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【ADCC2019】77キロ級─02─絶対王者ルーカス・レプリ、ADCCには縁がないのか。新鋭レオンに敗れる

77 Leon【写真】黒帯では道着よりもノーギ中心に活躍し、パン・ノーギで2017年と2018年を制しているとはいえ世界的には無名のレオンがレプリを下した (C)SATOSHI NARITA

9月28日(土・現地時間)と29日(日・同)の2日間、米国カリフォルニア州アナハイムにあるアナハイム・コンヴェンション・センターでアブダビコンバットクラブ(ADCC)主催の世界サブミッション・ファイティング選手権が行われた。

2年に1度、ノーギグラップリング世界最高峰となるこの大会のプレビュー15回目77キロ以下級Bブロックの準々決勝までの模様をお届けしたい。
Text by Isamu Horiuchi


Lepri 01<77キロ以下級1回戦/10分1R10分1R+ExR5分>
ルーカス・レプリ(ブラジル)
Def. by 本戦 3-0
ラクラン・ジャイルス(豪州)

強豪が揃う77キロ以下級1回戦の最注目カードが、この柔術絶対王者ルーカス・レプリと、アジア・オセアニア予選優勝者にしてクレイグ・ジョーンズの足関節の師としても名高いラクラン・ジャイルスの一戦だ。

引き込んだのは意外にもレプリの方。しばらくは下から足を絡ませて崩すレプリと、それを上から対処してスイープを狙うジャイルスの攻防が続く。3分過ぎ、レプリの左足をワキに抱えたジャイルスは、そこに自分の左足を絡めて50/50を作りながら倒れ込んで足関節狙いへ。しかしレプリは冷静に両手と空いている右足を使って足の絡みを解き、難を逃れた。

その後ダブルガードの攻防が続き、加点時間が開始する。立ち上がったレプリは、右足で必殺のニースライスパスの体勢を作る。ジャイルスは侵攻してくるレプリの右足のヒザ裏に左腕を突っ込んで崩しにかかるが、レプリは見事にバランスを保ちジャイルスの左腕を外すと、さらに深く右ヒザを入れてゆく。

Lepri 02そのまま左の前腕でジャイルスにクロスフェースで強烈なプレッシャーをかけるレプリ。ついにヒザを抜くものの、ジャイルスもすかさず動きインバーテットから足を入れてなんとか正対に成功する。

次の瞬間レプリは再び右ヒザを深く入れてゆき、半身になって耐えるジャイルスの上からたすきがけを作る。そのまま前転するようにヒザを抜いたレプリは、ジャイルスの背中に回り、やがて4の字フックを完成した。

こうして3点を先取したレプリは、その後はチョークを狙いながらバックをキープ。なんとか脱出を試みるジャイルスに対し、最後は腕十字狙いもちらつかせて試合終了。ジャイルス必殺の足関節をしっかり対処した上で、自らの必殺のニースライスで勝負を決めたレプリが、柔術絶対王者の力を見せつけた。

Leon 02<77キロ以下級準々決勝/10分1R+ExR5分>
ダンテ・リオン(カナダ)
Def. by 本戦 3-0
ルーカス・レプリ(ブラジル)

絶対王者を準々決勝で迎え撃ったのは、カナダ出身24歳のダンテ・リオン。一昨年に黒帯を取得して以来、昨年のノーギ・ワールズで3位入賞する等頭角を現している若手選手だ。一回戦は米国のジョナサン・サタヴァと対戦。本戦におけるサタヴァのパス攻撃を凌ぐと、延長でシングルレッグからボディロックにつなげるテイクダウンの仕掛けからバックを奪うことに成功し、見事に勝利した。

スタンドレスリングの攻防からはじまったこの試合。1分半経過時に、レプリがアームドラッグからシングルにつないで綺麗なテイクダウンを奪取する。そのまま右ヒザで必殺のニースライス狙うレプリだが、リオンは強固なニースライスで守る。やがてリオンは、なんと内回りからレプリを崩して上のポジションを取ることに成功。が、レプリもすぐに距離を取って立ってみせた。加点時間開始前で、両者がいろいろと試せる攻防とは言え、レプリのニースライスを崩したリオンの技量には驚かされる。

試合が5分の加点時間帯に近づくと、リオンは先ほどの攻防で手応えを得たのか、座って下を選択。レプリは右膝で必殺のニースライスを狙うが、リオンはニーシールドと両腕のフレームを使って絶対王者の侵攻を許さない。

そして6分過ぎ、レプリが体勢を調整しよう動いて少し距離ができたタイミングで、リオンはシットアップして右足をホールドしてのシングルレッグに入ることに成功。そのまま立ち上がって片足のレプリを押していったリオンは、バランスを崩しかけたレプリのバックに飛びついてシングルバックを作り、グラウンドに持ち込んでみせた。

Leon 03その後場外ブレイクを経て同じ体勢から再開。タイトなシートベルトでレプリを逃さないリオンは、残り2分のところで四の字フックを完成。ついに先制の3点を奪ったのだった。

その後もリオンはチョークを狙いながらポジションをキープし続け、タイムアップ。2016年のノーギワールド茶帯で優勝──また黒帯2年生の24歳のリオンが、柔術絶対王者レプリの最大の武器であるニースライスパスを技術で正面突破し、大殊勲の勝利を挙げた。レプリは2大会連続決勝敗退から、今回はベスト8にとどまった。

なおこのブロックもう一つの準々決勝は、昨年3位のノーギ・スペシャリストのヴァグネウ・ホシャが、セルシーニョことセルソ・ヴィニシウスから前半テイクダウンを奪う等レスリングで優位に立ち、延長戦でもスタンドレスリングで攻め込んでヴィニシウスのマイナスポイントを誘って勝利。準決勝は新鋭ダンテvsベテランのホシャという組み合わせになった。

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