【Shooto2022#05】常に怪物化は可能か──岡田遼に挑戦、安藤達也「俯瞰できるように」
【写真】後半ではMMAを舐めていた時の話が存分に……(C)SHOJIRO KAMEIKE
21日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催される『プロフェッショナル修斗公式戦2022 Vol.2』で、岡田遼の持つ修斗世界バンタム級王座に、ランキング1位の安藤達也が挑む。
Text by Shojiro Kameike
安藤といえば、ここ数年の国内MMAの中で、最も将来を嘱望されたファイターの1人だった。しかし2015年のRoad to UFC以降、フェザー級からバンタム級に落としてからは、プロデビュー当時の輝きを失ってしまった――誰もがそう思ったに違いない。
本人もその理由は分かっており、反省もしている。そしてファイターならば、それは試合で証明していくしかないことも分かっている。だからこそ、2019年9月に対戦しドローに終わった岡田遼と、今度こそ決着をつけなければいけない。自身の格闘技人生を左右するであろう大勝負を前に、安藤が岡田戦への想いを語ってくれた。
――試合を5日後に控えてのインタビューとなります(※取材は3月16日に行われた)。前回の環太平洋王座の防衛戦前には、米国のアルファメールで練習していた安藤選手ですが、国内ではどのような環境で練習しているのでしょうか。
「今までと変わらず、さすらいスタイルで毎日違う場所に行かせてもらっています。週によって違うんですけど、ロータス世田谷、KRAZY BEE、CUTEジム、トライエイチ、それとTRIBEとかですね」
――古巣であるTRIBEでも練習しているのですか。
「最近だと、2週間ぐらい前に行かせてもらいました。石井君(石井逸人、TRIBE所属)との試合が決まる前も、何度か行かせてもらっていたんです。良い練習が行われているなって、改めて感じます。僕がいた頃から、若い選手が育ってきていて、今すごく良い雰囲気だなって思いました」
――その石井戦ですが、試合後には手応えを感じたようなコメントもありました。
「でも、やっぱり課題はありましたよ。試合を見返すと、ここは良くないなぁとかって。勝った試合でも負けた試合でも、そういう課題はあると思うんですけどね。あの時は米国で練習していて、練習の質は高かったと思います。ただ、今は日本で、しっかり量はこなしてきているので」
――試合5日前ということは、今は減量のピークなのでしょうか。
「そうですね。今は試合をするたびにコンディションも、体重の落ち方も良くなっていると思います。最近、初めてバンタム級へ落とした佐藤将光戦(2015年9月、判定負け)を見返したんですけど、本当にダメでしたね。
でも、そこから自分が進化していることを再確認したし、今もここが変わっていないな、ここを変えるべきだなっていうのも俯瞰できました」
――フェザー級とバンタム級では、それだけ減量が大きく違いましたか。
「その違いは、すごく大きかったです。僕って高校生の時から、レスリングも66キロでやっていたんですよ。普段の体重は72、73キロぐらいで。高校生の時にレスリングを教わっていた恩師から言われたのは、あまり減量しすぎるのは、将来的なことを考えたら良くないと。それで高校から大学までずっと同じ階級で、MMAでもプロ3戦目まではフェザー級でやっていたんです」
――安藤選手はフェザー級でプロデビューし、Road to UFCを経てバンタム級に転向しました。バンタム級に落とした理由は……。
「国内で一番層が厚かったのがバンタム級でしたからね。それと修斗に出る時、『将来的に世界を目指すならフェザー級よりもバンタム級のほうが良いんじゃないか』っていう話になったんです。Road to UFCで、フェザー級では僕が小さく見えたんじゃないですか?
大尊(伸光)君、ウィッキー(聡生)さん、長倉(立尚)さんとかに比べたら。ただ、バンタム級に落とした頃はTRIBEにいて、格闘技人生の中で一番練習していた時期だったんです。だから、もちろん体力はありました。でも12キロも落として、かつ戦えるコンディションを作るっていうことは、すごく苦労しました。減量の知識もなくて……。石橋さんとの試合(2016年7月、RNCで一本負け)の時は計量オーバーで」
――そこまで減量が厳しいと、フェザー級に戻そうとは思わなかったのですか。
「フェザー級の時の体と比べたら、筋量とか筋肉とか落ちましたよね。でも、何て言うんだろうな……自分で決めたことじゃないですか。だから、あの時の選択は間違っていなかった――そう思えるようなキャリアを歩んでいきたいんです。石橋戦後から、自分自身で減量やコンディションの作り方を考えるようになって、今はだいぶ良くなってきていますね。もっと良い方法もあると思うし」
――結果、石橋戦後から5連勝を収めています。
「ケビン・クルームに勝ってから(2016年11月、RNCで一本勝ち)ですよね。そのころから、これはやったほうが良い、これが良くないというのが分かってきて。やっぱり軽量級はスピードとスタミナが大事だと思うんで。特にスタミナは、どれだけ普段から自分のコンディションに気をつけているかが重要で、それが今後の課題です」
<この項、続く>