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【TORAO35】野尻定由と対戦。デビュー以来5戦全KO勝ちの宮口龍鳳「殴られたらスイッチが入る」

【写真】少し武人の香りも漂う宮口(C)SHOJIRO KAMEIKE

11日(水)、福岡市中央区のアクロス福岡イベントホールで開催されるプロ修斗公式戦「TORAO35」で、宮口龍鳳が野尻定由と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

宮口はプロデビュー以来、5戦全KO勝ち。しかもここ3戦は全て1Rで相手を仕留めている。修斗で2024年度バンタム級新人王を獲得し、続いて環太平洋同級3位の野尻と対戦することとなった。空手ベースの打撃を武器に、快進撃を続ける宮口。試合で見せる豪快なKOからは想像もできない、まだ地元・佐賀のイントネーションが残る朴訥とした喋り――そこには、強さを追求し続ける九州男児の姿があった。


――2023年5月のプロデビュー以来、5戦全KO勝ちで新人王も獲得。その自分に対する期待は感じますか。

「えー、まぁ……期待というか、次の試合もKOするというのは頭にありますね。今までずっとKO勝ちできているので、自分の中でも倒せるという自信はあります。ただ、狙いすぎずに戦いたいです」

――格闘技のベースは空手ということですが、どの流派で空手を学んでいたのでしょうか。

「自分は佐賀県唐津市の出身で、地元でフルコン空手をやっていました。両派というか、金山流カラテという町道場に、小学2年生の時から7年間ぐらい通っていましたね」

――空手を始めたキッカケを教えてください。

「親が格闘技好きで、その影響です。僕もテレビで視ていて、子供の頃はK-1ヘビー級が好きでした。ジェロム・レバンナ、レイ・セフォー、レミー・ボンヤスキーとか。空手を始めてから、親も冗談で『将来はK-1ファイターになれよ』とか言っていて(笑)。

親は最初、柔道と空手どちらを習わせるか迷っていたらしいんですよ。当時は地方でMMAはもちろん、レスリングを始める環境もなかったですし。周りに空手道場がたくさんあったので、空手を始めることになりました。」

――空手以外のスポーツ経験はないのでしょうか。

「野球とサッカーもやっていました。野球が小4から小6、サッカーは中学生の時です。親も『勉強はせずにスポーツを頑張れ』というタイプで」

――将来はプロ野球選手かJリーガー、あるいはK-1ファイターになれば将来は安泰だということで。

「アハハハ、そんな感じです。中学を卒業する前には、ほんの数カ月だけブラジリアン柔術も習っていました。地元の唐津市に――イワモト柔術アカデミーというんですけど、一つだけ柔術の道場があって。そのあとはウェイトにハマッていました。中学を卒業したあと就職して、仕事して遊んでウェイトやって……という感じでしたね」

――ウェイトトレーニングにハマりながら、格闘技は続けなかったのですか。

「その頃もまだ地元にキックやMMAのジムがなくて。友達と一緒に遊び感覚でミット打ちをやったりとか、その程度でした。でも『やっぱり格闘技をやりたい』と思って、大阪に出てきたんです。大阪に出て来たのは23歳の時で、新しくMMAを始めるには結構遅いですよね」

――う~ん、幼少期にレスリングを始めている選手と比べれば……ではありますが。ただ、中学卒業後から23歳までは地元でくすぶっていたのでしょうか。

「地元で格闘技をやる環境もなく、くすぶっていました。空手時代って先生が怖くて、毎日泣きながら道場に行っていたんですよ。でも、ふとした時に当時のことを思い出して、『あの頃の頑張りが勿体ないなぁ』とか感じて――そこで『もう1回、格闘技をやってみよう』と決めました」

――その間にMMAに挑戦するチャンスはなかったのですね。

「一度、地下格闘技に出ようかとも思ったんです。当時は福岡で地下格闘技の大会が多くて。一度試合も決まったけど流れてしまい、そこから地下格闘技の大会もどんどん少なくなっていって」

――MMAをやる場所として、東京ではなく大阪を選んだ理由は?

「……東京は何だか、人間が冷たい感じがして」

――アハハハ!

「当時は、ですよ(苦笑)。何も知らなかったから、本当にそういうイメージだけで。やっぱり九州からは東京より大阪のほうが近いし、もともと大阪に行きたくて」

――子供の頃から空手、野球、サッカーとやっていて、それだけウェイトを続けていたわけですよね。大阪に出て来た時に周りと比べて、すでに体は出来ていたでしょう。

「はい。MMAをやったことがないのに、体幹が出来ていたから最初はやれたんですよ。プロの方からも『体が強い』と言ってもらえていました」

――大阪にあるMMAジムの中から、コブラ会を選んだポイントは何だったのですか。

「コブラ会はグラップリングが強いというイメージを持っていました。自分は空手もやっていたので、立ち技はある程度できるという自信があったんです。23歳はMMAを始める年齢としては遅いから、今までやったことがない寝技を鍛えて強くなりたいと思いました。あとコブラ会は夜に、アマチュアもプロ選手と一緒に練習できるんですよ。自分は時間もないので、最初からプロに揉んでもらいたいって考えました」

――フルコンタクト空手とMMAでは、当然のことながら距離感も何もかも違う。そこに慣れてきたのは、いつ頃なのでしょうか。

「いや、いまだに慣れているんですかね、という感じです(苦笑)。」

――そこがポイントだと思います。宮口選手は前回の新人王決勝を除けば、プロデビュー以降も不安定さは見える。しかし最後に相手を倒している要因は何なのか……。

「自分はスロースターターなんですよ。ちょっと危ない場面――殴られたらスイッチが入るみたいで(苦笑)。メッチャ緊張するタイプで、最初は堅くて雑になってしまっていました」

――何となく理解できます。新人王を獲るまでの宮口選手はグラップリングを避けるというよりも、「逃げる」という表現が適していたように思います。もちろん「逃げる」=サバイブですし、MMAでは必要なことです。ただ、そこからが強い。

「コブラ会に入った頃、最初はずっと『足を使え』と言われていて。だけどフルコンでは足を使って回ることがなくて、言われていることの意味が分からなかったです。でも最近になって、ようやく距離感というものが分かってきた気がします。

自分はストライカーなので、組みには付き合わない。コブラ会ではあれだけグラップリングが強い人たちを相手に、そう意識して練習しています」

――なるほど。次はランカーであり、やはり組みが強い野尻選手と対戦します。

「そうですね。5分3Rフルで戦えるスタミナがある選手、という印象です。僕もしっかり戦い抜きます」

――これまで3R目を経験していないことは不安ではないですか。

「練習ではずっと5分3Rを意識してやっています。もちろん試合と練習は違うし、試合で経験していないので少し不安はありますけど、自信もあります。新人王を獲って、次はランカーで。ここからどんどん上に行きたいですね」

――まず目指すのは修斗のベルトでしょうか。

「修斗に出ているからには、そうですね。それで来年にはRoad to UFCに出たいです。MMAをやるかぎり、ゴールはUFCだと思ので。自分もメジャーリーガーになりたいですね」

■視聴方法(予定)
5月11日(日)
午後14時45分~ ツイキャスPPV

■TORAO35 対戦カード

<バンタム級/5分3R>
野瀬翔平(日本)
加藤ケンジ(日本)

<バンタム級/5分3R>
野尻定由(日本)
宮口龍鳳(日本)

<ライト級/5分2R>
結城大樹(日本)
安海 健人(日本)

<フェザー級/5分2R>
磯城嶋一真(日本)
久保村ヨシTERU(日本)

<バンタム級/5分2R>
松岡琉之介(日本)
アサシン秋雄(日本)

<ストロー級/5分2R>
黒瀬恭平(日本)
大城正也(日本)

<フライ級/5分2R>
平賢二郎(日本)
古賀優平(日本)

<フェザー級/5分2R>
本松要(日本)
諸石一砂(日本)

<フライ級/5分2R>
高宮諒(日本)
小生隆弘(日本)

<バンタム級/5分2R>
山口カケル(日本)
河野慶樹(日本)

<ライト級/5分2R>
はやぶさ(日本)
大地(日本)

<ウェルター級/5分2R>
グラップラー脇(日本)
平尾大和(日本)

<2025年度ストロー級新人王決定T1回戦/5分2R>
緑真作(日本)
佐野光輝(日本)

<2025年度バンタム級新人王決定T1回戦/5分2R>
有松朋晃(日本)
井上滉人(日本)

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