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【WNO12】ワキの下でなく、首の窪みを使う足関=マイキーロックで、ムスメシがバンタム級王者に

【写真】普段の練習の足のコントロールから、極め技を創造する。素晴らし過ぎる(C)CLAYTON JONES/FLOGRAPPLING

20日(水・現地時間)、テキサス州オースチンでWNO12「Return of Gordon Ryan」が開催された。サブオンリー・グラップリング最高峰のプロイベントに君臨するWho’s Number Oneでは9月に5階級の王座決定戦を行った。その後も2021年グラップリング界の頂点を決めるトーナメントでチャンピオンが誕生した以外の階級でも、ワンマッチの王座決定戦が男女で組まれている。
Text by Isamu Horiuchi

ここではライト級トーナメントでまさかの初戦敗退を喫したマキシー・ムスメシが、コンバット柔術バンタム級ワールドを制したリチャード・アラルコンと戦ったWNOバンタム級王座決定戦の模様をお届けしたい。


<WNOバンタム級王座決定戦/15分1R>
マイキー・ムスメシ(米国)
Def.0分56秒 by マイキーロック
リチャード・アラルコン(米国)

試合後すぐに寝転んだムスメシに対し、アラルコンは左右に動きながらその足を捌きにかかる。ムスメシはアラルコンの右手首を両手でキャッチし、クローズドガードに引きずり込むことに成功した。

ムスメシは、やることは決まっているとばかりにすぐにアラルコンの右足を内側から抱えて横回転し、50/50を作る。そこからアラルコンの左足を伸ばして捕獲したムスメシは、自ら頭をマットにつけるような格好をとりながら、アラルコンの左足のカカトと爪先を両手で掴んで捻りあげると、アラルコンはすぐにタップ。

僅か56秒、先月のトーナメントのまさかの敗戦から1カ月、ムスメシが新たな足関節技とともに見事な復活を果たした。

ベルトを得て放送席にやってきたムスメシは、「試合前に予告していたミステリーサブミッションは、これだったのかい?」との司会者の質問に対し「そうさ! マイキーロックっていうんだ。通常のヒールフックのようにアームピット(ワキの下)を用いるんじゃなく、ネックピット(首の窪み)を使って極めるんだよ。(ヒールフックと)インサイドトーホルドとのハイブリッドみたいな技で、足首にもヒザにもプレッシャーがかかるんだ。練習ではもういつもこれで極めているんだよ」と新必殺技について説明した。

さらにムスメシは「僕は6週間前にコロナにかかってしまい、その後も予後の後遺症に悩まされていて筋肉、腕、足がまだ通常の状態に戻ってはいないんだ。前の試合から2週間はベッドの中で全く動けない状態だったんだよ。それでも今回2週間前に練習を開始したんだ」と状況を説明。

さらに控室でのインタビューでは、体調が悪くなったのは先月のWNOの1週間前からだと述べており、トーナメント敗戦と無関係ではないという見方と、それで出場したのかという疑問も残るカミングアウトだった……。

続いてマイキーロックについて尋ねられると「カウンターがさんざん発達しているヒールフックと違い、現在この技のカウンターは存在しない。だからグラップリング界に革命を起こす技となるはずだ。今日は単にお披露目したにすぎないよ。練習中、相手の足をコントロールするために自分の首を使っていた時、ここからサブミッションができるぞと思い至ったんだ。僕が今まで学んだ中でもっとも強力なサブミッションだ。そして僕が引退してからもみんなこの技を使い続けるだろうね。そんな技の創設者となれて光栄さ!」とコメントしたマイキー。

今回から所属をデイジー・フレッシュことペディゴ・サブミッション・ファイティングに代えたことで、自分と同じテンションで毎日練習に没頭する仲間に囲まれて最高だとも述べた。やはりこの選手からは、今後も目が離せない──

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