【RIZIN TRIGGER01】グラント・ボグダノフ「サトシがエベレストで、僕は小さい丘」、「イゴール、素敵」
【写真】試合後の会見直後、単独インタビューに応じてくれたボグダノフ(C)SHOJIRO KAMEIKE
28日(日)、神戸市中央区のワールド記念ホールで開催されたRIZIN TRIGGER01で、グラント・ボグダノフが奥田啓介から秒殺勝利を挙げた。
Text by Shojiro Kameike
米国出身のグラントは、幼少より柔道を学び、レスリングと柔術も経験後に来日。日本では柔術、グラップリングの分野で活躍してきた。今年の6月にMMAに初出場、DEEPで田中一矢をRNCで下している。今回、MMA2戦目を勝利で飾ったボグダノフは、試合後にホベルト・サトシ・ソウザ戦を要求――その真意とは?
さらに当日の早朝にPolarisで勝利した練習仲間のイゴール・タナベについて聞くとテンションが爆上がりしたボグダノフ、試合直後のインタビューをお届けしたい。
――今日の奥田戦は、グラント選手にとってハードな内容でしたか? それとも考えていたより、うまくいった試合だったのでしょうか。
「両方です。試合時間は短かったけど、それだけじゃないですからね。一般の人が見ると、1Rだけ戦ってファイトマネーをもらって帰るという感じかもしれないですけど、この試合のために何カ月も費やしてきましたから。減量もあるし、ファイトキャンプもあるし――だからハードでありつつ、良い結果を出せたと思います」
――今回の試合がMMA2戦目となります。もうMMAには慣れてきましたか。
「いや、まだ経験が浅くて、決してMMAには慣れていないです。2戦目でRIZIN TRIGGERに出るというのは、結構ハードルが高かった。でも今回、そのハードルを乗り越えることができて良かったです」
――グラント選手は日本で、柔術やグラップリングの試合に出場しました。なぜ今、MMAを戦おうと思ったのでしょうか。
「周囲の人たちの影響ですね。僕の人生における一番の目標は、自分のジムを持つことでした」
――自分のジム=ALMA FIGHT GYM LIFEですね。
「はい、今は自分のジムに集中しています。でもMMAをやっている現役選手の友達がたくさんいて、その人たちの影響はあります。僕は100パーセントのMMAファイターではない。でも、MMAを戦う時は真剣に、常に進化することを目指しています」
――日本時間では今日の早朝、英国で行われたPolarisで練習仲間のイゴール・タナベ選手が……。
「そう! イゴール、素敵!!」
――いきなりテンションが上がりましたね。Polarisでイゴール・タナベ選手が、トミー・ランガカーに一本勝ちした試合はご覧になりましたか。
「試合は寝ていた時間だったので、あとでまずフィニッシュだけ見ました。あの舞台で、あの相手に一本勝ちしたイゴールは、もうスターパワーが100倍! 彼は世界に行きます。もちろん今回の試合前から世界的な選手だったけど、今後はもっとね。
そしてイゴールだけじゃない。日本には軽量級だけでなく重量級にも一本勝ちできる選手がいる――ポラリスがそう思ってくれたら、僕や他の選手も海外で戦えるチャンスが増えるんじゃないかな。だから、イゴールにはすごく感謝しています」
――イゴール選手の勝利はグラント選手にとって、今日の試合に向けて力を与えてくれましたか。
「もちろん! イゴールが見事に一本を取ったから、僕も絶対にやらないといけない。そう思いました」
――なるほど。グラント選手ご自身は今後、MMAを中心に戦っていくのでしょうか。
「まずはブラジリアン柔術を世界に紹介したいです。もちろん今までも、ブラジリアン柔術は何度も紹介されています。ミノタウロ、ボンサイ柔術、グレイシー一族――彼らの功績は凄いです。でも今は、ボンサイ柔術に波が来ています。だけどボンサイ以外の柔術もあるよって、みんなに見せたい。だから今日、僕とサトシとの試合はどうですか、って」
――試合直後、ケージの中ではMMAでの対戦は否定していました。また、会見では柔術のエキシビションとしてサトシ選手と対戦したいと仰っていましたが……。
「エキシビションといっても、柔術のワンマッチですね。道着を着て、ガチで柔術の試合をやりたいです。エキシビションと言ったのは、MMAの大会でも青木真也さんとヒョードルのエキシビションがあったり、サトシ×5人チームとかあったじゃないですか。そういう感じで――でも真剣勝負で柔術の試合をやりたいです」
――普段はサトシ選手らボンサイ柔術と交流はあるのですか。
「僕に黒帯をくれたレアンドロ・クサノ先生は、クレベルやマルコス先生、サトシ先生と仲良しですね。僕はクレベルと挨拶を交わしたことがあるぐらいで、あまり知らないです」
――MMAイベントの中でサトシと柔術マッチを行う。今グラント選手がMMAをやっているのは、ご自身の柔術を広めるためということですか。
「そうです。僕は柔術家であり、ジムの経営者です。MMAをやりつつ、ジムで柔術やグラップリングの選手を育てたい。あと、2年ぐらい付き合っている彼女がいるんですけど、そろそろ結婚して家族を持つことも考えています。いろいろ忙しいけど、楽しい人生を過ごしています」
――ジムの経営者として、今後やりたいことはありますか。
「ジムを大きくしたいですね。ジムの会員さんや生徒たちの成長を見ると、今までの人生では無かった満足感があります。会社でボーナスをもらっても、その嬉しさは1日で消えるでしょう。だけど、みんなの成長は日々見えるものだから」
――分かりました。サトシ選手との柔術マッチが実現したら……自信のほどはいかがですか。
「もちろん自信満々です! 負けると思って試合する選手はいませんよ。実績でいえば、サトシがエベレストで、僕は小さい丘。だけど僕は体格で上回っているし、レスリングのスキルも普通の柔術家とは違うから、面白い試合になると思います。そして、勝つ自信もあります」