【Shooto2021#06】激闘王の真実。後藤丈治戦へ、石橋佳大─01─「激闘王が格好良いとは思っていない」
【写真】激闘王じゃなくても、石橋佳大は格好良い!!(C)MMAPLANET
20日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2021#06で、元環太平洋バンタム級王者の石橋佳大が後藤丈治と対戦する。
Text by Shojiro Kameike
石橋といえば毎試合、激しい打ち合いと目まぐるしく変わるグラウンドのポジショニング、果ては大流血まで――いつしか彼は激闘王と呼ばれるようになった。しかし、そんな激闘の末、自身が星を落とすことも少なくはない。本人は、数々の激闘についてどう考えているのだろうか?
そう訊くと、石橋からは意外な答えが返ってきた。初めて語られる、激闘王の真実とは!?
――試合を1週間後に控えた石橋佳大選手です(※取材は9月13日に行われた)。現在の練習やコンディションはいかがですか。
「練習は土曜日(9月11日)に上がって、今は小さいケガを治しながら、試合に向けてコンディションを整えているところですね」
――試合のお話の前に、石橋選手のTwitterを拝見すると、アニメやゲームのお話がツイートされています。声優さんのツイートをシェアしたり……失礼ながら、少し意外でした。
「アハハハ! もともと舞台鑑賞が好きで、そこから『スタァライト』(正式名称は『少女☆歌劇 レビュー・スタァライト』)という作品のファンになったんです。いわゆるメディアミックスの作品で、ミュージカルがあってテレビアニメ化もされ、今は劇場版も公開されています。実は試合後、この作品のセリフを使ったりしているんですよ」
――えっ!? ちなみにどのセリフでしょうか。
「前回の試合(2020年11月、論田愛空隆に判定勝ち)で勝ったあと、『ポジションゼロ!』と言ったんですけど、あれも『スタァライト』のセリフです。ポジションゼロというのは、『勝った人だけが舞台の主役になれる』という意味なんですね」
――なるほど。その作品のセリフであることに気づいている方はいましたか。
「まぁまぁ、いました。でも知らない人からは『ポジションゼロって石橋の技の名前か?』って、物議を醸していましたね(笑)。この『スタァライト』というのは、舞台に懸ける女の子たちのお話なんですけど、格闘技の選手――もちろん自分にも当てはまるところがあって、共感するところも多くて今一番オススメの作品です。ただ、こういう話をすると、よく『イメージと違うね』とは言われます(笑)」
――はい、確かに……。
「無骨な人間のように見られるんですけど、全然そんなことないので。お茶目なところもありますから」
――石橋選手といえば、激闘王というイメージがあるので、多くの人はそう感じるでしょうね。その激闘王というイメージについては、どのように感じていますか。
「そう呼ばれ始めて、最初は好きではなかったです。激闘王というニックネームが格好良いとは思っていませんでした。今は激闘王と呼ばれることにも慣れたし、そのニックネームが定着しているのは嬉しいことは嬉しいです。でも正直、激闘はしたくはないですよね」
――激闘したくはない!? それも意外です。
「激闘になっているというのは、試合で自分がやられている場面があるということですからね。激闘になればなるほど、それは僕にとって負けに近づいていることじゃないですか」
――そうですよね。
「論田戦後にも言ったんですけど、僕の中では全ての試合が激闘なんです。でも周囲のイメージは――僕の試合の感想を見ると、『激闘じゃないけど勝った』、『激闘じゃないけど負けた』、『負けたけど激闘だった』とか、全て激闘の2文字が付いて回るんですよ」
――……。
「実際は、相手をドミネートするような展開のほうが良いです。ジムでも15分間抑え込むような練習もしていますし。でも僕がそういう練習していると、周りから『石橋さんって寝技もやるんですね。打撃ばかりかと思っていました』とか言われるんですよ(苦笑)」
――もともと石橋選手は、柔術からスタートしているのですよね。
「はい。上京する前、17歳の頃から柔術をやっています。最近は週1ぐらいしか柔術の練習はできていないですけどね。それでもグラップリングの大会には出ていて、自分のグラップリングや柔術を、いかにMMAで生かすかが大事だと思っています」
――柔術の試合は、MMAとはまた展開が異なるのでしょうか。
「そうですね。柔術だと相手が先を取るので、僕が上から攻める展開が多いです。ただ、柔術でもMMAでも、ポジションについては上か下かは、こだわってはいませんね」
――そうした格闘技観を持ちながら、MMAの試合は毎回激闘になる。その点について、ご自身ではどう考えていますか。
「結局は、僕の精神的な弱さが出てしまっていると思います。勝ち急いだり、相手が打ってきたら自分もすぐに打ち返したり。会場が静かだと、自分が負けているのかなと思って攻めすぎてしまったりとか。試合の中で、勝つための我慢ができていないんです」
――ということは、毎試合「激闘にならないように……」という考えが、頭の中にあるわけですか。
「はい。毎試合そう思っています。セコンドからも毎回、『激闘せずに勝つことを考えろ』と言われています。僕にとって試合のテーマは、激闘にせず勝つことなんですよ」
<この項、続く>
■視聴方法(予定)
9月20日(日)
午後6時00分~ ABEMA格闘チャンネル