【Road to ONE05】野尻定由と対戦、山本空良─01─「大和とは子供の頃から、大人と練習してきたから…」
【写真】2000年10月29日生まれ、20歳の山本空良 (C)MMAPLANET
5日(火)に東京都渋谷区のTSUTAYA O-Eastで開催されるRoad to ONE 05「Sexyama Edition」に、Fighting NEXUSフェザー級王者の山本空良が参戦し、修斗世界バンタム級9位の野尻定由と対戦する。
Text by Shojiro Kameike
元UFC-Jミドル級王者の山本喧一氏を父に持つ山本空良は、幼少期から現修斗世界ライト級王者の西川大和と一緒に練習する間柄だ。小学生の頃には試合も行っており、山本が2勝を収めている。
そんな2人の関係性を紐解くと、両者の強さの源が見えてきた。
――Road to ONE初出場で、修斗世界バンタム級9位の野尻定由選手との対戦が発表されました。空良選手が格闘技を始めるのは、やはりお父さんの影響でしょうか。
「格闘技を始めたのは小学5年生の時で、意外と遅いですよね。父のジムに同い年の子が入ってきて、その子の練習相手になってくれと言われたことがキッカケで、格闘技を始めました。それまで僕自身は格闘技をやる気がなくて、親も特にやらせるつもりはなかったようです」
――その当時、何か他のスポーツをしていたのでしょうか。
「いえ、特に何もしていなかったです。小学校の頃はゲームが好きで、将来はプログラマーになってゲームを作りたいと思っていました」
――プログラマーですか!
「小学1~2年の頃から、『コントローラーのボタンを押すと、なぜゲームのキャラがこう動くのか』ということに興味を持っていました。でも、それってグラップリングでも同じなんですよね。グラップリングでも、こうしたら相手がこう動くという理屈が好きなんです」
――すると格闘ゲームは好きでしたか。
「はい、格闘ゲームやプロレスゲームはやっていました。だから子供の頃は、格闘技といえばゲームでやるものでしたね。父の試合を見たこともなかったですから」
――山本選手が生まれた2000年といえば、日本でもPRIDEやK-1があり、格闘技ブームを迎えていた頃です。山本喧一さんもPRIDEに出場されていましたが、その当時のことは分からないのですね。
「そうなんです。PRIDEやK-1のことは全く分からなくて……今はYouTubeで見たりはしますけど」
――格闘技を始めた小5の頃は、どのような内容を教わっていたのでしょうか。
「最初は、護身術みたいな形で教わっていました。グラップリングやキックボクシングとかではなく、自分の身を守る動きから教えてもらいました。本格的に格闘技を始めるのは、中学1年生からです」
――なぜ中1から本格的に格闘技を始めることになったのですか。
「小学校の卒業文集で、『将来はお父さんと同じ仕事がしたい』と書いたんです。すると、次の日から父が厳しくなりました(笑)。僕が練習から早く帰ってくると、『夜中まで練習しろと言っただろう』と怒られて――そこからリビングでスクワットや腕立てをやらされるようになったり」
――そこで父親から師匠に変わったのですね。
「そのタイミングで、日本ではRIZINが始まって、高2の時にはRIZINのアマチュア大会に出場して、フェザー級で優勝しました」
――なるほど。2000年代生まれで北海道出身といえば、修斗世界ライト級王者の西川大和選手が浮かびます。山本選手は幼少期、西川選手と対戦しているのですよね。
「大和とは子供の頃から週に1回ぐらいのペースで、同じジムで練習していました。それで僕が小6、大和が小4の時に、父から大会直前に『試合があるぞ』と聞かされて(笑)。1戦目は僕の反則勝ち、再戦は僕が腕十字を極めて勝ちました」
――トリロジーとはならなかった?
「僕が中学校に入ってからも、大和は僕と対戦したいと言っていたんですけど、もう階級が違っていたので。僕の身長が伸びるのが早くて(苦笑)」
――試合映像を見ましたが、2試合目は山本選手のほうが頭ひとつ以上、背が高くなっていました。
「でも、いつの間にか大和もデカくなって、今は大和のほうが上の階級ですけど(苦笑)。もう中学生になってからは、お互いにライバル意識とかはなく、一緒にUFCを目指しているという感じですね」
――今でも西川選手と練習しているのですか。
「僕がネクサスのタイトルマッチをやる前は、しっかり練習してもらっていました。北海道はMMAの選手が多いわけではないので、貴重な存在です。お互いに東京で試合をして感じたことを話しながら、盛り上がったりしていますね」
――幼少期は山本選手が試合で勝利していますが、現在の注目度は西川選手のほうが高くなっています。その状況については、どう思いますか。
「何て言ったらいいんでしょう……悔しくないと言えば嘘になります。もちろん、悔しい部分はあります。だけど、僕も大和も目指しているのは、もっと先なので。僕が大和に追いつくか追いつかないか、という話ではなく、目指している世界まで一緒に走っていきたい。そういう存在です」
――なるほど。そんな山本選手と西川選手に共通しているのが、試合で下になる場面が多いですよね。それは練習から、下になることを意識しているのでしょうか。
「あぁ、それですね。僕と大和は、小さい頃から格闘技をやっているじゃないですか。練習相手は大人の方ばかりで、どうしても下になることが多かったんです。自分から下になるというよりは、大人の練習相手に上から潰されて、それを凌ぎながら一本を取るという状況が多かったんです」
――2人のファイトスタイルには、そういった事情もあったのですね。
「そのおかげか、下になってパウンドを打たれても恐怖心がないんです。下のポジションでも怖くはないし、下からも攻めていくようになりました」
――同時に山本選手は試合で、テイクダウンされる時点で下から攻めるためのセットアップを始めているように見えました。
「そうなんです。スクランブルから自分がテイクダウンできたらいいですけど、倒される時は倒されちゃいますから。倒されるなと思ったら、下になってから極める方法や、パウンドを打たれない足の使い方などを考えることも必要だと思います」
――それは西川選手も同じ考えなのでしょうね。
「そうだと思います。だから大和に関しては、この前の試合も『強いなぁ』っていうより、『練習どおり動けている』と思いながら見ていました」
<この項、続く>
■視聴方法(予定)
10月5日(火)
午後5時00分~ ABEMA格闘チャンネル
■対戦カード
<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
和田竜光(日本)
竹中大地(日本)
<グラップリング・ライト級(※77.1キロ)/10分1R>
青木真也(日本)
キャプテン☆アフリカ(日本)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
小野島恒太(日本)
山本聖悟(日本)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
山本空良(日本)
野尻定由(日本)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
須藤拓真(日本)
南風原吉良斗(日本)
<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
河名マスト(日本)
新関猛起(日本)