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【ONE113】ライト級王座に挑戦ユーリ・ラピクス─01─「ペトロシアン兄弟とジムの上に住んでいる」

【写真】言葉の端々からジョルジオ・ペトロシャンを崇拝していることが伝わってくるラピクス(C)MMAPLANET

30日(金・現地時間)にシンガポールのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE113「Inside the Matrix」でクリスチャン・リーが持つONE世界ライト級王座にイタリア在住のモルドバ人選手=ユーリ・ラピクスが挑戦する。

ONEでの戦績は2戦2勝、2月の元フェザー級王者マラット・ガフロフを払い腰で投げ、RNCでアッという間に破った。とはいえ、彼の実力はまだまだ未知数。モルドバ人で、ジョルジオ・ペトロシアンと練習していながら、MMAファイターとして14勝0敗というラピクスとは、どのような人間なのか。

コロナ禍の気の持ちようからも、我々とはかなり違うメンタルをラピクスは有しているようだ。


──イタリアは欧州で最初にCOVID19の感染が大きく広まった国です。また寒い季節を迎えフランスやチェコなどと同様に感染者数が多くなっています。まず、3月の段階でユーリにはどのような影響があったでしょうか。

「正直なことを言えば、僕自身は新型コロナウィルスの影響はあまり受けていない。君の言ったようにイタリアでは大きな問題になっていたけど、僕はジョルジオとアルメンのペトロシアン兄弟とジムの上に住んでいるから──言ってみれば、凄く長いトレーニング・キャンプをしてきたようなものだよ。

唯一の問題は5月から延期されていた世界戦がいつ組まれるのかということだけだった。トレーニングに関しては、普段よりもずっと練習できていたからね」

──ロックダウンでジムなどは封鎖にならなかったのですか。

「自由気ままに外出することはできなかったけど、さすがに自宅のある建物内の移動は自由だろう?」

──4月には新型コロナウィルスの実情が今ほど掴めておらず、また医療崩壊が現実化していました。感染を恐れることなく練習を続けていたのですか。

「もちろん心配はしていたよ。特に母が感染しないようにね。パンデミック後、母の下を訪れることはしなくなった。ジョルジオとアルメンとは共同生活をしているから、感染予防を考えながら練習を続けたんだ。外出を控え、他の人と接触はしないようにしてね。ただ、それも自分が感染する心配よりも、母のことを考えての行動だったといえるかな」

──最近になるまで感染がある程度コントロールできていた感もありますが、この間に世界戦が正式に決まりました。それからの調整に新型コロナウィルス感染の影響はなかったですか。

「もちろん、いつも通りにはいかない部分はあったよ。特にスパーリング・パートナーを見つけるという部分で。でも、何とかなったし、何よりもジョルジオとアルメンとは5カ月に渡り練習を続けてきたからね。だから、スパーリング相手は限定されていたけど、大きな問題ではなかった。

今では心身ともに100パーセント仕上がっているよ。いつでも戦える状態さ」

──ところで日本のMMAファンはユーリ・ラピクスのことをまだ余り知らないのが本当のところです。皆が知っているのはモルドバ人で、イタリアのペトロシアンのジムに所属しているということ。ユーリはイタリアではなく、モルドバで生まれ育ったのでしょうか。

「そうだよ。15歳までモルドバに住んでいた。ただ母がより良い仕事を求めてイタリアに働きに出ていて、数年経ってから僕を迎えに来たんだ。僕も一緒にイタリアで新しい人生を歩もうって。

モルドバは知っての通り貧しい国だ。仕事環境も生活環境もイタリアの方が良いから、母は僕をイタリアに呼んでイタリアで生きる選択をしたんだよ」

──もともと格闘技との出会いは?

「7歳から柔道をやっていた。子供だったしナショナル選手権に出るとかそういうことはなかったけど、地域の大会では優勝しているよ。イタリアに来て、MMAを始めてからは僕にはこっちの方が才能があるって気付いたんだ。

モルドバにいるときからMMAに興味はあったんだけど、家の近くで練習できる場所がなかった。そういう現実問題があったけど、イタリアではジムを見つけることができたんだ」

──ユーリが15歳の時だと、今から10年前ですがイタリアではジムが普通に見つかるほどMMAは定着していたのが驚きです。イタリアはキック人気の高い国というイメージだったので。

「確かに2010年頃、イタリアでのMMA人気はそれほど大したものじゃなかったよ。だから、練習場所が見つけられたのは運が良かったのかもしれない。ただし、その後MMA人気はあがり、今では練習場所は簡単に見つかる状態だよ。

とはいっても、キック人気と比較できる状態ではまだないけどね。なんぜジョルジオ・ペトロシアンがキックボクシングには存在しているのから。でもMMA人気は凄くあがっているよ」

<この項、続く

■ONE113 Inside the Matrix対戦カード

ONE世界ミドル級(※93.0キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]オンラ・ンサン(米国)
[挑戦者]ライニア・デリダー(オランダ)

<ONE世界ライト級(※77.1キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]クリスチャン・リー(米国)
[挑戦者]ユーリ・ラピクス(モルドバ)

<ONE世界フェザー級(※70.3キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]マーチン・ウェン(豪州)
[挑戦者]タン・リー(米国)

<ONE世界女子ストロー級(※56.7キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]シィオン・ヂィンナン(中国)
[挑戦者]ティファニー・テオ(シンガポール)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
アントニオ・カルーゾ(豪州)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
リトゥ・フォーガット(インド)
ノウ・スレイ・ポブ(カンボジア)

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