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【FIght&Life】ADCCオセアニア&アジア予選を制した岩本健汰「この戦いで勝つには、ここに特化しないと」

【写真】準々決勝のイーサン・リー、準決勝のジョセフ・チェンとの激闘を経て、決勝のシラジ・スーフィーを下して世界大会出場権を獲得した岩本(C)Huynh Nguyen

28日(火)に発売されるFight&Life#91に19日(日・現地時間)に豪州で開催されたADCCオセアニア&アジア予選77キロ級を制し、9月の世界大会出場を決めた岩本健汰のインタビューが掲載されている。

同記事に掲載しきれなかった日本の練習環境、スクランブルの大切さ、そしてMMAファイターとしての今後に関して岩本が話したことを──ここで、お届けしたい。


──日本国内では柔術の流れでグラップリングも徐々に浸透しているのですが、岩本選手のようにADCCに強く求められるレスリング、スクランブルの練習に力を入れているグラップラーはあまりピンとこないです。

「今のADCCだと柔術の道着無し、サドルの流れの足関節形の技術だけで勝つことは無理です。ADCCルールでは厳しいと思います」

──ただしADCCで勝っているのは柔術家ですよね。レスラーやMMAファイターが出て勝てるモノではなく。

「う~ん、柔術家でもレスリングがデキる人、際の攻防……スクランブルを制することができる柔術家が勝っています。テイクダウン云々でなく際で勝ち切ることが大切ですから。それには柔術に加えて、レスリング力がないと難しいです」

──そこがADCCのポイント制には欠かせないというわけですね。

「ADCCを目指すのでWNOなどのサブオンリーでも、レッスルアップからトップを取る選手が増えています。それまでサドルを取っていた選手たちでも。柔術でもその流れでリバーサルのポイントを取る選手もいます。そこにはレスリング力、レスリング力でスクランブルの能力を高める必要があって。

50/50の攻防でレスリングを使わずにスイープをすることだけを狙っていると、手詰まりになります。シングルレッグで起き上ることができる展開に50/50とかだと、結局のところ潰されて終わってしまうので」

──では現状、壁がある状態でMMAグラップリングをやってきた岩本選手ですが、今回の予選に向けて壁を使わない練習をしてきました。今後はMMAグラップリングのなかのレスリング力に収まるのか、ピュアレスリングを学んで高めることが必要なのか。どちらだと考えていますか。

「MMAだけのグラップリングをやっていても、これ以上は伸びないというは……今日、ジョゼフ・チェンと戦って思いました」

──そこまで究めないと勝てない。でも、そのルールで試合をするのは2年に2度……予選と世界大会のみ。少なくとも日本ではそうです。ADCCルールでなくてもグラップリングの試合は道着と比べても圧倒的にないという特殊な世界で。だから岩本選手もMMAに転じた部分は少なからずともあったかと思います。ただし、ここまでの世界の頂点を狙うのにパンチや蹴りを想定する練習をすることがプラスになるのでしょうか。

「う~ん……。この戦いで勝つには、ここに特化しないといけないというのは感じています。MMAと両立してやってこられた戦い方を今日はしました。でも、それだけでも手詰まり感が出てくるかと思いました。世界で勝つには、そこはチョット感じました。今日の試合を振り返ると……。グラップリングの試合がないからMMAを戦ったかと言うのは……難しいです」

──その一方でイリディアム・スポーツ・エージェンシーと契約したと聞いています。

「ハイ、そうッスね」

──そこはMMAファイターとしての将来を考えてのことかと思うのですが。

「現時点で契約はしたのですが、MMAファイターとしての今後に関して何か話し合いがもたれたとかっていうこともないんです。そうですね……今日の予選で負けていたら、MMAに専念したと思います。勝ったので、グラップリングで行けるかもしれないという気持ちにもなっています。

負けていたら、そうはなっていなかったのですが……今日はこのトーナメントで勝ったので、グラップリング熱が戻ってきたというか……。ADCC世界大会に出ることができるチャンスを手にしたので、そこはどうしていくか」

──ということは、今回は勝算がなくて出場したのでしょうか。

「勝つつもりで参加しました。そこは本当に勝つつもりでした。だから本当に嬉しいです」

──反面、練習環境という問題も出てくると。繰り返しになりますが、岩本選手のような練習をしているグラップラーはいないので。

「スクランブルの部分に関しては……僕みたいな練習をしている人はほとんどいないですし、そういう練習をする環境を見つけることが難しいです。う~ん、厳しいですね。皆で揃ってADCCに向かって練習するという環境がないので。9月の世界大会に向けて、このままの練習で1回戦を突破できるかは疑問です」

※予選トーナメントでタフだった準々決勝と準決勝の振り返り。世界大会に向けての練習環境、そして世界大会の展望を岩本健汰が語ったインタビューが掲載されたFight&Life#91は6月28日(火)に発売されます。

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