和を目指しています」
――なるほど!
「先生の戦うスタイルもそうなんですが、人間として今成正和がカッコいいんですよ。人間としてどうありたいか――先生から直接アドバイスを受けるわけでもなく、先生を見ていて教えられることが、たくさんあって。先生の側にいさせてもらえることが、ありがたいです」
――たとえば、どのような姿に憧れるのでしょうか。
「技の説明で下ネタを入れてくるところとか(笑)」
――アハハハ、やはり指導でも入ってくるのですね。
「入ってきます! 朝の練習から一緒に卑猥な話をして、他の会員さんは我々の周りから離れていくという(笑)。まぁ……悪いと思うことが同じというか。フザける時はフザケる、やる時はやる。その感覚が同じなんですよ。ワイワイガヤガヤ楽しく練習しながら、取る時はビシッと取る。そういう今成柔術の練習と試合が大好きです」
<この項、続く>
■視聴方法(予定)
6月19日(日・日本時間)
午前8時00分~Flo Grappling