【ONE113】「K-1もMMAも同じ」&「青木は70キロで戦うべき」クリスチャンに挑戦ユーリ・ラピクス─02─
【写真】一本と叫びたくなる払い腰をマラット・ガフロフに決めたラピクス (C)MMAPLANET
30日(金・現地時間)にシンガポールのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE113「Inside the Matrix」でクリスチャン・リーが持つONE世界ライト級王座に挑戦するユーリ・ラピクス・インタビュー後編。
ジョルジオとアルメンのペトロシアン兄弟とジムと同じ建物で生活し、両者に心酔しているラピクスだが、ペトロシアンは世界最高のストライカーとはいえ、それはキックボクシングでの話だ。
MMAを戦うラピクスが、なぜMMAを始め、どうしてペトロシアンと合流したのか。そしてペトロシアンとの練習がどのようにアドバンテージにあるのかを尋ねた。そして陽気なイタリアンとは完全に一線を画した、東欧&旧ソ連マインドがソビエト崩壊後に生まれた彼からも、ヒシヒシと伝わってきた。
<ユーリ・ラピクス・インタビューPart.01はコチラから>
──最初にMMAを始めたのはどういうジムだったのですか。
「僕がMMAを始めたパラエストラは凄く小さくて、MMAの経験がない人間が多くいたところだよ。ミラノにあったパラエストラだけど、名前も覚えていないなぁ。でも、1年ぐらいでペトロシアンのパラエストラに移ったんだ」
──あのう……そのパラエストラというのは?
「あぁ、イタリアではジムのことはパレストラと呼んでいるんだ」
──えぇ、そうなのですか!! ギリシャ語で勇者(パリカリ)を養成する場所がパラエストラと言うことは日本にも伝わっていたのですが、イタリアでも同じなのですね。ところでペトロシアンのジムはMMAのクラスもあったのですか。
「なかったよ。僕は柔道をやっていたから寝技には自信があった。でもMMAファイターとして打撃の修得が必要だと思ったんだ。だからペトロシアンのところで練習を始めたんだ。
MMAが普及して、結果的にペトロシアンのジムでも、MMAを採り入れることになった。ジムに大人の柔術クラスはないけど、MMAファイターのジュリアーノ・パデッサがキッズには柔術の指導を始めたんだ。今ではジムに根づいているよ」
──ペトロシアンと打撃の練習をすることは、MMAファイターとしてどれだけアドバンテージがあるのでしょうか。
「ジョルジオと練習できることを、今でも凄く光栄に思っている。ベストストライカーと練習できるなんて、他のMMAファイターにはない環境だからね。
ただし彼は世界最高のキックボクサーだ。彼と同じことができるわけがない。でもジョルジオと練習することで、メンタル面が鍛えあげられる。そのおかげで僕のゲームは変わったんだ」
──ペトロシアンの距離感、カウンター、キックボクシングおいて世界最高の芸術品だと思います。ただし、MMAとキックは距離もタイミングも違います。ペトロシアンから学んだことをユーリは自身でMMA用にアジャストしているのですか。
「タイミングも距離も、MMAもK-1も同じだよ」
──えっ?
「もちろん、テイクダウンがあるから距離は違うともいえるよ。ただし、拳が当たる距離やタイミングはMMAもK-1も同じだよ。パンチもキックも変わらないようにね」
──その打撃はクリスチャン・リーに挑戦するうえで最大の武器になるのでしょうか。
「勿論だよ。体も僕の方が大きいし、パワーは絶対的にこっちが上だ。パワーと打撃の違いで、僕はチャンピオンになる」
──ではクリスチャンのどこを最も警戒しないといけないですか。
「特に気を付けることはない。確かにクリスチャン・リーはウェルラウンダーだ。でも、何も気にする必要はない。この試合で僕が証明することは何もない。ただ全力で戦い、ベルトを巻く。それだけさ」
──なるほど。では、ファンにどのような試合を届けたいと思っていますか。
「ベルトを巻く以外に、何かをしようとは思わない。誰かに何かを示したいなんて、まるで考えていない」
──……。ところでONEライト級には青木真也という日本人ファイターがいます。いずれ、拳をかわすことがあると考えていますか。
「凄く良い選手だ。ただしシンヤ・アオキは77キロでなく70キロで戦うべきだろう。この階級では細すぎる」
──でも前世界王者ですよ。
「だから、僕は彼が悪いファイターだとは言っていないよ。でも、彼は70キロで戦った方が77キロより適していると言ったんだ」
──……押忍。今日はありがとうございました。
「こちらこそインタビューの時間を取ってくれて、ありがとう」
──いえ、それはこちらの言葉です。
「そんなことはない。感謝しているよ。そして日本のファンに喜んでもらう試合をすることを約束する」
■ONE 113 Inside the Matrix対戦カード
ONE世界ミドル級(※93.0キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]オンラ・ンサン(米国)
[挑戦者]ライニア・デリダー(オランダ)
<ONE世界ライト級(※77.1キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]クリスチャン・リー(米国)
[挑戦者]ユーリ・ラピクス(モルドバ)
<ONE世界フェザー級(※70.3キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]マーチン・ウェン(豪州)
[挑戦者]タン・リー(米国)
<ONE世界女子ストロー級(※56.7キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]シィオン・ヂィンナン(中国)
[挑戦者]ティファニー・テオ(シンガポール)
<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
アントニオ・カルーゾ(豪州)
<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
リトゥ・フォーガット(インド)
ノウ・スレイ・ポブ(カンボジア)