【Road to ONE03】カルンダと対戦、手塚裕之の大自然トレに密着─01─「逆流バタフライ、トビウオ」
【写真】鬼怒川上流に向かい、バタフライ (C)MMAPLANET
2 10日(木)に東京都渋谷区のTSUTAYA O-Eastで開催されるROAD TO ONE:3rd TOKYO FIGHT NIGHTで手塚裕之が、南アフリカのEFCワールドワイドの元ウェルター級王者で、ONE Warriorで1勝1敗の戦績を残す、グンター・カルンダと対戦する。
コロナ禍の下、日本在住とはいえ国際戦──しかも、しっかりと実績を残しているカルンダ戦を前にして、ABEMAと共同でMMAPLANETは手塚の大自然トレーニングを、栃木県塩屋谷町を訪れ取材した。
そこで目にした恐るべき手塚の練習環境とは!!
──今日は手塚選手の野性味あふれるトレーニングを見せていただいたのですが(※アブが手塚、取材スタッフの周囲を飛び回る)……うわっ、アブですね。手塚選手の自宅に創られたプライベートジムですが、夕方でこれだと夜には虫が相当来るのではないでしょうか。
「毛虫とかマットの上にいて、たまに踏んじゃいます(笑)。カメムシも──寝技をやっていると背中でパリッとか音がして。『くっせぇ』って(笑)」
──……。それにしても鬼怒川で泳いだり、河原の藪になぜか現われた芝が刈り込まれた空間でサーキットトレーニング。あのう……こういうと失礼な言い草なのですが、あの練習は取材用でなくいつもしているということなのですか。
「そうですね。春から夏にかけてはやっています。アイシングにもなりますし。ここで練習して川に行って、アイシングしつつちょっと泳いだりとかして」
──今日は川の流れが穏やかでしたが、それでも川上に向かってバタフライというのはきつそうでした。アイシングどころか、強度が高いトレーニングにしか見えなかったです。
「アレはトレーニングです。逆流バタフライはトビウオって名付けているのですが(笑)、かなりこたえます」
──いつも1人でやっているのですか。
「1人でやったり、トレーナーというか友人に来てもらって」
──1人って危なくないですか。
──まさに野生の勘ですね。いつ頃から、あの大自然トレーニングを採り入れてきたのでしょうか。
「いつ頃というか、子供の頃から自然で遊ぶのが好きで。登山とか、友達と川にいって飛び込んだりしていました。日常ですね。でも、この年になってやっているのはいないですけどね(笑)」
──ダハハハ。それはそうでしょう(笑)。プールで泳ぐとのはまるで違うかと。
「違いますね。流れに逆らって泳ぐのは、凄く良いトレーニングになります」
──多摩川だと通報されます。
「今のところ大丈夫です(笑)」
──それとサーキットトレーニングは、ジャングルのように草木が群生している場所に、突如これ以上ないスペースがあり驚かされました。
「アレは僕も姿を見たことがないのですが、飛行機のラジコンをしている人が滑走路用に刈り取っているみたいなんです」
──!! 私有地なのですか!
「いえ、きっと違うと思います。勝手に刈り込んでいるんだけかと(笑)。あそこの練習はプロになってからやるようにしています。実際、ジムやここでもあの練習はできます。でも、外でやる方が少し疲れないんです。自然の力というのが、少しあるんじゃないかと思います」
──実際にあの場所に行っていないと、そんな馬鹿なことはないと私も思ったはずです。でもあの場で、あの空気を吸うと自然のエネルギーというのは存在していることが実感できます。
「とにかく気持ち良いですしね。実は川泳ぎに関しては、冬も寒中水泳をやることがあります」
──!!!!!!! もう言葉がでないです。
「気温が-1度、水温が1度とかで飛び込んでみたり。それは去年からなんですが、コールドトレーニングというモノで取り入れています。呼吸で体を温めてからやらないと良くないのですが、呼吸によって冷たいところに体を慣れさせることとができます」
──今日も川にある大きな岩の上で腹式呼吸をやっていましたね。
「アレも去年の12月に豪州に旅行がてら行き、現地のトレーナーにアイスバスだとか、コールドトレーニング、呼吸法を教えてもらったんです。で、僕はそれまで1分間しか息を止めることができなかったのが、4分間ストップできるようになりました。
血中の酸素濃度が上がったから、そうなるわけで。それは絶対に試合に生きてくるので、普段からトレーニングしようと思い続けています」
──チアノーゼを防ぎ、疲れて手が下がることが手塚選手の試合からなくなるということですね。
「そのためにやっています。スタミナをつけるために。実際にMMAの練習をしていて、何となくですけどスタミナがついた実感はあります」
──川とサーキット、コチラでのミット打ちも友人が練習相手でした。
「はとこのたけちゃんです。苗字は同じ手塚で(笑)。手塚たけやなので、たけちゃんと呼んでいます」
──そのたけやさんは格闘技の経験は?
「全然なかったです。子供の頃に相撲をやっていたぐらいで(笑)」
──えぇ、でもしっかりとミットを持たれていましたが……。
「アマチュアの時からだから、もう5、6年やってもらっていますからね。最初はこのガレージにジムを創った時に、皆に『筋トレしにおいて』って地元の仲間を集めて。筋トレを教える代わりにミットを持ってくれるようになったんです。
たけちゃんは僕のことをアマチュアの試合からずっと見ているので、良いところも悪いところも知ってくれています。最初は格闘技に関しては素人でしたが、ずっとやってきましたし、何よりも僕に関してはスペシャリストなんです。
一緒に対戦相手の研究をして、親身になってサポートしてくれますし。本当に助かっています」
<この項、続く>