【ONE TNT04】フォラヤン戦へ、離日前日の青木真也─03─「戦う選手は火事場泥棒にならないといけない」
【写真】スパーリングの合間に目を閉じて、何やら思案中の青木。イメージトレーニングか、前のスパーを回想しているのか (C)MMAPLANET
29日(木・現地時間)に開催されるONE119:ONE TNT04でエドゥアルド・フォラヤンと対戦する青木真也インタビュー最終回。
『ノー』と言わない青木は、このカードがプレリミに等しいリードカードになったことをどのように捉えているのか。そして、改めてコロナ禍のファイトに対する考えを訊いた。
<青木真也インタビューPart.02はコチラから>
──そして自分の価値観を持ち続けたいということですよね。
「勿論です」
──そういうなかでセイジ・ノースカット戦の方が、フォラヤン戦より期待の声も高かったです。
「どうなるのかっていう興味も、その方が高かったですよね」
──それでもノースカット戦もフォラヤン戦も同じ意識で、がっかりすることもないと?
「ハイ。特に変わらず、です。この間のFight & Lifeで岩﨑達也さんとやらせてもらった対談での話と同じです。内に向いています」
──先日、Fight & Lifeで剛毅會空手の岩﨑達也氏と対談をしていただいたのですが、かなり武術空手の原理原則に食いついていました。
「アレは、マジです。ここ何年かのなかで秀逸なインタビューです。掛け値なし。Fight & Lifeを読んで、『また下に入ったんでしょ』とかって言う人間もいたけど、違う。『アレはお前、面白いんだよ』って。あれはホント。理屈がちゃんとあります。言われていることも間違っていないし。本当に面白かったです。
ちゃんと理がある。抜群。もっと岩﨑さんは格闘技を語る論客としてフォーカスされた方が良いかと思います。それは岩﨑さんのためにってことじゃなくて、業界のために」
──あそこまで話せるのは、青木選手の打撃に理屈が出来てきたからではないかと。
「何を言っているのか……というのはなかったです。組みも打撃も踏まえて、手の置いている位置の話とか。でも理屈は分かっても、俺には怖いからそれができないとかあって──楽しかったですね」
──なるほど。その打撃の理、戦いの理を持って挑めるフォラヤン戦ですが……、フォラヤンはONE第1回大会のヘッドライナーで、青木選手とはライト級王座を争ってきた間柄です。つまりONEの歴史でもある。その試合が本戦から外れたことに関して、どういうことなんだという想いは?
「ありますよ。あぁ、外れるんだって言う気持ちはあります。ただ、そこに文句を言っても変わるモノじゃないですし。『あっ、そういうことね』ってことで納得しちゃっています。文脈とか物語とか、分かる文化の人たちじゃないから。
出汁がある文化の人じゃない。そこは期待してもしょうがないと思っているのかもしれないです」
──TNTの米国中継用の大会というのもありますし。
「ヘビー級を投入して、なりふり構っていられない。それも分かっていますし。そうすべきだと思います。僕もフォラヤンもこれからメインストリームに入っていく選手じゃないし。上で組まれないことが悔しいとか、それは全然ないです。納得はしているんですけど、『おう、こう来たか。そういう風ね』と(笑)。
僕は労働者ですから。だから、そういうことも含めて自分のメッセージとして伝えることができればなと思います」
──木曜日の試合で、出発が土曜日。隔離期間も短くなったということですね。
「これは本当に助かりました。セコンドをお願いするのに現地で11日とかになると、気を使っちゃいます。それが1週間なら、まだお願いしやすいです。今回は宇野さんが修斗での試合が予定されているので、北岡さんにお願いしました。
北岡さんは付き合いも長いし、そこは阿吽の呼吸です。それでも10日間も付き合わせるのは、申し訳ないです。これまでも僕だけ先に入って、あとから来てもらったりしていたので。それがコロナでできなくて、束縛時間が長くなってしまって。滞在4日ぐらいで終わらせることができていたのが、7日、そして10日になると申し訳ないです。本当に」
──それにしても練習と試合の日だけなのですね、直接顔を合わせるのは。
「一切ないですね。宇野さんは毎日、トレッドミルで走っていましたね(笑)。まぁ、身の回りのことは全て自分でやっていますからね。僕は柔道文化の上下関係が苦手だったんです。だから、荷物を持たせるとか絶対にないですし。小間使いとセコンドと違いますからね。北岡さんも宇野さんにも、セコンドをお願いしているので。そうでないと、逆にしんどくなってしまいます」
──ONEは録画で試合を流し、試合カードも代わりまくっても発表がシレっと対戦カードが組み変わっているだけで、報じ方の時系列もメチャクチャになっています。それでも、現地で何が起こっているのかを考えると、本当によくこの規模の国際大会を開けているなと、ふと思うことがあります。
「回っている。北米とロシア、そして中東とONEしかできていないことをしていますからね。大陸間を越えた選手の行き来を、ここまで感染対策が厳しい国でやっているのは実はすごいことで。
でもコロナ禍の試合は参考試合だと思っています。今、大阪の高校は部活動が中止になっていて。じゃあ、高校総体をやったときにイコールじゃないじゃないですか?」
──東京は都立はダメで、私立はOKです。
「もう、まるで同じ条件ではない。大会ができても、出場している選手の条件が圧倒的に違う。対戦相手もどんどん代わる。これはやっぱりコロナ前とは違う。取り替えず、組めることをする。だから、参考試合──残念ながら、そういうことです。
言い方は悪いけど、火事場泥棒感はあります。そう思っているので、戦う選手は火事場泥棒にならないといけないです。そういうなかで一生懸命やれているので、楽しみです」
──零点に抑える投手戦を?
「ハイ。堅く、堅く。当然、試合なのでやられる怖さもあるけど、しっかりと立ち位置を取ってやりたいと思います」
──ナカシマとフォラヤンは全くタイプが違いますが、青木選手が勝つには組んで、極めること。打撃を貰わず、入る。そこに関して成長しているという感覚はありますか。
「それはあります。試合で戦っていても感じます。あっ、こういうことかっていうのが、理屈が分かってきたというか」
──先ほどの対談の件もそうですが、打撃について話す内容が以前と少し違ってきたような気がします。知識より、感覚が増えているというか。
「そうですね。自分のことが掴めてきて、距離感が違うというのが分かります。だから打撃を被弾しなかったんだというも、少しずつ分かってきています。だからこそ、そこが本当に分かっているのか不安です」
■視聴方法(予定)
4月29日(木・日本時間)
午前9時30分~ ABEMA格闘チャンネル
■ ONE TNT04 対戦カード
<ONE世界ライトヘビー級(※102.01キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]オンラ・ンサン(米国)
[挑戦者] ライニア・デリダー(オランダ)
<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エディ・アルバレス(米国)
オク・レユン(韓国)
<ヘビー級(※120.2キロ) 5分3R>
ウマウ・ログログ・ケニ(セネガル)
キリル・グリシェンコ(ベラルーシ)
<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
青木真也(日本)
<ムエタイ女子ストロー級/3分3R>
ジャッキー・ブンタン(米国)
エカテリーナ・ヴァンダリエヴァ(ベラルーシ)
<60.6キロ契約/5分3R>
コルビー・ノースカット(米国)
コートニー・マーチン(豪州)