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【ONE113】ライニア・デリダーの挑戦受けるオンラ・ンサン「同じ星に住む、人類という一つの人種」

【写真】人間が出来ているとしか思えないオンラの発言だ (C)MMAPLANET

30日(金・現地時間)にシンガポールのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE113「Inside the Matrix」。ONEにとって半年振りのビッグショーの再開、そのメインでミドル級&ライトヘビー級の二冠王オンラ・ンサンが、ライニア・デリダーとミドル級王座防衛戦を行う。

6月の終わりに自らが陽性になったことをSNSで発表したンサンが、コロナ禍での成長や今回の世界戦について話してくれた。


──ようやくケージに戻ることができます。

「本当だね。前回の試合から1年も経ってしまったよ。凄くエキサイトしている。本当にしっかりと準備してきたよ」

──パンデミック後、世界は変わってしまいました。今回の大会はONEの歴史でも最も大切なショーになります。そんな大会でヘッドライナーを任されたことをについて、どのように考えていますか。

「この大会は僕だけでなく、ONEチャンピオンシップに関係している全ての人間にとって重要なモノになる。コロナウィルス後、渡航制限の関係でONEは従来の規模の大会を開くことができなくなっていた。そのなかで、ONEやチャトリの努力、シンガポール政府の理解があって今回のようなビッグショーを開くことができるようになった。

ファンにとっても決して忘れられない……そして、当日を凄く楽しめる大会にしなければならない。ファンのために僕も全力を尽くすよ」

──UFC、BELLATORらは活動を再開し、チームメイトは試合の機会を先に得ていました。サンフォードMMAにいて、練習仲間は試合が決まるなか、なかなかONEが活動再開されない時に焦りはなかったですか。

「全く問題なかったよ。僕は忍耐力の強い人間だ。この間、自分を成長させることを考えてきた。そして皆との練習で僕は強くなり、成長できた。より優れたミックスト・マーシャルアーチストになれたよ。タカシ(佐藤天)のような素晴らしいチームメイトのおかげでね。

タカシは本当にハードワーカーだ。凄く厳しい練習に取り込んでいる。タカシはUFCで試合があり、徹底的に自分を追い込んでいた。そんな彼と一緒に毎日練習することで、僕も成長できるんだ」

──人としてコロナ禍で成長できたと思えますか。

「同じ星に住んでいて、僕らは凄く近い距離で繋がっている。世界中がコネクトしている。このことを改めて理解できた。僕らは小さな世界で生きているだってね。中国で起こったことが、世界中に広まったんだ。米国、ミャンマー、アフリカ、ヨーロッパ、南アフリカ、世界中で起こっている。

人間は凄く近い位置で生きている。ホントにONEのキャッチフレーズみたいだけど『WE ARE ONE』なんだって分かったよ。人類という一つの人種なんだよ」

──確かにその通りですね。ところでオンラが6月に陽性反応が出たと発表したときは、まだファイターの感染例もそれほど確認されていない時期だったので、かなりショッキングでした。

「そうだね、僕は健康だったし重症化することもないと思っていたから、それほど自分自身に関しては重く受け止めていなかったんだ。でも僕自身のことよりも、やはり娘のことが心配でならなかった。自分の体の状態は分かっていたし、高熱が出たわけでもない。でも家族のことは心配だったよ。

5カ月の娘も感染し、70歳の母も感染した。でも重症化せずに済んだ。だから、大丈夫といえば大丈夫だった。幸運にも回復も早かったしね。

でも、そうじゃない人がいることも分かっている。亡くなった人もいるから、自分たちは軽症で済んだかもしれないけど、『COVID19は大した問題じゃない』なんて絶対に言えない。僕らの家族も2週間、自主隔離した。他の人に感染するリスクは絶対におかせなかった」

──感染予防をしていても、感染する可能性はあるわけですし。

「誰にも分からないことだからね。コロナ禍で世界が変わったよ。と同時に僕ら家族は抗体ができた。それによって、少し気持ち的には開放された感は少なからずあったかな」

──抗体ができて練習相手に感染させることがないという状況は、気持ちが落ち着くかと思います。ワクチンが変質すればまた話は違ってきますが、現状のコロナウィルスには感染しない可能性が高いわけですし。

「そうだね。ドクターからも、感染することも感染させることもないと言われている。練習仲間に迷惑をかけることはなく練習できるのは、やはり気持ち違うからね。MMAはソーシャルディスタンスがとれない競技だし」

──抗体があれば思い切ってキャンプ中も追い込めたのではないでしょうか。

「素晴らしいキャンプだったよ。動きはシャープで、体調は最高だ」

──それでも試合に向けてPCRチェックがあり、ホテルの部屋にこもる必要があるのですか。

「その通りだ。出場選手、セコンドが検査を受け、試合の8日前にシンガポールに入り。空港でまたチェックし、ホテルで隔離だ。僕は感染しないし、感染させることもないけど、他の人達は違う。皆が同じ状況にないといけないから、そこは従うよ。まぁ、退屈だけどね(笑)。

色々なルールがあって、皆が同じ条件でいるのに僕だけ気ままにやることは許されないよ」

「デリダーは素晴らしいストライカーがいるなかで、自分の勝ち方を見つけてきた。侮れない」

──そんなファイトウィークを過ごして戦う、挑戦者ライニア・デリダーの印象を教えてください。

「良いファイターだよ。12勝0敗、挑戦者として不足ない。でも僕の方が経験があり、彼より技術的にも上回っている」

──デリダーのフィジカルをどう思いますか。

「背が高いけど、彼より背の高いトレーニングパートナーもいるからね」

──グラップリングとムエタイ・クリンチを融合させたスタイルについては?

「長い手足を使って、良いグラップリングをしている。打撃に関しては上手いとは言えない。でも、打撃に関して、彼には優れたトレーニングパートナーがいるはずだ。だから攻撃面ではグッドストライカーではないかもしれないけど、ディフェンス面に関してはしっかりとしているに違いない。

そこであのグラップリングを磨き上げてきたのだから、彼の力を軽く見積もるつもりはないよ。どれだけ素晴らしいストライカーがオランダにはいるのか。それは僕も理解しているつもりだ。そういうなかかで自分の勝ち方、戦い方を見つけて実践してきた。その力を侮ることはできないよ」

──オンラとしては、グラップリングに持ち込ませない戦いが必要なのでしょうか。

「まぁステップや間合に関しては、ちゃんと調整してきたよ。簡単に組ませるつもりはない。それに……例え組まれても、その局面でも僕は負けないけどね」

──おぉ!! どのような試合になるのか、期待が高まります。

「そうだね。僕がMMAワールドでベストのミドル級チャンピオンだということを世界に示すよ」

──オンラ、陽性になった時ことなど言葉にしてくれて、ありがとうございます。

「こちらこそ、ありがとう。とにかくベストを尽くすよ。そして、また会える日が早く来ることを願っているよ。アリガト!」

■ONE 113 Inside the Matrix対戦カード

ONE世界ミドル級(※93.0キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]オンラ・ンサン(米国)
[挑戦者]ライニア・デリダー(オランダ)

<ONE世界ライト級(※77.1キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]クリスチャン・リー(米国)
[挑戦者]ユーリ・ラピクス(モルドバ)

<ONE世界フェザー級(※70.3キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]マーチン・ウェン(豪州)
[挑戦者]タン・リー(米国)

<ONE世界女子ストロー級(※56.7キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]シィオン・ヂィンナン(中国)
[挑戦者]ティファニー・テオ(シンガポール)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
アントニオ・カルーゾ(豪州)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
リトゥ・フォーガット(インド)
ノウ・スレイ・ポブ(カンボジア)

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