【TUF24】レビュー最終回 扇久保はエリオットに敗れシーズン制覇&世界戦に届かず……も歴史を創る
3日(土・現地時間)、ネバダ州ラスベガスのパームス・カジノリゾート内ザ・パールで開催されるTUFシーズン24「Tournament of Champions」。世界各国のプロモーションから集まった16名のフライ級王者が生き残り合戦を戦い、優勝者が今大会でUFC世界フライ級王者デメトリウス・ジョンソンへ挑む。
TUF24レビュー、最終回はエピソード12で組まれたトーナメント決勝、扇久保博正×ティム・エリオット戦の模様をお伝えしたい。
世界王座挑戦まであと一歩となった扇久保は「ここまでは予定通りの展開。なので予定通り決勝も勝ちます」という扇久保。この一戦を前に王者DJは「ティム・エリオットが勝つだろう」と予想。過去、扇久保が修斗で堀口恭司に敗れたことがその一因となっていた。
<TUF24フライ級T決勝/5分3R>
ティム・エリオット
Def.3-0:30-27.30-27.30-27
扇久保博正(日本)
まずはオーソ同士で構え、自在にスイッチしていく両者。エリオットが左ジャブを伸ばし扇久保は左ハイ、左ミドルを蹴っていく。まずダブルレッグを決めた扇久保がバックを伺うも、エリオットは立ち上がって離れる。引き続き左を伸ばすエリオットに扇久保はミドルを連続で入れ、シングルレッグを切っていく。扇久保は右を連続で放って距離を取るエリオットを追いかけるも、直後にダブルレッグでテイクダウンを許す。
ここでエリオットは寝技に拘らず、自ら立ち上がり直後に2度目のテイクダウンに成功する。試合はすぐにスタンドに戻り、扇久保が蹴りを入れてテイクダウンを仕掛ける。エリオットはスプロール。直後に前にでてきたところで、扇久保が右アッパーを入れてシングルレッグで2度のテイクダウン!!
ハーフで抑えにかかった扇久保に対し、エリオットが初めて背中をマットにつける展開となる。残り1分を切り、エリオットがバックを譲りつつ立ち上がって離れる。そして、シングルレッグへ。扇久保はギロチンを掛けながら後方に倒れる。鉄槌を振るったエリオット──扇久保は惜しくも最後のテイクダウンでラウンドを落としたか。
2R開始直後、左ハイをキャッチしたエリオットがテイクダウンに成功。腰を蹴り上げて扇久保が立ち上がり、シングルレッグでテイクダウンを取り返す。エリオットもすぐにスタンドに戻ると左ストレートを入れ、扇久保のシングルレッグをキムラロックで捉えて後方回転。一瞬、上を取った扇久保だったが、すぐにスクランブルに持ち込まれてシングルで倒される。
ハーフからスイープ狙いの扇久保、続くスタンドの展開でついにテイクダウンだけでなくバックマウントを許してしまう。RNCを防ぎ、エリオットを前方に落とした扇久保はギロチンからマウントを奪取へ。修斗バンタム級世界王座を奪った得意技も、エリオットは頭を抜いてトップに。
もう一度仕掛けたギロチンも防がれた扇久保は立ち上がり際にバックを許し、パンチを被弾。再びバックマウントに捉えられ2Rも落とした。
最終回、あとのない扇久保はフィニッシュが必要になる。エリオットの左ミドルをキャッチした扇久保だが、テイクダウンを奪えずキムラロックにとったエリオットがトップに。シングルに出た扇久保は頭部にパンチを受けながら、左足を取り続ける。やがてエリオットが立ち上がり際にバックに回り、後方からパンチを打ち込む。
自ら背中をつけてサイドを許した扇久保は、再びシングル狙いへ。「タテ、タテ、タテ」というコーチの指示にも、扇久保は腕十字を潰されスクランブルに持ち込めず、この試合3度目のバックマウントを取られる。残り2分、手首を掴んでロールしスクランブルに持ち込んだ扇久保はスタンドのエリオットの背中に飛び乗ってバックマウントに。
ケージと扇久保を背負ったエリオットは、RNCのディフェンスに徹し切る。手首を掴まれていた扇久保は腕を喉下に入れることができず、最後の勝負をかけて着地。右のパンチを思い切り振るい、テイクダウン狙いにはギロチン、マウントを奪ったところでタイムアップに。
最後まで勝負を諦めなかった扇久保だが、DJの持つ世界フライ級王座挑戦権とTUFシーズン24ウィナーの称号はエリオットの手中に収まった。
「最後の試合は全然……ダメですね。また切り替えてやっていきます」と語った扇久保、全米TVシリーズで12週に渡り活躍した彼は日本のMMA界に一つの歴史を創ったことは確かだ。