【DEEP101】This is 根性=安谷屋智弘戦へ、リスタートを切った伊藤裕樹「今の僕は違います」
【写真】伊藤がいない間に激闘を繰り返してきた安谷屋にとっても絶対に負けられない一戦だ (C)DEEP
本日20日(日)に東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP101で伊藤裕樹が安谷屋智弘と対戦する。
かつての無敗のホープは、キャリア7戦目の初黒星を喫し、表舞台から姿を消した。そして今年3月にRIZIN名古屋大会で復活──この間、伊藤に何があったのか。
戻ってきた──将来のJ-MMAをリードする候補に、話を訊いた。
──お久しぶりです。もう2度と話を聞く機会がないかもしれないと、今年の始め頃は思っていました。
「アハハハハ。お久しぶりです」
──1年9カ月ほど前にネックス・イチムエ・ジムで「3年後に期待」というインタビューをゴン格でさせていただき、3カ月後の鮎田直人戦で敗北。そこから今年の3月のRIZINにおける杉山廣平戦まで、音沙汰無しだったので実は引退し、MMAから離れてしまったのかなと思っていました。
「12月15日に初めて負けて……直後は普通に敗北を受け入れていたんです。練習もしていましたし。それが正月休みに入ってから、『俺はこのまま中途半端にやっていても、上にもいけない。どうしようかな』と考えてしまって。そこからジムにも行かなくなり、格闘技が嫌いになったわけじゃないのですが、嫌になってしまって。で、11カ月、一切格闘技から離れていました。練習もせず、情報も入れずに」
──11カ月も……ですか。その間は、何をされていたのですか。
「何もせず、家に引き籠っていました」
──……。
「もうずっとNetflixとかで映画を見続けて……。回りも逮捕でもされているんじゃないかとか、変なクスリをやっているんじゃなかって心配されていました(笑)」
──外との接点はなかったのですか。
「そうですね……たまに自分を見つめ直すために神社とかいって、空と話していました」
──……。……。
「飯も暴食したり、全く食べなくなったりして、太ったり痩せたりを繰り返して結果少し太っていて」
──格闘技云々でなく、戻って来られて良かったです。どのようなきっかけでMMAを再びやろうと思ったのですか。
「大塩(昌則)先生から手紙を貰ったんです。なんか……色々と自分の気持ちを考えた言葉をあって、『裕樹がもう1回頑張るなら、いつでも待っているから』って。こんな自分の居場所を大塩先生は残していてくれて……。
LINEとか、メッセージでなく直筆の手紙で。僕も返事を書こうとしたのですが、余りにも字が下手くそで汚いので携帯で書いて、プリントして送りました。
僕、ちょうど手紙でやりとりするアニメがあって、それが大好きだったから……。大塩先生のところ、ネックスイチムエで絶対にやりなおそうと思ったんです」
──良い話です。
「SNSで格闘技の情報を入れて、少しは気にしだしていた時期でもあって。それにきっと僕は仕事が嫌いで。いかに就職しないで生きていくかと考えていたら、格闘技で夢を掴むしかないなって思っていたし(笑)」
──一転、良い子には読んでほしくないインタビューになってしまいました(笑)。
「アハハハ。だからこそ中途半端でなく、本気で頑張ろうという想いになりました」
──本気でということは、以前はそれほどでもなかったということですね。
「ハイ、遊びと格闘技なら遊びに重きを置くような……。それでも勝っていたから。藤田(大和)選手に勝った後は天狗になり、対戦相手の知名度とかに左右されて。ハッキリいって、MMAを舐めていました。
練習への取り組み方も、それが当然なのですが変わりました。食事の仕方も変えましたし。でも体や感覚を戻すのは、時間が掛かりました。いや、そうでもないかな……RIZINの時でも戻りつつあったぐらいで、それが練習を再開して3カ月ぐらいで。
とにかく引きこもる以前とは、気持ちが変わりました。前は試合になると、『腹が痛い。嫌だ』とか思っていたのですが、凄く楽しめたんです。
体の感覚が戻っているというのは、そんなにないけどメンタル的に強くなれて試合が楽しめました。でも本当に回りは心配かけていたようで、『負けても、もう道を踏み外すな』って大塩先生にも言われていて……そんなことは絶対にないって自分では思っています。
今回の試合も5月に向けて気持ちを高めていたので、延期が決まった時は『マジか』とはなりましたけど、すぐに『それだけ練習して、強くなれる。チャンスだ』と集中し直すことができました」
──対戦相手の安谷屋選手は、心が入れ替わる前の伊藤選手だと一番厄介なタイプの相手だったと思います。
「そうですね、本当に気持ちが強いです。中途半端な僕だと嫌な相手だったはずです。でも、今の僕は違います。あの根性の入ったファイトでくるなら、こっちもそれ以上の気持ちでやってやります。
安谷屋選手が来るならくるだけ、打って突き放して。ああいう試合はさせないです。でも、万が一そういう根性勝負になっても自分は負けない。生まれ変わったぐらいでいるので、そういう勝負になっても問題ないです」
──一度は勝った藤田選手が、総合的に力をつけて暫定王者になりました。
「本当に強くなっていると思います。僕も安谷屋選手にちゃんと勝って、藤田選手にまた絡めるようになりたいですし、その自信もあります。引き籠ったことで、僕は変わることができました。アレがなかったら、あのまま中途半端だったと思います。
だからもっと強くなり、結果を残して──『あの引き籠りがあったから、今の俺がある』と胸を張って言えるようになりたいです」
──また期待させていただきます。ところで引き籠っている間に見た映画で一番良かった、おすすめの作品はありますか。
「ハイ、インド映画の『きっと、うまくいく』です」
──押忍、伊藤選手の仕切り直しのMMAファイター人生がきっと、うまくいくことを願っています。
「アハハハハ。ありがとうございます。絶対に前とは違う、新しい伊藤裕樹を見てもらいます」
■視聴方法(予定)
6月20日(日・日本時間)
午後4時50分~PPV SPWN
■ DEEP 101計量結果
<ウェルター級/5分3R>
住村竜市朗:77.55キロ
米田奈央:77.5キロ
<女子64キロ契約/5分2R>
KINGレイナ:62.5キロ
東陽子:63.7キロ
<フライ級/5分2R>
安谷屋智弘:57.15キロ
伊藤裕樹:56.9キロ
<バンタム級/5分2R>
石司晃一:61.5キロ
CORO:61.55キロ
<59キロ契約/5分2R>
ヒロヤ:58.90キロ
関原翔:58.95キロ
<フェザー級/5分2R>
西谷大成:66.2キロ
山本歩夢:66.2キロ
<フェザー級/5分2R>
畠山祐輔:──キロ
佐藤拳駿:65.15キロ
<フライ級/5分2R>
鶴屋怜:56.8キロ
岡崎鷹士郎:61.15キロ