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【Bu et Sports de combat】UFC ESPN22でロマノフと対戦するエスピーノ─02─「相撲に挑戦したい」

【写真】ルチャ・カナリア時代よりもスリムになっているエスピーノ。それがUFCバージョンの民族レスリング王のシェイプだ(C)Zuffa/UFC

17日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXでUFC on ESPN22「Whittaker vs Gastelum」で、アレクサンドル・ロマノフと対戦するフアン・エスピーノ・インタビュー後編。

カナリー相撲からシルム、柔術、グラップリング、コーニッシュ・レスリング、グーレン、クラッシュ、コンバットサンボ、そしてセネガル相撲という民族レスリングで活躍してきたエスピーノは、カバディまで経験しTUFで優勝するMMAファイターとなった。

40歳という年齢を気にすることなく、UFCで戦いたい続けたいというエスピーノには──全てを掛けているUFCファイター人生を終えてから、まだ挑戦したいことが残っていた。

<民族レスリング王フアン・エスピーノ・インタビューPart.01はコチラから>

その経験がどこまで生きるのか不明だが、TUFで優勝するまでのMMAファイターとして活躍している。土曜日の試合を前にしてZoomでエスピーノのインタビューを敢行し、民族レスリング王のルチャドール人生を振り返ってもらった。


──フアンが非常に面白いのは、民族レスリングには出場しているのにフリースタイルや、グレコローマンという五輪スタイルのレスリングの試合には出ていないことです。

「当時の僕は135キロとか136キロあって、フリースタイルやグレコは階級が120キロ級までしかなった。15キロとか減量をしたくなかったんだ。それにルチャ・カナリアを戦っている時は、月に1万ユーロほど稼ぐことができていた。きっと体重を下げて、3カ月ほどルチャ・カナリアの活動を休止したらスペインのナショナル選手権や欧州選手権ぐらいは勝てたと思う。でも、そこまでして挑戦しようとは思わなかった。

ブラジリアン柔術はグラウンドが攻防や技術が大半を占めているけど、他のレスリングと同じでチャレンジしたいと思った。明確な理由は分からない(笑)。そしてムンジアルの紫帯で優勝できてから、多くの人にMMAに合ったスタイルだからMMAを始めるべきだと言われたんだ」

──フアンがMMAを初めて戦ったのは、ムンジアルで優勝した4年後ですね。

「あの後もパンナムやヨーロピアンと柔術の試合に出ていた。そうそう僕の柔術の先生はヒカルド・デラヒーバの弟子で、一緒に東京に行ってPRIDEを見たこともあるんだ。ミノタウロが柔道家のパウエル・ナツラと戦い、ミノトゥロはショーグンとの試合だった。それとヒカルド・アロー✖カズシ・サクラバも観たよ」

──凄い記憶力ですね。きっと2005年6月のミドル級GP2回戦の時ですね。ムンジアルの1カ月前です。

「そうだ!! 確か柔術トーナメントも見に行ったよ。色んなところに行って記憶の整理が必要だよ(笑)。でも今は本気でMMAに挑戦している。他の競技に出ることはなく、体重も絞って練習して、フロリダのATTでキャンプもする。UFCでどこまでやれるか──それが今の僕のチャレンジなんだ」

──そして土曜日の夜にはモルドバのレスラー、アレクサンドル・ロマノフと戦います。

「ハードな戦いになるだろう。アグレッシブな無敗のファイターだ。当然レスリングが強いけど、倒されても立ち上がるスペースを残している。それとコンディションがそれほど良くないから、2R、3Rと進めばスタミナをロスして動きが落ちるはずだ。

なぜUFCは僕らの試合を組んだんだろうね……。ロマノフは2、3年後にはUFCのトップとして活躍できるファイターになるだろう。僕らはあと2、3試合勝ってからもっと上の試合で戦うべきだろう。きっとUFCはレスラーが嫌いなんだろうな。この試合、勝敗がどう転ぼうか僕らはトップ15に入る力がある」

──フアンは40歳です。UFCでどこまで戦えると考えていますか。

「分からないよ。50歳まで戦えるなら戦う。あと10年、8年、5年かもしれない。とにかく、しっかり練習できているし体調は抜群に良いんだ。ケガもない。練習相手は誰も僕が40歳とは思わないよ。

20代でもケガをして体調が十分じゃないファイターも少なくなく。ケガをして試合ができないなんてことはないし、歳を取っているなんて言われたくないよ。

UFCに辿り着くまで本当に長い時間が掛ったんだ。スペイン人がUFCファイターになるのは簡単じゃない。そのために声が掛かればどこでも戦った。モロッコ、ボリビア、ロシアに行って試合をした。

ロシアで負けたけど、それは驚くべきことじゃない。ロシアの試合は、ロシア人は僕らとは違うグローブをつけて戦っている(笑)。皆が経験していることだ。ヴィタリー・ミナコフは強い選手だから、そんなことをする必要はないのに。でもマネージャーが見つけてきた試合だから受けたんだ。ロシアでは大抵の外国人選手が負けるよ」

──それでもTUFを経てUFCに辿り着きました。

「ホント、1人だけだった。TUFに出れるようになってもスペインで僕を応援してくれる人はいなかった。年を取り過ぎているし、英語を話せないから成功は望めないって言われて。

だから僕は1人で米国に行ったんだ。今、僕はUFCで戦っている。体が持つ限り、戦い続けるつもりだ。でもUFCでの活動を終えたら、また民族レスリングに出たいと思っている。最低でも3、4カ国に行ってね」

──是非とも日本で相撲を経験してください。

「日本に行った時、スモウの練習がしたくて相撲部屋にコンタクトをとったけど閉まっていた。試合もしていない両国国技館へ行って写真を撮りまくったよ。それにATTではキョージさんに、相撲関係者に連絡を取って欲しいと頼んでいる。試合には出られなくても、練習だけでもしたいんだ」

──大相撲に出ることは難しいですが、アマチュア相撲なら世界大会もありますし、コロナが収まったらぜひ日本で相撲を経験してください。

「今はUFCに集中しているけど、ここでのキャリアが終わればスモウ・レスリングに絶対にチャレンジするよ」

■視聴方法(予定)
4月18日(日・日本時間)
午前8時00分~UFC FIGHT PASS

■UFC ESPN22計量結果

<ミドル級/5分5R>
ロバート・ウィティカー: 185.5ポンド(84.14キロ)
ケルヴィン・ガステラム: 185ポンド(83.91キロ)

<ライト級/5分3R>
ドラッカー・クローズ: 156ポンド(70.76キロ)
ジャレミー・スティーブンス: 156ポンド(70.76キロ)

<ヘビー級/5分3R>
アンドレイ・オルロフスキー: 250.5ポンド(113.62キロ)
チェイス・シャーマン: 251ポンド(113.85キロ)

<ミドル級/5分3R>
アブドゥル・ラザク: 185.5ポンド(84.14キロ)
ジェイコブ・マルクーン: 185.5ポンド(84.14キロ)

<ライト級/5分3R>
ルイス・ペーニャ: 155ポンド(70.31キロ)
アレックス・ムニョス: 155.5ポンド(70.53キロ)

<女子フライ級/5分3R>
トレイシー・コーテズ: 126.5ポンド(57.37キロ)
ジャスティーン・キッシュ: 125.5ポンド(56.92キロ)

<ヘビー級/5分3R>
アレクサンドル・ロマノフ: 264 ポンド(119.74キロ)
フアン・エスピーノ: 257ポンド(116.57キロ)

<ヘビー級/5分3R>
アレクサンドル・ロマノフ(モルドバ)
フアン・エスピーノ(スペイン)

<女子ストロー級/5分3R>
ジェシカ・ペネ: 116ポンド(52.62キロ)
ルピタ・ゴディネス: 116ポンド(52.62キロ)

<ミドル級/5分3R>
バルトス・ファビンスキ: 184.5ポンド(83.68キロ)
ジェラルド・マーシャート: 185.5ポンド(84.14キロ)

<ライト級/5分3R>
オースチン・ハバート: 156ポンド(70.76キロ)
ダコタ・ブッシュ: 155.5ポンド(70.53キロ)

<女子バンタム級/5分3R>
ザラ・フェアン: 147ポンド(66.67キロ)
ジョシアニ・ヌネス: 136ポンド(61.69キロ)

<バンタム級/5分3R>
トニー・グレイブリー: 135.5ポンド(61.46キロ)
アンソニー・バーチャク: 135.5ポンド(61.46キロ)

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