【WNO Championships】レポート─07─ハイサム、初戦で足関の餌食に。ヘビー級準々決勝~準決勝
【写真】カイナンの代名詞となりつつあるクローバーリーフ (C)MIKE CALIMBAS/FLOGRAPPLING
9月25&26日(土&日・現地時間)にテキサス州オースチンのパーマー・イベンツセンターで開催されたWho’s Number One Championships。ライト級、ミドル級とヘビー級、女子はストロー級及びヘビー級で賞金3万ドルとチャンピオンベルトを賭けた2days 8人制トーナメント──は2021年グラップリング界の最大のイベントとなった。
Text by Isamu Horiuchi
レビュー第7回はヘビー級の準決勝までのトーナメント進捗状況をまとめてお伝えしたい。
1回戦、日本のファン及び関係者の期待を集めたハイサム・リダはティム・スプリッグスと対戦。前半、懐の深さを活かしたスタンドの攻防で渡り合ったものの、強固なレスリングベースを持つスプリッグスを倒すのは難しいと見たか、やがて引き込んで下からの戦いを選択した。
長い足を絡めての仕掛けを試みるハイサムだが、相手はディフェンシブ・トップゲームの強さでノーギ・ワールズを制したスプリッグスだ。なかなか崩せないまま時間が過ぎてゆく。
終盤、横回転して50/50を作ってみせたハイサムに対し、これを予期していたかのようにスプリッグスは、50/50を解除すると、なんと左足を抱えて倒れ込みながらの内ヒール。
決してトップを譲らないはずのスプリッグスが、残り1分のところで足関節を仕掛け、ハイサムからタップを奪い準決勝進出を決めた。ハイサムは世界的強豪のスプリッグス相手にテイクダウンもパスも許さず、堂々と渡り合ったが、最後は強化していた足関節の攻防で一本負け。トップキープの権化のように思われていたスプリッグスの見事な極めは、ハイサムが仲間入りを目指すワールドクラスの選手たちも日々進化し続けていることを痛感させるものだった。
なおスプリッグスと準決勝で対峙したのは、テックス・ジョンソンだ。ジョンソンは1回戦で、動かざること山のごとしオーランド・サンチェスに三角を仕掛けたところ、高々とリフトして叩きつけられ嬉しくない反則勝ちでセミファイナルをセミファイナル進出の権利をしていた。
そのジョンソンに対して、スプリッグスが得意の上攻めから1度ニースライスパスを決めるなど、ペースを握って3-0で判定勝利し、決勝に進出した。
もう一方のブロックでは、大本命のカイナン・デュアルチが1回戦にてオッズでは対抗と目されていたカイル・ベームといきなりの大勝負を迎える。
序盤、ベーム得意の下からの足関節の仕掛けを、逆に強烈なストレートフットロックで切り返したデュアルチは、その後もトップから試合を優位に進める。そして後半は前回マテウス・ディニズを極めたクローバーリーフからバックも奪ってみせるなど判定3-0で完勝した。
もう一つの1回戦は、SUGで無敗を誇るオーバータイム・キングことメイソン・ファウラーが代打出場のジャンカルロ・ボドニと対戦。途中アイポークを受けたにもかかわらず、右目を覆って試合を続行し、得意のトップゲームで試合を支配して判定勝利した。が、その後ファウラーは目の治療のために病院に直行し、この1戦で敗れたボドニが準決勝進出となった。
デュアルチとボドニによる準決勝は、ボドニの下からの仕掛けをデュアルチが盤石の安定感で対処していく展開に。中盤、首を制してハーフで胸を合わせてパスに成功する等終始ペースを握り、終盤にはまたしても必殺のクローバーリーフ狙いでボドニの動きを止めて判定3-0で完勝した。
かくてヘビー級決勝は、大本命、そして手堅い勝利を挙げたデュアルチと、ハイサムを下したスプリッグスの組み合わせとなった。