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【ONE】再始動が視野に?! 若松佑弥に訊く、覚醒の秘密─01─「守るべき人がいるなかで戦うこと」

【写真】インタビューは午前零時スタート。2時間半近くの解説のあとに行われた(C)ABEMA

14日(金・現地時間)にABEMAで中継されたONE110「No Surrender II」のゲスト解説を務めた若松佑弥。昨年10月の日本大会以来、新型コロナウィルス・パンデミックの影響で試合から遠ざかっている。

解説中も日本とシンガポールの渡航制限が緩和されるという情報をきき、10月大会出場に強い意欲を見せていた若松を中継終了後にZOOMインタビューした。

ONEが活動を休止していた3カ月間、誰もが若松の練習への取り組みと、心身ともの充実ぶりを絶賛していた。解説という形で活動再開したONEのファイトに触れた若松に、この間の充実ぶり、そしてこれからを尋ねた。すると、この変化は8カ月になる長男・武蔵君の影響が多大にあることが分かった。


──解説お疲れさまでした。ノンオーとカレーを創ったという話が一番耳に残っています(笑)。

「技術の話がしたかったのですが、言葉に出てこなかったです(苦笑)」

──インタビューも決して得意でない若松選手だけに、一生懸命さは伝わってきました。

「なんか逆に前より、話すことが下手になってしまって……。前は学校に行っていた時の名残があったのが、どんどん遠ざかってしまって……。もうわけ分からないですよね」

──学校に通っていた時から、時間が過ぎてしまって話せなくなってしまったということですか。

「ハイ」

──……。ジムで練習仲間とは普通に話しているのではないですか。

「いやぁ、最近諦めかけていて。もうありのままで行こうと思って。前は考えて話そうと思っていたのですが、ダメだなって。阿呆っていうのに気づいたんです。色々なことに対して」

──アハハハハ。赤ん坊をあやしていて、言葉ではないコミュニケーション能力を身に着けたのではないですか。

「ハイ。そういうことですね(笑)」

──4月のジャカルタ大会で試合が決まっていたのが、新型コロナウィルス感染拡大の影響でイベントもキャンセルされ、その後のシンガポールでの無観客シリーズも予定が立たない状況に陥りました。あれから4カ月が過ぎ、若松選手の仕上がり具合が異様に良いという話を何度も聞きます。どのような変化があったのでしょうか。

「コロナ以前に子供が生まれて……。コロナになって、焦る気持ちもあったのですが、できることを最大限にやろうと思えるようになったんです。子供が生まれる前の自分だったら、試合ができなくてお金がなくなったらどうしようとか焦っていたと思います。

でも一家の主として冷静でいられるようになって。そこが戦いにも通じているところがあり、冷静に相手のダメージを判断したり、打撃から寝技に移行するとか見らえるようになりました。そこが前と違います」

──結婚して、子供が生まれて変わったということですか。

「そうですね。今は育てている段階なので。子供が自分の生まれ変わりようで。可愛くて仕方がないです」

──自分の生まれ変わりのようで、可愛くて仕方がない……(笑)。

「しっかりと育てあげないといけないです。人間は子どもを育てることで、ちゃんとした大人になる。輪廻転生、それが人生なんだなって。そのなかで自分のためじゃなくて、家族のために戦うという気持ちになりました。

自分1人で戦うことと、守るべき人がいるなかで戦うことの違いが凄く分かるようになりました。自分だけだったら、もうどうにでもなれって思うんですけど、子供がいるともっと冷静になってしっかりしないといけないと考えることができるようになりました」

──責任感が増したというころでしょうか。ただガムシャラになるのではなくて、逆に冷静になれるのですね。

「DJと対談をさせてもらった時に、『前はいつ死んでも良いと思っていたけど、子供が生まれたらそんなことは思えなくなった』と言っていて……。言葉で説明できないのですが……とりあえず25歳という時期は今しかないので、今を必死に生きようと思っています。

前は生活面とか考えずに適当に生きていたので、そういうところをしっかりと考えるようになりました。教習所にも通うようになったんです」

──それも将来のためですね。

「大変だけど冷静に戦う。大変そうだというのは見せないで、子供や家族のためにやる。そう心に決めています。そういう部分でも、体とかじゃなくて前より心が強くなったと思います。男として人生は働くしかないという考え方になりました。

時間っていうのはあっという間に過ぎると思って。この前まで18歳で、あっという間に25歳になりました。25歳って子供じゃない。今、できることは全てをチャンピオンになるためにやる。ただのお父さんでいたくないんです」

──お子さんは今、何カ月ですか。

「8カ月です」

──赤ん坊って、ただ生きようとしている。何も考えずに、生きようとしている。そこから得るモノがあったという記憶が私も蘇ってきました。邪心もなく、ガムシャラに生きている。若松選手も8カ月前と、今で全く違うといって良いほど成長している赤ん坊を目の当たりにしてきたことで、時間の概念というモノが生まれたのではないでしょうか。

「そうかもしれません。この前、教習所で応急救護の講習を受けて。心臓マッサージとかするじゃないですか。その時にもこれから何があるか分からない。チャンピオンを目指してやっていても、どんな災難が待ち受けているのかも。それを考えたら、今を最大限に努力しようと思いました。

それでチャンピオンになれなくても、家族がいるので。今、できることをやる。と同時に今を楽しむために0歳の息子と一緒にいる時間を大切にしようと思っています。そうすると早起きも苦ではなくなりました。前は絶対に無理だったのに」

<この項、続く>

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