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【Bu et Sports de combat】武術で勝つ。型の分解、ナイファンチン編(06)「手刀、刀の理合いと組手」

【写真】刀でナイファンチンの型の手刀の理を知り、ナイファンチンの型で起こる状態を知る。決して、MMAで手刀を使うというわけではない (C)MMAPLANET

武術でMMAを勝つ。空手でMMAに勝利する──型を重視する剛毅會の武術空手だが、岩﨑達也宗師は「型を使って戦うということではない」と断言する。型稽古とは自身の状態を知り、相手との関係を知るために欠かせない。

サンチン、ナイファンチン、セイサン、パッサイ、クーサンクーの型稽古を行う剛毅會では、まずサンチンから指導する。そんな剛毅會の稽古には站椿が採り入れられている。

全ての根幹となる武術の呼吸を学ぶことができる──サンチンで創られた、空手の体をいかに使うのか。その第一歩となるナイファンチンの解析を行いたい。目線と体の向き、足の小指が正しくなることでナイファンチン立ちが成り立つ。前回はナイファンチンの型の動きに基づく「二挙動の手刀受け→ヒジ当て」の手刀受けを分解した。

「二挙動の手刀受け→ヒジ当て」の手刀受け、刀の理合いに通して──さらに理解を深めたい。

<ナイファンチン第5回はコチラから>


斬られないためには


下がるときに刀を抜く


(03) 結果、入る状態になっており自分の間で斬ることができる。「ただしタイミングで抜刀すると斬られることがあります。あくまでも先をとれている、間を制しているなどの条件が絶対になります」(岩﨑)


(04) この時の胸、爪先、頭の向きがナイファンチンの型の手刀受けと同じ状態にある

「車の運転の例えを続けますと、刀を抜く前からエンジンが掛かっています。あとは抜くだけという状態にあると、相手は既に刀を振り上げづらい状況になっています」(岩﨑)。この刀の理合い=理(ことわり)を手刀受けに応用すると

相手の突きに対し


下がり始めた時には手刀も出ており


そのまま下がりながら、手刀を伸ばし


下がった時には、間を制している状態になる。結果、相手は前に出ることができなくなり、左ハイや左の追い突きも相手は出せなくなる

組手へ応用

半身の構えでは


左ハイが伸びてくる


同様に右クロスが見えづらい傾向がある


胸は正面でなくても──顔の位置をナイファンチンの型に合わせると


互いの位置は同じでも、左ハイを届かなくなり


右クロスも当たらないという状態が起こる


この状態を知るために、ナイファンチンの型の手刀がスケールとなる

「現代空手の移動稽古で、前に出た足が地面に着いてから『突く』という動きが多いですが、武術空手では足が着くと同時に『突く』。それが私の先生の教えです。つまり、突き自体が踏み込む連動の結果として存在している。突き自体の状態が問われるのではなく、大切なのはその前、そしてその後です。全ては連動ですね。車のタイヤが回って前進するのは前輪と後輪、4つのタイヤが連動しているからです。足を着けてから、突くのでは一度ブレーキがかかるようなもので武術では、そういう動きは好ましくないです」(岩﨑)

この連動ができて、「二挙動の手刀受け→ヒジ当て」のヒジ当てへと移行するが、中心を取ることができて正しいヒジ当てが可能になるという大前提が存在する。

「踏み込むことで、重心が踏み込んだ足に移動したり、反動で逆に動くということは中心がとれなくなり、間を制することはできないです。大切なことは中心で入るということ。そうすることで相手の動きを制します。間を取り、中心を取ることができないと、相手も攻撃を出せる状態になっています」(岩﨑)

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