【Invicta FC AXS】超微妙なスプリットで防衛、ザッピテーラが「アヤカ・ハマサキと米国で戦いたい」
【写真】どう見てもデルボニが序盤からリードしているように見えたが、オープンスコアでリードを許していることは陣営も分かっていただろう。とはいっても、優勢だった攻撃のリズムを変えることは困難だったに違いない(C)DAVE MANDEL/INVICTA FC
<Invicta FC世界アトム級選手権試合/5分5R>
アリーシャ・ザッピテーラ(米国)
Def.2-1:48-47.48-47.47-48
ジェシカ・デルボニ(ブラジル)
慎重な立ち上がりの両者。まずデルボニがワンツーを伸ばす。ザッピテーラの右ローをかわして、再度ワンツーを見せたデルボニが左ローを入れる。ザッピテーラの右オーバーハンドは距離が遠く、デルボニが左ジャブを合わせようとする。チャンピオンが振りの大きな右オーバーハンドで踏み込むと、真っすぐを当てていくデルボニは距離が近づくとテイクダウンを狙うが、ザッピテーラががぶって離れる。
前に出て右フックから左ローを決めたデルボニに対し、ザッピテーラがテイクダウン狙いも距離が遠い。デルボニは右ストレートを打ち込み、ダブルを切っては左ジャブ。それでも組んでくるザッピテーラにがぶってヒザ蹴り、首投げを潰す。それでもザッピテーラはクリンチでパンチを打っていったが、初回は挑戦者のラウンドとなった。オープンスコアで、なぜかジャッジは2人がザッピテーラのラウンドとした。
2R、初回が取られることを知れ積極的に取りに行かなければならないことが分かっただけでも、デルボニにとって好材料か。それでも両者が慎重な間合いの測り合いのなかで、ダブルを切られたザッピテーラがヒザを狙う。デルボニもワンツーを当てるが王者が右ストレートをヒット。この距離になると、互いのパンチが当たりデルボニがワンツーを入れる。回るザッピテーラに対し、前に出るデルボニが右をヒットさせる。直後にザッピテーラも右を返し、左リードフックを打っていく。距離をアジャストできたか、思い切りワンツーを振るったザッピテーラだが、ここにデルボニがカウンターを決める。
ザッピテーラはスーパーマンパンチも遠く、右オーバーハンドにはまたもワンツーを受け、右の打ち合いでも勢いで挑戦者が優位に。さらに右に左を合わせたデルボニは、ダブルを切って逆に組みへ。この組みに対するカウンターの組みで、デルボニはヒザを受けることが多い。2Rはジャッジが3者がザッピテーラと、どうにも理解に苦しむジャッジの裁定だ……。
3R、左ジャブを当てたデルボニは、続いてワンツーを入れテイクダウン狙いを切る。ザッピテーラは左ジャブを当て、左に回る。ここで右を当てたザッピテーラだが、デルボニがワンツーを返す。さらにジャブに右を合わせるデルボニが左ジャブを入れ、ワンツーをかわす。シングルも切られたザッピテーラは、手数は減らさない。1Rと2Rのジャッジの嗜好を理解すれば、とにかく手数と動きが必要だ。
その逆にカウンターを入れるデルボニがワンツーフックから、左をカウンターでヒットする。さらに右オーバーハンドでも打ち勝ったデルボニは、ダブルを切られてヒザやフックに出るチャンピンに左フックを打ちこむ。勢いづきフックのコンビネーションを決めたデルボニは、最後もテイクダウン狙いを切り──さすがにこの回はジャッジ3者の指示を得たと思いきや、初回をデルボニとしていたジャッジがこの回をザッピテーラのラウンドとして、スコアは29-28が揃うこととなった。
4R、ザッピテーラの右オーバーハンドをかわしたデルボニは、ワンツーからローを入れる。続く右ローにザッピテーラが右を合わせると、デルボニは左ローを蹴っていく。右に左を合わせたチャレンジャーは、右を被弾して前に出ると左ジャブをヒット。左ローで前足を削りつつ左フックを当てたデルボニは、ザッピテーラの前進をバックステップでかわしシングルレッグを切る。
ここから攻撃を仕掛ける王者の動きを見極めて、さらに距離を取ったデルボニは左フックを見せ、ダブルレッグをスプロールする。続いてザッピテーラが左ジャブをヒット。挑戦者はここまでのジャッジの傾向を考慮し、手数を増やす必要はある。左フックの打ち合いからテイクダウンをこれまで通り切ったデルボニが左を当て、パンチを纏める。王者も左ジャブを返し、右アッパーを放つ。デルボニは左右のフックから左ローを決め、ザッピテーラが姿勢を乱した。この回はジャッジは3者揃ってデルボニに票を入れ、38-38✖3という状況で最終回を迎えた。
勝負の5R、フックを振るって距離を詰めたザッピテーラがヒザ蹴りを見せ、ケージにデルボニを押し込む。回って離れたデルボニは左に回るザッピテーラの右を被弾する。勝負どころの集中力が凄まじいザッピテーラは、しっかりと前に出てワンツーを放つ。デルボニもワンツーを返し、右を受けながらショートのコンビネーションを振るっていく。
ザッピテーラの踏み込みに、足を止めてフックを振るうデルボニが左ロー。ザッピテーラが右を当てる。ワンツーを当てたデルボニは、ザッピテーラの組んでからの首投げを防いで打撃の間合いに。王者の右、チャレンジャーのワンツー後、ザッピテーラはダブルレッグを切られ、打ち合いでもデルボニの手数が優ってくる。残り15秒でワンツーの右を当て、踏み込んでのフックの打ち合いでタイムアップを迎えると、両者揃って勝利をアピールした。
初回と2Rも優位としか見えなかったデルボニだが、そこでザッピテーラにつけたジャッジだけに、最終回もどうなるか分からない……。結果は案の定というか、スプリットでザッピテーラが判定勝ち。
唖然とするデルボニ、ザッピテーラはベストを尽くし王座防衛したので全く非はないが、ジャッジの裁定には異を唱えたい。
ともあれ王座初防衛に成功したザッピテーラは「世界でベストのアトム級ファイターと証明したいから、アヤカ・ハマサキと私のホームケージ……インヴィクタ、米国で戦いたい。そしてストロー級にあげて、空位のベルトを獲りインヴィクタ初のチャンプチャンプを目指したい」と話した。