【WJJC2022】茶帯ルースター級。丹羽怜音&飛龍「色帯最後のムンジアル、勝ちを狙っていく」
【写真】新たなスポンサーも付いた二人。米国内での知名度も上がっている証左だ (C)NIWA BROS / HYPERFLY
2日(木・現地時間)から5日(日・同)にかけて、カリフォルニア州ロングビーチのウォルター・ピラミッドにて、IBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権が行われる。
Text by Satoshi Narita
黒帯で世界の頂点を獲るために色帯で最高の結果を残す――その意志を貫くために茶帯に留まったAOJ所属の丹羽兄弟。4月のパンナムでは弟・飛龍はライトフェザー級3位、兄・怜音は同ベスト8と、あと一歩が届かなかったが、積極参戦してきたオープントーナメントでは常に表彰台に絡み、経験値を着実に積み上げてきた。
今年、ライトフェザー級を主戦場としてきた怜音は階級を下げ、弟・飛龍とともに茶帯最軽量級の頂を目指す。色帯最後のビッグトーナメントを間近に控える中、二人に話を聞いた。
――Zoomでのインタビューとなりましたが、モニター越しで見ても怜音選手はかなり絞れているようですね。減量はどんなかたちで進めてきたのですか。
怜音 本格的に減量を始めたのは2月くらいからです。栄養士の人に付いてもらって、パンナムの減量と合わせて落としていった感じです。
――ライトフェザーから階級を落とそうと思ったのは?
怜音 去年のムンジアルが終わってから考え始めました。もともと黒帯になったらルースターに行くのも一つの手段かなとは考えていて、去年のムンジアルで負けて、もう一回茶帯で出ると決めた時、練習やテクニックを磨くのもそうですけど、やれることは全部やってムンジアルを絶対獲りたいと思ったので、ルースターに行こうと。
――その話を聞いて、飛龍選手はどう思いました?
飛龍 最初に「行こうか迷っている」と聞いた時は、ライトフェザーでも勝てる実力があるので、賛成って感じではなかったです。ただ、去年は二人とも優勝した選手に僅差で負けて(怜音はライトフェザー級3位、飛龍はルースター級準優勝)、色帯でムンジアルを獲らないまま黒帯になりたくなかったし、今年は最後のチャンスになると思うので。より確実に獲れるならルースターに行ったほうがいいと思って、サポートするようになりました。
――サポートとは?
飛龍 例えば、試合前になると減量のために有酸素をやらないといけないので、スパー相手がいない時は僕ができるだけやったり。そういう感じですね。
――昨年のムンジアル後のインタビューでは「ムンジアルで勝つために、小さな大会にたくさん出て経験を積みたい」と話していました。その言葉通り、今年1 月のオースチン・ウインターオープンを皮切りに、米国各地の大会にコンスタントに参戦していましたね。
怜音 オープントーナメントにはけっこう出ましたね。パンナムの後もサンディエゴオープンに出ましたし(ライトフェザー級でクローズアウト)。
――今時点で、そうした取り組みから何か得られたと感じるものはありますか。
怜音 今はオープントーナメントのレベルも上がっていて、パンナムやムンジアルで結果を残している選手もたくさん出ているので、そういう選手と試合することで、勝っても負けても自分たちの良い経験になっているとは思っています。
飛龍 単純にオープントーナメントに出るのが楽しかったです。ムンジアルとパンナムはプレッシャーが強いというか、「絶対に今年こそは」と思って今まで負けてきてしまったので。でも、ムンジアルが自分のすべてを出す集大成だとすれば、オープントーナメントは「気軽」というわけじゃないですけど、新しいことを試したり、いろんな実験ができるので、楽しいんですよね。ムンジアルは「試す」とかはなくて、これまでやってきたことの中から「一番勝てること」をやるだけなので。
――可能性を広げられるような経験を積む一方で、練習環境の変化もあったと思います。特にこのひと月は、タリソン・ソアレスがAOJを拠点にするようになりました。
飛龍 コンプクラスでタリソンと同じグループだったので、めっちゃ練習しましたね。黒帯のトップでやっていく自信を強くしました。僕は、今年のムンジアルはタリソンが獲る可能性が高いと思っているし、来年もし自分たちが黒帯になってムンジアルに出たら、一年目で優勝できる自信が付きました。
怜音 僕はルースターに下げるとみんなに知らせたのが最近だったので、体重で分けるコンプクラスではライトフェザーやフェザーの選手と練習することが多かったんですけど、ファンダメンタルクラスでは自由にスパーできました。現役の軽量級で黒帯トップの選手と練習したのは初めてだったので、未知の部分もあったけれど、新鮮な経験でした。
飛龍 彼が来て5週間くらい経つんですけど、すごく成長したと感じます。僕もタリソンの成長を感じたし、向こうも僕の成長を感じていると思います。
――今年のムンジアル、茶帯ルースター級トーナメントは大会初日です。2人は別の山に分かれました。
怜音 エントリーリストで大体の選手はリサーチして、ランキングポイントを取っている選手がトーナメントのどの位置に行くかは予想できたし、その通りのブラケットが出たので。僕の山には今年のヨーロピアン、パン、ブラジレイロを獲った選手(シャイ・アナンダ/ECJJA)がいますけど、彼の対策もずっとしてきました。
飛龍 僕はムンジアルで一度対戦して勝っているし(※2019年ムンジアル紫帯ルースター級準々決勝)、怜音も必ず勝ち上がってくれると思うので、お互いに「反対ブロックは任せたぞ」って感じですね。色帯では最後のチャンスになりますから、勝ちを狙っていきます。