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【Grachan49】3年振りのグラチャン出場、コロナ禍の手塚基伸─01─「良い時間を知らないで、ここまで」

【写真】修斗では3連勝、4月のパンクラス大阪大会で土肥潤を破っており現在4連勝中の手塚だ (C)MMAPLANET

グラチャンにとって8日(日)に行われる豊中市176box大会は初の大阪での単独イベントとなる。そのGrachan49で手塚基伸が竹本啓哉と対戦する。

2018年9月以来、実に3年振りのグラチャン出場となる元バンタム級チャンピオンに、このタイミングでのグラチャン復帰の理由を尋ねた。

コロナ禍を生きるMMAファイター、そしてシークレットベース・ドミネイトという自分の経営者として、手塚基伸という人間が時代と世の中の変化に翻弄されながらも、その試合スタイルと同様にしぶとく生き抜いている姿が浮き彫りとなった。


──今回、Grachanに約3年振りに出場することになりました。このタイミングでグラチャンで再び戦うというのは?

「堀(友彦)に負けた時、子供が生まれたタイミングでもあったので、一旦区切りにしよう……引退しようと思ったんです。それでパーソナル・トレーナーになり、とあるジムに就職もしました。

そこで働いていて1年ぐらい続けたときに、独立しようと決めました。ただ、この7月まではパーソナルの仕事も続けていて、先月から自分のジムに専念するようになったんです。まぁ成り立っているかと言われると、ギリギリですけど。それまでは働いていた分を、ジムの運営に回していた感じでした(苦笑)」

──ではパーソナル・トレーナーとして就職をしていた時代に、修斗で戦うようになったということですね。

「ハイ。生活が落ち着いてきたら、またMMAで別の舞台を見てみたいと思うようになり、修斗に参戦しました。一応、3連勝したのでベルトまで行こうと考えていたのですが、コロナのこともありタイミングが合わなくなってしまって……」

──昨年3月に安藤達也選手との試合が決まっていましたが、コロナの影響で大会が中止になりました。そこで修斗参戦が途絶えてしまいました。

「無観客でやるという話が、やっぱりないとかギリギリのタイミングで……あそこでちょっとモチベーションが落ちたということはありました。次に5月でという話はあったのですが、まだコロナの時期でしたし2回も流れて作り直すのは無理やと思いました」

──まだ緊急事態宣言が非常に重かった時ですしね。

「無観客ということが分かっていなくて、また中止になったりだとか考えましたね。それと2月の終わりにジムを開いた時でもあったので、あのタイミングで東京へ行くのはどうなのかとか考えて、結果的に断らせてもらいました」

──致し方ないことかと思います。

「その後に安藤と田丸がタイトルマッチをやったんですけど、そこから試合が組まれなくなったので4月にパンクラスの大阪大会に出たんです。

僕がグラチャンを離れてからバンタム級で活躍していた獅庵君や伊藤空也とかがRIZINに出場するようになったタイミングで、岩﨑(ヒロユキ代表)さんに話を貰って参戦することになりました。岩﨑さんは『いつでも戻ってきて』という風に言ってくれていたんです」

──ちょうどご自身のジムに専念するというタイミングでの試合というのは躊躇しなかったでしょうか。

「う~ん、自分のジムを開いてからもパーソナルを続けていたことで、道場生の募集にそれほど力を入れるでもなく中途半端な状態でした。自分でも区切りをつけないといけないとは思っていたんです。

で、3回目ですかね……緊急事態宣言が明けたこともあって会員さんが増えてきて、ジムを開いてからでいえば一番良いタイミングだから、試合をするのも『ここだ』と思いました」

──そうしたら、また緊急事態宣言が発出されてしまいました。このところの感染者数の増え方を見ていると、ジムを閉鎖しないといけないとか、試合前にも関わらず不安材料とならないでしょうか。

「まぁ、こういうとアレなんですけど、ジムを開いてから1カ月もしたら、緊急事態宣言が始まって。言うと、良い時間というのを知らないでここまできました。ずっとこんな感じでやってきているので……今、思っていることは試合だけはなくならんとってほしいということですね」

──なるほどぉ、タフな時代です。

「ハイ、もう本当にそんな感じですね(笑)」

──ここまでくると(※取材は8月1日に行われた)、さすがにあると思うのですが、手塚選手からすると去年の3月のことがトラウマになっているということですね。

「ハハハハ。ハイ、もう本当に試合は流れてほしくないです。でも、こればかりは大会当日まで分からないですからね」

<この項、続く>

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