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【HEAT50】イゴール・タナベと対戦、桜井隆多─01─「何歳になっても落ち着くつもりはない」

【写真】 もともとが言葉が少なく、朴訥とした雰囲気の桜井だったが……(C)SHOJIRO KAMEIKE

7日(土)、名古屋市熱田区の名古屋国際会議場で開催されるHEAT50で、桜井隆多がイゴール・タナベと対戦する。

MMAキャリア25年の桜井にとっては、これがHEAT初参戦となる。昨年6月にGRACHANで長岡弘樹に敗れ、GRAND王座を失った桜井にとっては復帰戦ともなるが、その対戦相手がMMA2戦目のイゴールに決定した。4月12日(火)に行われた記者会見では、イゴールは「(桜井には)すぐに勝ちます」と発言、それを受けた桜井の心境は――。


――これだけ長いキャリアの中で、桜井選手にとってHEATは初参戦となります。

「そうですね。初めて出るプロモーションですけど、オファーを頂けるところであれば、どこでも断る理由はないので」

――そのHEATから、イゴール戦のオファーが来た時は、どのように感じましたか。

「最初は名前を聞いても、ピンと来ませんでした(苦笑)。でも柔術メンバーに聞いたら、みんな知っていて。僕が柔術家については疎かったので……。強い選手ですし、気を抜いたら自分がやられちゃいますね」

――気を抜いたら自分がやられる。それはMMAの試合映像をご覧になっての印象ですか? それとも柔術やグラップリングの映像を見ての印象でしょうか。

「MMAの試合は見ました。でもまだ1試合だけで、参考になるような内容でもなかったんですよね。あとは柔術の試合は見ているんですが、柔術でも道着のラペラを持って動いていて、MMAではないので参考にならないなと(笑)。

あとは実際に肌を合わせてみて、どう感じるかですね。相手もまだMMAの経験が少ないけど、相手の土俵である寝技になったら、僕がやられてしまうと思うので。そう考えると、僕としては普通にMMAとして組み立てて戦うのが一番じゃないですかね」

――確かに、イゴール選手のMMAについては分からない部分がありますよね。現状でガッチリとMMAに適応できるのか、あるいはまだ経験が足りないのか。

「イゴール君も、そういうことを知りたいために僕を選んでくれたのかもしれないですね。主催者としても、彼はまだ若いし、どれくらいのレベルにあるのかを見せる場にしているのか。記者会見(4月12日、東京で記者会見が行われた)でも、記者さんに質問されるのはイゴール君ばかりで。あとは僕が頑張れば試合は沸くかなっていうぐらいの話しかできませんでした」

――桜井選手は1996年にプロデビューし、次の試合が60戦目となります。そこでMMA2戦目のイゴール選手との対戦で、かつ相手のほうに話題が集中することに関して、憤りはないですか。

「いやぁ、もう年が年ですからね。常に対戦相手は若い選手になりますし。イゴール君も自分に勝ってRIZIN出場を考えているとは聞いています。そういう若い選手と対戦するのは、ワクワクしていますよ。

ただ、会見では僕のことをチャチャッと極めるとか言っていて。彼は次の柔術の試合が決まっているらしいんですよ(イゴールは世界柔術の出場権を得るために、米国で柔術のトーナメントに出場する)。

僕に勝って、すぐ次の試合に気持ちを切り替える。そんな話を聞いた時は、ちょっとMMAを舐めているのかなとは感じました。MMAの怖さみたいなものを知ってもらいたいですね」

――それは……憤りがあるのですよね(笑)。

「アハハハ。MMAに関しては僕のほうが経験もあるけど、彼のような若い力をどれだけ止められるのか。自分にどれだけの力があるのかを見たい、そういう気持ちのほうが強いです。自分もベテランではありますけど、フレッシュな気持ちでいます。だからマイナスな面よりも、プラスに考えていますよ」

――イゴール選手の発言にカチンとくることもないのですか。

「これは僕の性格的なものなんでしょうけど、自分がまだ何者でもないようなところがあるんですよね」

――というと?

「結果的に、格闘技を長く続けることができているというだけで。周りから見るとベルトを獲ったり、いろんな大会に出たりという部分を評価してくれているとは思うんですけど。イゴール君の発言については、ムカつくというよりも、若手だったらそれぐらい言うのは当たり前だし。それぐらいのほうが良いのかな、とは思います。

まぁ……確かに近くで聞いた時は、僕のことをリスペクトしてはいないだろうなとは感じましたけど(笑)。『見ていろよ』という気持ちは強くなりました。自分も、何歳になっても落ち着くつもりはないです。自分自身でも、そう感じることで『俺もまだ牙を磨いていられる』という発見もありましたね」

――そういえば桜井選手のトラッシュトークは、記憶がないですね。

「確かに……別に嫌いな選手はいないですから。ファイターとしては相手を倒さないといけないというモードには入ります。ただ、あまりトラッシュトークのようなことはしたことがないんですよね。僕がこういう性格だから、自分でそう感じていないのかもしれないですけど」

――桜井選手のほうが落ち着いてイゴール選手の発言を聞いていても、桜井選手を慕う周囲のほうが憤りを感じていそうですね。『ウチの大将に何を言っているんだ!』とか。

「はい、何人かは連絡が来ました(笑)」

――えっ、本当にあったのですか!

「ちょっと、こう、あの……頑張ってください──みたいな感じです。簡単に言うと」

<この項、続く>

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