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【ONE157】既に心身&技術ともにMMAファイター? ワンダーガール「ダブルレッグから一本勝ちするかも」

【写真】ここまでMMA転向が本気だったこと、そして英語が流暢だったことにも驚かされた──まさにワンダーガールだ (C)MMAPLANET

20日(金・現地時間)、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE157。

同大会でワンダーガール・ジャルンサックムエタイがMMAデビュー戦でゼバ・バーノと対戦する。父からムエタイの教えを受けたワンダーガールは、実は4年も前からMMA転向を決意し、ブラジリアン柔術の練習を続けてきたという。

それでいてムエタイを代表してMMAを戦いたいというワンダーガールだが──、インタビューをしていると既にMMAファイター・マインドになっていることが理解でき、さらに彼女のMMA初陣が楽しみになってきた。


――今週金曜日にゼバ・バーノと対戦するワンダーガールです(※取材は5月16日に行われた)。プロMMAデビュー戦になりますが、今の気落ちを教えてください。

「凄く楽しみね。ONEで戦い始めた時から、この日が来るのを夢見てきたから。ついにONEが私とMMAを戦う契約も結んでくれて、そしてMMAを戦えることができて本当にハッピーよ。

4年前にアマチュアの試合に出たことはあるけど、あの時はまだMMAを理解していなかった。グラップリングはノーギの練習しかしたことはなかったし」

――柔術やノーギの試合に出ていたことは今回のMMAデビュー前に知ったのですが、アマMMAを既に戦っていたのですね。

「えぇ4試合戦って3勝1敗よ。最初の試合と3試合目は一本勝ちし、2試合目はKO勝ち。でも最後の試合はパウンドでカットしてTKO負けだったの」

──お父さんの経営するムエタイ・ジムでムエタイファイターとして育ったワンダーガールですが、なぜMMAを戦おうと思ったのですか。

「実際、MMAのことは余りしらなかったわ。ただ私のキャリアを前に進めたかったの。タイの女子ムエタイは人気も低迷し、試合機会も少なくなっていき多くの選手が引退を余儀なくされていたわ。私はファイターとしてキャリアを続けたいと思っていて、そんな時にMMAは女子でも凄く可能性があるように感じて。私にはムエタイという武器があるし、そこに他の格闘技の技術を加えると、MMAファイターとしてやっていけると思って。

でもアマチュアの試合に出た時と、今の私は全く違う人間よ。あのときは私のポジショニングもサブミッションも全然ダメで。バックを取ってからの攻めと、バックを取られたらどう逃げるかしか練習していなかった。だからブラジリアン柔術のトーナメントに出て、MMAで使える技術を習得することにしたの。で、柔術の練習を初めてみたら凄く楽しくて。技術的にも納得できることが多くて、私のムエタイと組み合わせることができればMMAで凄く効果的な動きができるだろうって考えると凄く興味深くて」

──いやぁ、そこまで本格的にMMAファイターとして活動していこうとしているとは、思ってもいなかったです。

「私がフェアテックスジムで練習している時に、ミスター・チャトリがジムに視察にやってきて、彼はまだ私がMMAで戦える準備は整っていないと判断したから、ムエタイファイターとしてONEと契約させたの。とにかく私としてはONEというビッグショーで戦える機会を得られて良かったわ」

──ムエタイはお父さんの指導を受けていました。フェアテックスへ移籍したこと自体、MMAファイターになるためだったのでしょうか。

「その通りよ。だから家を離れることにしたの。ムエタイだったら家で、父の指導を受ければ良いから(笑)。MMAファイターになるという夢を実現させるためには、私はどこだって行くわ。パタヤでは全ての道着クラスに出ていた。それまでノーギの経験しかなくて、白帯も良いところだったから」

──そのフェアテックスも離れ、今はザンボアンガ兄妹やジェレミー・ミアドが所属してるマロック・フォースで練習しています。

「良いコーチが揃っているし、家から近いのがやっぱり大きくて。毎週末、実家に戻ることができて。本当にそこが一番ね」

──元チームメイトのスタンプの成長は凄まじいものがあります。でも、ワンダーガールもムエタイ選手がMMAにトライするのではなくて、既にMMAファイターだと思って良いですか。

「アハハハ。そうね。スタンプは私にとってロールモデルよ。彼女は私と同じようにムエタイのローカルショーからキャリアをスタートさせ、アマチュアMMAを戦いONE WARRIOR SERIESで戦った。そしてキックとムエタイの世界王者になり、MMAでもアトム級GPで優勝した。

彼女と比較されるようになるには、私はもっともっと練習しないといけない。私がフェアテックスに移籍した時、スタンプももうほとんど青帯を巻く直前だった。彼女は青帯になってから初めてONEでMMAを戦ったの。今のスタンプはパタヤで初めて会った時とは全く別人のようにMMAが強くなっているわ。私は彼女の背中を追っているの。去年の2月に青帯になったし、MMAを戦う準備はできているわ。

だからMMAにフォーカスしようと思っているけど、ムエタイの契約も3試合残っているからONEが望めばムエタイも戦うし、世界王座も諦めていないわ。でも、MMAにフォーカスして戦っていこうと思っているの。それでも負けっぱなしって嫌だから、ジャッキー・ブンタンにはリベンジしたい」

──なるほどぉ。しかし、ONEのムエタイで試合をしながら、ずっとブラジリアン柔術の練習をしていたとは驚きです。

「フフフフ。もちろんムエタイの試合があるときは、ムエタイの練習に集中していたわ。でも参加はしなかったけど、柔術の感を鈍らせたくなくてクラスは毎回見学するようにしていたの。ロールをしなくても、勉強になるから」

──素晴らしい姿勢ですね。

「ありがとう。ムエタイの試合が終わると、まっすぐMMAのクラスに戻っていたわ(笑)。MMAを戦えるようになるまで、時間を一切無駄にしたくなかったから。どんな時だってMMAファイターとして技を磨いておきたかったの」

──ムエタイはムエタイ、柔術は柔術、MMAはMMAです。ムエタイの技が使え、柔術の動きが有効でも。ワンダーガールはピュア柔術では、何が得意技なのでしょうか。

「そうね……バックをとってRNCかしら」

──ではプロMMA初戦ではムエタイの技、柔術の技、どちらで勝負したいですか。

「MMAでは全てを見せたい。サブミッションもパウンドも。ただ、私はムエタイを代表してMMAを戦う。ムエタイは私のルーツだし、ムエタイの技術で勝負したい。でも、どうなるか、試合が始まってみないとね(笑)」

──妹のスーパーガールもMMA転向を考えているのでしょうか。

「彼女はMMAを戦わないと思う。2度、アマチュアMMAを経験しているけど、特に興味を持っているようでもなかったし。あの子はムエタイかキックボクシングだけ戦っていきたいみたいね」

──今回、ワンダーガールのインタビューをさせてもらって、よりデビュー戦が楽しみになりました。

「とにかくベストを尽くすわ。ムエタイを代表して、ムエタイで勝ちたい。でもダブルレッグから一本勝ちするかもしれないわ(笑)」

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