【UFN21】岡見勇信&宇野薫、捲土重来の刻
31日(水・現地時間)にノースカロライナ州シャーロットのボージャングルズ・コロシアムで行なわれるUFC FIGHT NIGHT「Florian vs Gomi」。五味隆典がUFCデビューを果たす同イベントには、岡見勇信&宇野薫という二人の先人達も出場する。
【写真】黄金のミドル級でタイトル戦線に再浮上、そして最短距離で疾走するためには、やられずにフィニッシュするファイトを是非実現してほしい岡見勇信だ(C) ZUFFA
06年8月のUFC初出場以来、9戦7勝2敗という日本人のなかではダントツの戦績を残す岡見は、昨年10月にチェール・ソネンに敗れた後、そのソネンの下を訪ねて武者修行を慣行した。日本人ファイターのなかで、ずば抜けた身体能力を誇る岡見は、彼よりもパワーのあるファイターが揃ったチーム・クエストにおけるトレーニングで、体の使い方を強く意識してきた。
その感覚を日本に戻り、練習で体に馴染ませた岡見は、自らの戦績に関係なく毎試合、「負ければ最後」という気持ちでオクタゴンに上がっている。そんな岡見の対戦相手は、ブラジル出身、名門アリアンシの黒帯ながら長らくフィンランドに居を構えるルッシオ・リニャレスだ。
長いリーチを利した荒いパンチと、繊細なグラウンドワーク、相対するような立ち&寝技のテクニックを持ち合わせる。この荒いパンチ攻撃は、軌道が読めず、岡見も警戒するところだが、今回は長らく指導を受けるボクシングコーチが初めて米国遠征に帯同することもあり、目が慣れれば問題ないと思われる。
一方、岡見がしっかりと対処すれば問題ないとするリニャレスの寝技だが、UFCに参戦以前も含め、卓越したグラップラーといえば2003年ADCC無差別級を制したディーン・リスターが思い出される。ただし、リスターはMMAになればトップキープを基本とし、自らガードを取ることは窮地に追い込まれるまで殆どないファイターだった。
リニャレスもUFC参戦以前は打撃からトップを奪うファイトが目立っていたが、先のホウジマール・トキーニョ戦では敗れたとはいえ、潜り系のスイープや細かな部分で柔術家らしい動きを存分に見せており、これらの仕掛けは岡見にとって未知の領域といえる。
リニャレスとの試合が、寝技にの展開にもつれ込み、そこで日本人離れしたパウンドの復活と、秘めたる得意技=三角絞めを見てみたいという気もしないではないが、ここはしっかりとスタンドの打撃で勝利を掴みに行って欲しい。
その岡見がMMAを始めた頃には、既に日本のトップファイターに君臨していた宇野は、昨年6月にUFCに復活し1敗1分けという状態で、UFN初出場となる。UFC復帰戦となったスペンサー・フィッシャー戦では、オクタゴン=金網の戦いを意識し過ぎ、自らの持ち味も消してしまった宇野だが、11月のファブリシオ・モランゴ・カモエス戦では、ケージファイトを消化しつつ自らの動き続けるという良さが試合で出るようになった。
【写真】パワーではチバウに遅れをとることは受け止め、宇野薫の柔よく剛を制すハイブリットMMAの妙技に期待したい (C) MMAPLANET
米国MMAでいえば、モランゴの打撃に印象点こそ譲ったが、2、3Rにはピンチらしいピンチはなく“まくり”の宇野が真骨頂を発揮する間際――という試合展開だった。
今回の対戦相手チバウは、モランゴと同じブラジル人で、そのモランゴをリアネイキドチョークで下したこともある実力者だ。チバウもモランゴと同じようにブラジリアン柔術がベースだが、モランゴが純粋に道衣を着用した競技柔術で結果を残してきたのとは対照的に、チバウはノヴァウニオン所属とはいえ、バーリトゥードの本場北東部キムラ・ノヴァウニオンの出身で、ノーギ+下にならないファイトを徹底的に叩き込まれている。
勢いに乗せると危ないチバウだが、そこを凌げばスタミナと気持ちで宇野が遅れを取ることはない。現状でいえば、UFC残留へ崖っぷちのファイトとなる宇野だが、復帰一戦目で金網をより理解し、二戦目でスリッピーな足元を体で覚えた。そして、それ以前の40戦に及ぶ実践で培ったものも思い出すことができた。
チバウが放つ最初のパンチ、そして最初のテイクダウンを凌ぎ、勝機を引き寄せたい。2、3Rの挽回を得意とする宇野、1Rのゲームメイキングを如何に首尾よくまとめることができるかか。非常に大切な立ち上がりの5分間になるだろう。
■UFN「Florian vs Gomi」全対戦カードは下記の通り
<ライト級/5分3R>
五味隆典(日本)
ケニー・フロリアン(米国)
<ヘビー級/5分3R>
ロイ・ネルソン(米国)
ステファン・シュトゥルーフ(オランダ)
<ミドル級/5分3R>
ネイト・クォーリー(米国)
ホルヘ・リベラ(米国)
<ライト級/5分3R>
ロス・ピアソン(英国)
デニス・シバー(ドイツ)
<ライト級/5分3R>
アンドレ・ウィナー(英国)
ハファエル・オリベイラ(ブラジル)
<ライト級/5分3R>
ジェイコブ・ヴォルクマン(米国)
ホニー・トーレス(ブラジル)
<ライト級/5分3R>
ロブ・エマーソン(米国)
ニック・レンツ(米国)
<ライト級/5分3R>
宇野 薫(日本)
グレイソン・チバウ(米国)
<ミドル級/5分3R>
岡見勇信(日本)
ルッシオ・リニャレス(ブラジル)
<ミドル級/5分3R>
ジェラルド・ハリス(米国)
マリオ・ミランダ(ブラジル)
<ウェルター級/5分3R>
チャーリー・ブレネマン(米国)
ジェイソン・ハイ(米国)