【GTF04】GTF04の見所、グラップリングの魅力を勝村周一朗に訊く─01─「グラップリングを成熟させたい」
【写真】とにかくGTFについて語ることが、楽しくてしょうがないという風の勝村だった(C)MMAPLANET
26日(日)、東京都大田区のゴールドジムサウス東京アネックスで開催されるZSTグラップリング=GTF04。
60キロ、75キロ、90キロという3階級の8人制トーナメントと4試合のスーパーファイトが組まれた無観客大会は、有料配信される。とはいえ元修斗世界バンタム(※当時はフェザー級)王者で、ZSTやHERO’SとMMAで活躍した勝村周一朗がなぜグラップリングの普及に情熱を燃やしているのか。
各階級とスーパーファイトの見所を尋ねる前に、なぜグラップリングなのかを勝村氏に訊いた。
──勝村さんにGTFの見所を話してもらおうと思っていたらオフィシャル・サイトで「グラップリングはMMAの前座じゃない」という言葉が目に入り……、『ありゃぁ、やっぱりMMAPLANETがグラップリングをレポートしても嫌われているのか……。やっぱり止めておこうか』と考えてしまいました。
「えぇ、何言ってんですか(笑)。グラップリング、記事にしているじゃないですか。なんで、そんな風に(笑)」
──これはですね、勝村さんに言うことじゃないですけど、自分はグラップリングも柔術も独立した競技として見ています。でも、グレイシー柔術がMMAの起こりだから、競技柔術もグラップリングも好きで。そしてリンクしているから、リンクしていない部分も好きであって。でも、海外はともかく国内では一部の人間以外の柔術界からは「お前、MMAの人間だろ」っていう空気を常に感じてきたのですよ(苦笑)。だから、今回はグラップリングもかって(笑)。
「『お前、MMAだろ?』って(笑)。でも、僕は別にグラップリングを背負っているわけじゃないですし」
──いやMMAファイターだった勝村さんが、なぜグラップリングの大会をここまで必死になって開くのかも聞きたくて話を伺おうと思っていたら、『MMAの前座じゃないんだよ!』といきなり来たので……。
「いやいやいや、僕はMMAの大会のなかでグラップリング大会を開いて、グラップラーの主張を載せてもらっただけなんですよ」
──青木真也✖世羅智茂はグラップリングだったけど、ムエタイとMMAの後で試合をしたのに……。
「まぁ、人ですよね。そうなってくれればって思います、グラップラーたちが。グラップリングの試合で、人をひきつけ、大会を引っ張ってくれるなら僕はMMAを前座にします」
──いやぁ、勝村さんはなぜそこまでグラップリングに力を入れているのでしょうか。ブドー・チャレンジには出ていましたが(笑)。
「アハハハハ。面白いからです。大会を考えると、MMAの選手の方がチケットを売ってくれるし、こういう競技だって説明をする必要がなくて開きやすいです。
ただ僕がやりたいのはノーギ柔術でも、海外で行われているノーポイント&サブオンリーではないんです。だから出場選手もこのメンバーになるわけですし。柔術家だけにならないし、MMAファイターばかりでもない。
GTFだから60キロ級予選で勝ち抜いた堤宏太選手が、個性的になるんです。あの防御能力の高さこそ、柔術家で。ノーギ柔術なら、皆そうなりますし。グラップリングも常に攻撃的だと、防御が甘くなります。グラウンドにおけるノーガードの打ち合いになる。そういうなかで柔術家として、堤選手は光った。
だから柔術家の子たちには、MMAファイターを食いに来てほしい……GTFを利用してほしいんですよ」
─GTFだからこそ、魅せられるグラップリングとは何でしょうか。
「う~ん、楽しい。面白いってことですかね。僕のなかでは格闘技にも、楽しいという要素があって良いと思っています。もちろん、勝ち負けを除外して動き回るのではないですよ。でも、グラップリングの動きで楽しんで戦ってもらい、それを見て楽しんで欲しいんです」
──戦う方は打撃が入ると、そこはハードルが高くなりますね。
「MMAファイターや、グラップリングだけやっている選手の交わりがあっても……異種格闘技戦ではない。重なっている部分があることをやる異種の人たちの戦い。それがグラップリングの魅力だと思っています。日本のグラップリングの、ですね。
日本のグラップリングって、成熟していないです。海外と比較しても。でもGTFっていう場でMMAファイターとグラップラーがぶつかることで、どんどん成熟していくと思うんです。その形が出来上がっていく過程を自分の大会で見ることができる。それって、めっちゃ面白いじゃないですか!」
──なるほど。勝村さんのなかではGTFで勝つ選手が、ADCCで勝ったり、Polarisで勝負できるようになることを夢見ているわけではないのですね。
「結果的にそうなるのは嬉しいです。でも、今の日本のグラップリングでそんなことを考えるのは現実的ではない。だから、もっとグラップリングを普及し、成熟させたいんです。MMAでもホイス・グレイシーがあれだけ強くて、でも勝てなくなる。『佐藤ルミナ、スゲェ』って言っていたのが……だんだん勝てなくなっていった。それってMMAが熟成したっていうことですよね。
それを日本のグラップリングで見てみたいんです」
<この項、続く>
■GTF04対戦カード
<60キロT1回戦/7分1R>
米倉大貴
渋谷カズキ
<60キロT1回戦/7分1R>
井手智朗
潤鎮魂歌
<60キロT1回戦/7分1R>
清水清隆
後藤貴史
<60キロT1回戦/7分1R>
高橋サブミッション雄己
堤宏太
<75キロT1回戦/7分1R>
世羅智茂
寒河江寿泰
<75キロT1回戦/7分1R>
鹿志村仁之介
高本裕和
<75キロT1回戦/7分1R>
竹内稔
小川智也
<75キロT1回戦/7分1R>
渡部拳士郎
山中健也
<90キロT1回戦/7分1R>
イゴール・タナベ
内藤由良
<90キロT1回戦/7分1R>
高橋快人
柳井夢翔
<90キロT1回戦/7分1R>
グラント・ボグダノフ
濱岸正幸
<90キロT1回戦/7分1R>
谷口実
レダ・メブトゥシュ
<無差別級/7分1R>
ハイサム・リダ
アンディ・コング
<78キロ契約/7分1R>
大浦マイケ
松本大輔
<70キロ契約/7分1R>
小野隆史
藤代晃精
<65キロ契約/7分1R>
伊藤盛一郎
橋本圭右