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【ONE107】佐藤将光戦へ──クォン・ウォンイル「打撃を怖がったり、試合を諦めることは絶対にないです」

Kwon Won Il【写真】キャリア8勝2敗。ニックネームはプリティボーイというクォン・ウォンイル(C)MMAPLANET

31日(金・現地時間)にフィリピンはメトロマニラのパサイ・シティ、MOAアリーナで開催されるONE107「Fire & Fury」で佐藤将光と対戦するクォン・ウォンイル。

メインは11月のマニラ大会に続き、ONE世界ストロー級王者ジョシュア・パシオがアレックス・シウバの挑戦を受けるタイトルマッチが組まれた今大会で、クォン・ウォンイルは初めてバンタム級に落としプロ修斗世界バンタム級チャンピオンと戦う。

佐藤戦が決まった12月、ソウルの北西──極寒のキョンギドのコヤンにあるエクストリーム・フィットネスにクォン・ウォンイルを訪ねた。あどけなさの残る表情で、笑顔を絶やさず生真面目にインタビューに応じてくれたクォン・ウォンイル青年──佐藤将光戦に向けて極めてポジティブな彼の声をお伝えしたい。


──2019年1月からONEで戦い始めましたが、それまでのMMAで戦ってきた歴史を教えていただけますか。

「初めてMMAで戦ったのは2014年4月のDEEPで、宮川博孝選手に36秒で勝つことができました。次の試合も日本のGladiatorで岩田啓輔選手と戦い、この試合でも初回でKO勝ちしています。それから韓国のNEO Fight、URCC、そしてTOP FCで試合をしてきました。

そしたら、なぜかかONEからオファーが来て……正直、なぜ僕にオファーがあったのかは分かりません。運が良かったです(笑)」

──その時の気持ちは?

「どう言葉に表して良いのか分からないぐらい嬉しかったです」

──韓国の選手はROAD FCで戦い国内で基盤を築くのか、TOP FCからUFCに行くことが目標でONEに出たいと思っている選手がそれほどいるという印象はなかったです。

「僕自身、漠然とUFCを目指していましたが、兵役に行っていた時からONEの試合を見ていたので、規模の大きさややレベルの高さを知っていました。戦いたいと思っていましたし、オファーが来た時はチームの皆も『この機会を逃したら絶対にダメだ』と言ってくれました」

──ところで前回の試合が68キロ契約、それまではフェザー級で戦っていましたが、今回からバンタム級に階級を下げました。

「もともと僕はバンタム級だったんです。だから宮川選手との試合もバンタム級で戦ったのですが、それからは試合に出たくてライト級でも戦いましたし、ONEからはフェザー級でオファーを受けたのでそのままフェザー級で戦っていたような感じです。フェザー級でも良いやという感じで試合に出ていたんです」

──では対戦相手は大きくなかったですか。

「バンタム級でも体が大きいとは思っていないので、フェザー級だといつも相手は大きかったです(笑)。松嶋こよみ選手は特に力が強かったです」

Won Il vs Kelly──ストレートが伸びて、ヒザ蹴りやローも上手い。基本的にはストライカーなのですか。

「打撃が好きです」

──ただし松嶋選手との試合では、かなりテイクダウンを取られていました。

「あの試合は完敗です。松嶋選手の戦績を見て、完全なストライカーだと勘違いしていました。試合中もこんなにレスリングが上手いだと驚いていたんです。そして、試合が終ってから松嶋選手が高校や大学でレスラーだったと知りました(笑)」

──その松嶋選手とチームメイトのキム・ジェウン選手が2月にジャカルタで戦いますし、良いアドバイスができるのではないでしょうか。

「試合で感じた松嶋選手の癖に関しては、ジェウンさんには伝えています。右フックやテイクダウン、本当に強い選手でした」

──松嶋選手はONEの裁定はテイクダウンへの評価が低く、蹴りを入れられていたので判定負けもあると思っていたそうです。

「いえいえいえ、松嶋選手の負けはあり得ないです(苦笑)。絶対的に僕の負けです。試合映像を見返しても、それは明白です。あの試合では多くのことを学べたので、松嶋選手に感謝しています」

──松嶋選手は打撃に面食らって、レスリング一辺倒の試合になったと反省していました。

「そんなことないです。アレは立派な作戦で、テイクダウンで倒された僕の負けです」

──ウォンイル選手は良い人ですね(笑)。

「いえ、だって本当に僕の負けですから……(照笑)」

──次の試合は修斗世界王者の佐藤選手です。

「ロードFCで戦っていた時から、佐藤選手の試合は見てきました。強い選手です。でも、僕も負けずぎらいなので死ぬ思いで練習して、佐藤選手と戦うようにします。佐藤選手は経験豊かで、不利な局面になっても慌てることがない。そういうところが一番怖いです。

ONEでの試合数は多くないですが、やはり凄く経験豊富な選手ですし、過去最強の相手だと思っています。そういう選手と戦う方が、名前のない選手と戦うより気合が入ります。佐藤選手が強いからこそ、勝てばそれだけ見返りのある相手です。慌てることなく、しっかりと戦いたいと思います」

──ところでウォンイル選手はマニラでの試合は、次で3度目になりますね。

「フィリピンにはバケーションで2カ月ぐらい住んでいたことあって、第2の故郷だと思っています。なのでマニラで戦えることは嬉しいです」

──誰か良いオネーサンでも見つけましたか(笑)。

「えっ……いや、そ、そ、そんなことないです。本当に……いや……そんなことインタビューで聞かれるなんて思っていなかったので、本気で焦ってしまいました(笑)。ただ、マニラではいつもリラックスして戦えています。凄く会場の雰囲気も良いですからね。

ONEのような大きな大会で試合をしたことがなかったので、最初は緊張しなかったといえば嘘になります。でも、凄く遣り甲斐がありますし他の選手も同じでしょうが、そんなONEでチャンピオンになりたいと思っています。そして、人として皆の模範になれる人間になるのが目標です」

──やはり良い人ですね。チャンピオンになるために佐藤選手との試合では、どのようなところを見せたいと考えていますか。

「佐藤選手は打撃が得意なことは分かっていますが、その打撃を怖がったり、試合を諦めることは絶対にないです。絶対に良い試合、面白い試合をします」

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